アップル(Apple)のティム・クック最高経営責任者(CEO)。ハマスによるイスラエル奇襲攻撃直後、全従業員向けにメールを送信していたこともInsiderの取材で判明した。
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Insider編集部が独自ルートで確認した社内メッセージによれば、アップル(Apple)はユダヤ人およびイスラム教徒向けのSlackチャンネルを無期限凍結することを社内発表した模様だ。
同社のムスリム人材グループの幹部従業員を送信元とするメッセージには次のような記載がある。
「本日、皆さんにお伝えしなければならない非常に重要なアップデートがあります。皆さんの意見や考えは(ここまでの投稿を通じて)全て受け止めた上で、今後も(従業員として)議論を続けていくには、イスラム教徒向けの社内Slackチャンネルを一時凍結するしかないと、グループとして判断しました。
ユダヤ人向けSlackチャンネルも同様の凍結措置を取ると思われます」
この社内Slackチャンネルに詳しい関係者の証言によると、アップルは上記の凍結措置に先立って、イスラエルとハマスの軍事衝突に関連する複数の従業員のSlack投稿を削除したのだという。
前出の幹部従業員はメッセージの中で、一時凍結の判断に満足していないかもしれないが、とムスリム従業員たちに配慮を示しつつ、こう呼びかけた。
「今回一時凍結を判断したのは、この苦痛に満ちた悲劇的な状況の中でも、私たち(イスラム教徒)のコミュニティが尊重される環境を確保するためです。いま、かつてないほどにコミュニティが必要とされていることは、私たちの誰もが認識しています」
アップルが一時凍結前に削除したというSlack投稿の内容を、Insider編集部は直接確認できていない。
ただし、確認できた他の投稿で、ある従業員がムスリム従業員向けSlackチャンネルから削除された投稿の記述内容を根拠に、(会社側による削除の原因となった)投稿禁止トピックは、組織化を目指す活動、抗議、コーランのテキスト、ガザ地区の状況に関する不満、国際機関が使用するいくつかの特定の表現ではないかとの見解を述べている。
アップルにコメントを求めたが、記事公開までに返答はなかった。
同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、イスラエルとハマスの軍事衝突について、「口を閉ざしたまま」だとメディアから批判を受けている。
しかし、Insider編集部が独自ルートで確認した社内メールによれば、クックCEOは10月7日にハマスがイスラエル南部に奇襲攻撃を仕掛けた直後、全従業員向けに少なくとも1通のメールを送っている。
確認できた1通は10月9日付のものだ。
「皆さんの多くと同じように、私もイスラエルでの恐るべき攻撃と、同地域から届けられる悲劇的な報道に打ちのめされています。攻撃の犠牲になった人たち、愛する誰かを失った人たち、そしてこの暴力によって苦痛を強いられている全ての罪のない人たちへの同情を禁じ得ません」
なお、イスラエルとハマスの軍事衝突に関する従業員間の議論をフィルタリングしているのはアップルだけではない。
Insiderは10月24日付記事でマイクロソフト(Microsoft)の社内メッセージの存在を明らかにし、同社が従業員間の議論を禁じたことを報じた。
マイクロソフト社内の「全社」メッセージボードでは、ある従業員が、上層部からの「一方的な命令」と思われる対応によって「自分たちの仕事と会社にひどく幻滅」したと投稿。さらに次のように続けた。
「パレスチナ・イスラエル戦争が続くなか、ダイバーシティとインクルージョンを強力に推進する会社が、このようにひどく差別的で社会問題を無視するような態度をとるのを見ると悲しくなる。パレスチナの人たちを打ちのめすほどの不当な苦しみに対して、まるでうちの会社は関心がないみたいじゃないか」
この投稿には約600件のリアクションと60件のコメントが寄せられたが、その後、マイクロソフトはこの投稿へのコメントを締め切っている。