「言葉のない喫茶店」が原宿で5日間限定オープン。SNSで話題「やだなー展」のクリエイティブチームが手がける

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撮影:荒幡温子

原宿に、「言葉のない喫茶店」が5日間限定でオープンする。

名前の通り、言葉を使ってはいけないカフェということで、注文はジェスチャーで行われる。

一体、どんな体験ができるのだろうか。

「カフェオレ」をどう表現するか

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喫茶店に着いたら、まずは入口で注文するドリンクを選ぶ。どうやら、店内には話し声はおろか、メニューなどの一切の言葉がないようだ。

今回は、チャレンジとしてあえてややこしいメニューをと、カフェオレを選ぶことに。

同じく牛乳の入ったミルクティーもあるので、もしかするとそちらが出てくるかもしれない……というハラハラがある。

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扉の横の「ここから先は言葉NG」の看板を心に留め、いざ入店。1人での来店だったが、誰かと来た場合はもっと緊張感が走りそうだ。

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今回はテイクアウトでの利用だったので、カウンターへ。イートインであれば、着席したままオーダーできる。

さっそく、「いらっしゃいませ」の代わりにニコニコと店員さんが手を振ってくれた。

普段であれば「カフェオレを1つ」で済む話なのだが、ジェスチャーで伝えるにあたって、①ミルクベースであること、②コーヒーであること、といったように要素を分解する必要がある。

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牛乳瓶の形を店員さんに必死に伝える。

①の「ミルクベースであること」を伝えるにあたって、編み出したジェスチャーは牛乳瓶。あの輪郭を必死で表現してみたところ……3回目くらいで大きく頷いてくれたので、第一関門はクリア。

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茶葉の形は、ちょっと難しかったようだ……。

問題は②の「コーヒーであること」。咄嗟の思いつきで出たのが、「茶葉ではなく豆」であるというジェスチャー。手で葉っぱや豆の形を作って伝達を試みるも、どちらも楕円に近い形だから伝わりにくいようだ。

何か他の伝え方がないだろうか……と思い巡らせながら分かりにくいジェスチャーを何回か繰り返していたのだが、次第に店員さんの方が飲み込みはじめているようだ。

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コーヒーの果実を収穫するジェスチャーをしてくれた。だんだんと伝わってきている……!

木からコーヒーの果実を採ったり、果実を剥いたりするジェスチャーが出てきて、これで伝わっていると確信。

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一番伝わりやすいコーヒーのジェスチャーかもしれない。

ちなみに、最終確認のために店員さんが返してくれたジェスチャーは、コーヒーミルを挽く仕草。なんだ、こんなに分かりやすい伝え方があったじゃないか……。

①も、牛乳瓶なんて分かりづらい例えを使わずとも、乳搾りのジェスチャーがあったな……と気づく。だが、言葉を使ったコミュニケーションであっても、「この言い方はよくなかったな……」と後悔することはよくある。

ドリンクが出来上がるまでの間の雑談も、もちろんジェスチャー。天気の話は分かりやすい。

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出来上がったドリンクを飲んでみると……確かにカフェオレ、注文成功だ。

店員さんではあるが、言葉なしに意思疎通ができた嬉しさのあまり、思わずハイタッチしてしまった。

言葉以上に伝わるものも

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いつもはほんの数秒で終わる注文も、言葉がないだけで5分弱はかかっただろうか。

もちろん面倒な面もあるだろうが、それよりもむしろ、下手くそなジェスチャーでも諦めずに分かろうとしてくれる姿勢だったり、いつも以上に笑顔が溢れたりと、言葉がなくとも伝わるものや、もっと豊かになるものも多いように感じる。

この「伝わることが嬉しい」という気持ちは、海外旅行で現地の人と話すあの感じに似ている。

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目が合うと、手を振ってくれる店員さん。

企画を手がけたクリエイティブディレクターの明円卓(みょうえん すぐる)さんも、「言葉がいらない空間だからこそ、海外の人にも楽しんでもらえるはずだ」と話す。

明円さんは、これまでにも「やだなー展」「いい人すぎるよ展」「友達がやってるカフェ/バー」などユニークな企画をプロデュースしてきており、たびたびSNSでも話題に上る。

特にターゲットや社会的メッセージなどは設けていないといい、「面白いかどうかがまず先」だという。

「人は正面から真っ直ぐに伝えても説教されているように感じて、動いてはくれない。けれど、そこに楽しさがあると積極的にいろいろなことを考えてくれると思うんです。

普通じゃないとか、常識には当てはまらないとか、そういうことをテーマにはしているんですけど、あくまで裏テーマ。

この喫茶店では、『自分ならどういうふうに注文する?』っていう体験が楽しくなるように設計しています」

日時:11月1日(水)〜11月5日(日) 11:00〜19:00(18:30ラストオーダー)

場所: RAND表参道 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-24-3 神宮前コート C 1F

ドリンクチケット:800円

チケットサイト:https://entaku.ticket-store.jp/

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