かつてほど「安く」なくなったマクドナルド… アメリカでは低所得層の客足が遠のいている

マクドナルド

Getty/Cassidy Sparrow

  • マクドナルドでは、中所得層または高所得層の顧客が増えている。
  • ただ、インフレで家計が圧迫された低所得層の客の来店が減っているという。
  • 昨年の10%の値上げに加え、マクドナルドは今年、さらに約10%の値上げを見込んでいる。

マクドナルドは先週、メニュー価格を値上げしても、顧客は手頃な価格の食事を求めてマクドナルドを利用し続けていると語った。ただ、客層は変わりつつある。

第3四半期にアメリカで客足が落ち込んだマクドナルドは、インフレや金利上昇の影響を感じている「より厳しい目を持った」消費者からの売り上げを失っていると語った。同社では年収約4万5000ドル(約680万円)以下の低所得層の客の来店が減少していると、CEOのクリス・ケンプチンスキー氏は10月30日、マクドナルドの第3四半期の決算報告で投資家たちに話した。

「年収4万5000ドル以下の消費者が感じているプレッシャーから目を離さず、価値を提供していく必要がある」とケンプチンスキー氏は語った。

客足は減ったものの、アメリカでの業績は好調だ。経営状態を示す指標である既存店売上高は8.1%増加した。

マクドナルドの売り上げが増えたのは、より価格帯の高いレストランからマクドナルドにトレードダウンした「中所得・高所得層」の客足が伸びたためだと、CFOのイアン・ボーデン(Ian Borden)氏は語った。同社では今年、約10%のメニュー価格の値上げを見込んでいるという。これは昨年の約10%の値上げに加えてのことだ。

経済指標の1つ「ビッグマック指数」によると、アメリカでは2023年6月の時点でビッグマックの価格が5.58ドルと、2020年6月の4.82ドルから16%近く上がった。カリフォルニア州オレンジでは、ビッグマックは10.39ドルだ。

「お客様に手頃な価格の選択肢を提供することが、常にマクドナルドの成功の核心だ」とボーデン氏は語った。

「中所得層と高所得層の両方で、わたしたちはシェアを拡大してきた」

マクドナルドは、世界中で安いハンバーガーを売るという評判で10億ドル規模のブランドを築いてきた。ただ、長引くインフレの影響で「安い」の定義が変わりつつある。そして、値上げをしている飲食チェーンはマクドナルドだけではない。

飲食業界に詳しいアナリストのマーク・カリノウスキ(Mark Kalinowski)氏は「ここ数年で、ありとあらゆるものが高くなっている」とInsiderにコメントした。

「マクドナルドが1、2年前よりも高くなったのは間違いないが、それでも数千万人のアメリカ人にとって、自宅で料理をする以外で最も手頃な選択肢の1つであることに変わりはない。大抵の大手レストランは、マクドナルドのように手頃な価格で提供できればと望んでいる」

先週の決算報告では、競合他社のような大規模なプロモーションを始める計画がマクドナルドにはあるかと質問したアナリストもいた。例えば、ウェンディーズは8月下旬、4つの商品の中から好きなものを2つ選べる3ドルの朝食セットをメニューに取り入れた。

ケンプチンスキー氏は、マクドナルドは「競合他社のプロモーションの動き」を注視していると答えた。

「わたしたちは、自分たちの価値を維持するために必要なことをするつもりだ。価値にはいろいろなものが含まれている。価格だけではない。より良い顧客体験を届けることもその1つだ。実行面も素晴らしい。これはつまり、消費者がより温かい、より早い、より美味しい食事を手に入れることができるということだ。こうしたものが全て価値に含まれる。だからこそ、わたしたちの価値観が業界で支持されているのだろう」

客足の減少はファストフード業界全体で見られる傾向だ。分析会社Guest XM by Black Box Intelligenceによると、9月の客足は3.3%減少した。ファストフード業界で客足が鈍化するのは3カ月連続だ。

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