全米自動車労組のストライキが終結…ビッグ3の労働者が勝ち取ったものは

アメリカの3大自動車メーカーに対するストライキ期間中、フォードの組み立て工場の外で、プラカードを持つ労働者たち。

アメリカの3大自動車メーカーに対するストライキ期間中、フォードの工場の外で、プラカードを持つ労働者たち。

Scott Olson/Getty Images)

  • 全米自動車労働組合の歴史的なストライキが終結した。
  • ゼネラルモーターズは、アメリカの3大自動車メーカーのうち、暫定合意に達した最後の企業となった。
  • 労働組合は、賃金の引き上げと段階的賃金の廃止で大きな勝利を収めた。

46日間にわたるストライキを経て、全米自動車労働組合(UAW)はアメリカの3大自動車メーカー(ビッグ3)と暫定合意に達し、労働組合史上初の3社すべてのストライキが終結した。

UAWは2023年10月30日夜(現地時間)、ゼネラルモーターズ(GM)との暫定的な合意に達したことを発表した。同社は、交渉を終えたデトロイトの最後の企業だった。UAWは週末、フォードとの暫定合意を承認し、これから組合員による投票が行われる予定だ。また10月28日にはステランティスとも合意しており、ストライキは終結した。

労働者がはじめて職場を離れたのは9月15日、労働組合の以前の契約が終了したタイミングだった。「スタンドアップ・ストライキ」として知られる独特の戦略は、ストライキの資金を少しずつ使いながら、交渉の場での結果をもとにしたアクションを追加していった。

ストライキには、最も多いときで40以上の工場と4万6000人以上の労働者が参加した。

暫定的な合意は、今後3社の組合員から承認を得る必要があるが、給与の25%アップ、生活費調整の復活、最高賃金に達するまでの期間短縮などが含まれる。

UAWの新しい契約の内容

UAWによると、新しい契約に含まれる2028年4月までの25%昇給によって、時給が最大で約42ドルに引き上げられることになる。これは、契約の時点から即時の11%アップから始まり、毎年3%ずつ3回昇給し、最後は5%アップする。UAWは、2009年に停止された生活費調整の復活で、合計30%以上の昇給が可能になると述べた。

UAWは当初、40%の昇給を求めていたが、ストライキ前のフォードからの最終提示は4年間での9%アップだった。最近では、フォード、GM、ステランティスのすべてが、合計23%の昇給を提示していた。

歴史的な比較では、2001年から2022年までのすべての年における昇給は23%だったとUAWは述べている。

期間労働者も期間中に合計150%という大幅な昇給を受ける。これらの労働者は、ボーナスと収益分配も受け取る。

長い期間懸念されていた賃金の階層化と最高賃金までの長い成長期間の問題について、新卒採用者の賃金水準を低く設定する制度を廃止することで合意した。最高賃金に達するまでの期間についても、以前の8年から3年に短縮された。

その他の重要な勝利は、組織化する権利に関するものだ。フォード、GM、ステランティスとの合意は、アメリカ国内の海外自動車メーカーやテスラ、電気自動車のためのバッテリーを生産する工場など、組合のない工場にいる労働者の団結を後押しする可能性がある。

フォードとの合意では、ミシガン州に将来できるバッテリー工場の労働者をUAWの基本契約に参加させることになり、GMも同様に、韓国のLGエネルギーソリューションとのジョイントベンチャーであるウルティウム・セルズで働く労働者の参加を認めた。

争点となったもの

デトロイトにおける4年ごとの契約交渉には、常に不快な対立があるが、今回の交渉は特に議論が多く、予測できないものだった。

交渉の根底にあるのは、電気自動車に対する不安、労働力を必要としない電気自動車独自の製造プロセス、そして電気自動車が自動車メーカーの収益性に与える影響だ。

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