2022年1月7日、イランのテヘランにあるイマーム・ホメイニ・モサラで展示された弾道ミサイル。イラク・アンバル州のアメリカ兵が駐留するアル・アサド空軍基地に発射されたものと同型。
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- アメリカ国防総省の当局者が、アメリカ軍基地を守るために、「指向性エネルギー兵器」を使用する可能性を示唆した。
- この兵器はレーザーやマイクロ波を使ってドローンやミサイルを撃ち落とすものだ。
- 緊張が高まる中、親イラン民兵組織がアメリカ軍基地への攻撃を強めている。
アメリカ国防総省は、イスラエル近郊のアメリカ軍基地への攻撃に対抗するため、レーザー兵器やマイクロ波兵器を使用する可能性を示唆している。
アメリカ国防総省(Department of Defense)のパット・ライダー(Pat Ryder)報道官は2023年11月1日の会見で、イスラエルのガザ攻撃に対抗して民兵組織がイラクとシリアのアメリカ軍基地を攻撃しているという、中東の緊張状態について語った。
基地を守るためにどのような兵器システムを使用しているのかという質問に対し、ライダー報道官は、レーザーやマイクロ波を使って標的を破壊する指向性エネルギー兵器(Directed Energy Weapon)を、従来の防空システムと併用する可能性を示唆した。
「我々の軍を守るために使用する具体的な能力については言及したくないが、指向性エネルギーを含む、幅広い種類の能力を持っていることは確かだ」とライダー報道官は語った。
レーザー兵器は長い間、サイエンスフィクションの定番だったが、戦場では急速に現実のものとなりつつある。
指向性エネルギー兵器とは、通常はレーザーやマイクロ波などの高密度のエネルギーを使用し、標的を破壊または損傷させるものだ。
2019年9月10日、イギリス・ロンドンのエクセル展覧会センターで開催された武器の見本市、防衛サプライチェーンカンファレンス(DSEI)の初日に展示されたイギリスのレーザー指向性エネルギー兵器システム「ドラゴンファイア(Dragonfire)」。
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エネルギーの移動速度を考えると、これらの兵器は最も洗練されたミサイルシステムよりも速く、弾薬を使用しないため、砲弾の備蓄に依存することもない。
「弾丸やミサイルの代わりにエネルギーを使用するため、指向性エネルギー兵器は一発あたりのコストが低く、事実上無制限の発射能力を持つ可能性がある」と、2023年5月に公開されたアメリカ会計検査院(GAO)のレポートには書かれている。
いくつかの国がこの兵器の開発に取り組んでいると報じられており、アメリカ政府は年間10億ドル(約1502億円)をその開発に費やしている。
しかしながら、GAOによると、これらの兵器は通常の兵器よりも射程距離が短く、霧や嵐などの気象条件によって悪影響を受ける可能性があるという。
「アメリカ軍は2014年以来、主に対ドローン作戦のために、さまざまな指向性エネルギー兵器のプロトタイプをテストしてきた」とGAOは述べている。
2021年、防衛ニュースサイトのUSNIニュース(USNI News)は、アメリカ海軍が8隻の駆逐艦にドローンを無力化できる指向性エネルギー兵器を配備し始めたと報じた。
イスラエルのガザ攻撃を受けて、イラクの親イラン派民兵がドローンやロケット弾を使用し、アメリカ軍の基地を連続攻撃し、約20人が負傷したとNBCニュース(NBC News)が報じた。
アメリカはこの攻撃に対抗するため、防空システムを配備していると述べている。
この攻撃は、イスラエルとハマスの戦争が、より広範な地域紛争にエスカレートする恐れがある中で行われた。