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- 円の力は非常に弱く、トルコ・リラやアルゼンチン・ペソと同じくらいになっているとドイツ銀行は述べた。
- 日本の実質利回りは記録的な低さになっている。中央銀行が引き締め政策を拒否したためだ、とあるアナリストは述べた。
- 国際収支も低水準だ。日本銀行が資本逃避を起こしたためだ。
日本円のファンダメンタルズは非常に弱く、世界で最もパフォーマンスの低い通貨と同じくらいだ、とドイツ銀行(Deutsche Bank)は11月1日、投資家へのメモに記した。
「円相場の原動力である利回りと対外収支は、トルコ・リラやアルゼンチン・ペソと同じ部類に入る」と同行の為替調査グローバル・ヘッド、ジョージ・サラベロス(George Saravelos)はレポートに書いている。
確かに対ドルでの円の下落はさほど大きくはなく、年初から15%下落である一方、リラは51%、ペソは97%の暴落だ。だが円の場合、問題は日本銀行による長短金利操作と中央銀行の利上げ拒否が直接的な原因で、その結果、実質利回りが記録的な低水準となっているとサラベロスは述べた。
円安のもう1つの要因である国際収支もまた、日銀のせいだ。日銀は実質的に「国内投資家の海外資産へのゆっくりとした資本逃避」を演出しており、日本国債は相対的に魅力がないと同氏は付け加えた。
「あなたが日本人だとして、実質利回り3%のアメリカ国債を買うことができるのに、名目利回り0.5%の5年物の日本国債を買う意味はあるだろうか」とサラベロスは述べた。
日銀が為替市場に介入しても、円高にはならず、むしろ逆効果かもしれない。米国債のようなドル建ての資産を売ることは、アメリカの利回りに上昇圧力がかかり、ドルを押し上げることになるからだ、とサラベロスは説明する。
「より重要なのは、それが日本政府の対外バランス・シートの崩壊、ひいては、財政状態の悪化につながるということだ」とサラベロスは書いている。
通貨を安定させるため、日銀は利上げを開始し、量的緩和政策を止めるべきだとサラベロスは述べた。さもなくば、国内投資家が日銀の意欲を疑問視し始め、円のボラティリティは増すことになる。
日本当局は最近、利回り規制を緩和する新たな措置を講じたが、この変化はトレーダーを失望させた。円は10月30日に一時的に上昇した後、対ドルで151円の新安値に達した。