グーグルには毎年、全世界で約300万人の応募がある。
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グーグルには毎年、全世界で300万人を超える人々が職を求めて応募してくる。だが、実際に採用されるのはわずか7000人、全体の0.2%に過ぎない。
元グーグルEMEA(ヨーロッパ/中東/アフリカ)人材担当責任者のキース・モラン(Keith Moran)によると、同社ではリクルーターの初回コンタクトから採用通知を出すまで平均8週間、長い時には12週間以上かかる場合もあるという。候補者たちはリクルーター、上司となる予定の者、所属予定のチームへと幅を広げてスクリーニングされていく。
このプロセスは気が遠くなるほど面倒で競争が激しい。そこでBusiness Insiderでは、どうすれば目に留めてもらえるか、モランはじめ識者に話を聞いた。以降では、グーグルに採用される可能性を高める8つのヒントを紹介する。
1. 要件をすべて満たしていなくても応募する
虚勢を張らず、ありのままの自分をアピールしよう。
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インターンシップや新卒レベルのポジションに応募する際にすべての要件を満たしていない場合は、虚勢を張らずにありのままがいい。グーグルとの相性が良ければ、リクルーターが採用の算段をつけてくれる。
ロンドンオフィスの元マーケティングリーダーで、現在アピア・ヒア(Appear Here)のCMOを務めるガストン・トーン(Gaston Tourn)は、以前は自分を詩人だと思っていて、グーグルのような大企業でマーケティングを担当することになるとは夢にも思っていなかったと語る。「グーグルは候補者の内面、つまり本当はどういう人で、どんな貢献ができる人なのかを見ています」
ヨーロッパで技術職を除くあらゆる職種の採用リーダーを務めていたモランは、応募者は自分の実績を具体的に、「データやエビデンスに基づいて説明すべき」と語る。
上級職の場合、人材要件はさらに厳しくなる。特定の技能を要する場合は採用過程でテストされることもあるので、その技能を習得する際に勉強したことを復習しておこう。
2. 履歴書をリクルーターの目に留まらせる方法
グーグルのリクルーターは数十万通もの履歴書を流し読みしていくので、複雑で読めない履歴書では何の役にも立たない。履歴書は段区切りを避け、3ページ以内に収め、必ずPDFとして保存する。箇条書きを使うことで書式が整えられ、言い回しにパンチを利かせるのに役立つ。
だからといって、個性で彩りを添えられないということではない。むしろ大いに勧めたい。自分を特徴づける事柄を3〜4個考え、リクルーターがすぐに気づくよう最初のページで際立たせておこう。ただし、自分を特徴づける事柄には何を選んでもいいというわけではない。自分が応募する職種に合わせて調整すること、とモランは言う。
3. 準備しすぎず、想定外を想定せよ
グーグルの採用プロセスは面接4回が標準だ。
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グーグルの採用プロセスは、延々と続くことがある。エンジニア職なら問題解決タスクやコーディングテスト、マーケティング職ならプレゼンをこなさなければならないかもしれない。しかも、これは標準4回の面接(上級職では6〜7回)にたどり着く前の話だ。
「面接とは別に、お茶に誘われることもよくあります」とモランは言い、こう続ける。「正式な採用プロセスはどのレベル・職能でも大きな違いはないのですが、実際の仕事の流れについてざっくばらんにやりとりする部分は、かなりバラツキがありますね」
グーグルは候補者向けに、役立つリソースを数多くサイト上に用意している。重要なのは、自分の面接担当者について調べておくこと、自分の職務について十分に理解しておくこと、グーグルの価値観を理解することだ。
人材紹介会社ICリソーシズ(IC Resources)創業者兼ディレクター、ニール・ディキンズ(Neil Dickins)は、「面接というのは結局のところ面接官自身に関わってくるものですから、面接官について知れば知るほど、面接でどんなことを聞かれるかもわかるものです」と言う。
モランは、グーグルでは想定外を想定すべき、とも言う。つまり、そらで繰り返すつもりの答えを携えて面接に臨むのではなく、「違った角度から考え、適応し、反応する」心構えで面接に臨むべきというのだ。
4. 面接前に自問すべき4つのこと
Insiderの取材に応じた識者らによると、グーグルの面接ではよく次の質問が出るという。
- 情熱を持って取り組んでいることは何ですか?
- なぜこの仕事に興味があるのですか?
- グーグルに何をもたらすことができますか?
- これまでのキャリアで成し遂げた業績を3つ挙げてください(何らかのつまずきがあった場合は、他にどうすればよかったかを進んで話す)
5. 最高のアイデアについて話す
とびきりビッグなアイデアで武装して臨もう。
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先の識者らは、面接には自分のとびきりビッグで最高のアイデアを準備して面接に臨むべきと語る。ただし、そのアイデアを口にする前に「10倍ルール」をお忘れなく。最初想定したよりも10倍大きく膨らませ、さらにもう一度10倍に膨らませるのだ。
ディキンズによると、グーグルは大きく考える人材を求めており「話す内容や考えているコンセプトが何であれ、それを大規模分散システムに変えることができれば、それが優れたアイデアであり、自分はグーグルにふさわしいものの考え方ができる人物だと証明できます」
6. 対象が風変わりなものでも、情熱を示す
週末にゼロからロボットを構築したりアプリを開発したりしているのなら、臆することなく面接官にそのことを伝えよう。記憶にとどめてもらいやすくなるはずだ。
「個人の趣味としてやっていることがあれば、必ずそれを強調してください」とディキンズは言う。
モランは「特定の職務や製品にとどまらず幅広い分野に興味を持っている」候補者には目が留まったと言う。
自分の個性を見せることを恐れないこと。ただし謙虚さを忘れずに。謙虚さはグーグルにおいて重要な価値観だ、と識者らは口を揃える。
7. 好奇心を持って質問する
会話が途切れたタイミングで質問しよう。
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面接では会話が途切れたタイミングで質問するべき、とモランは言う。「こういう時にこそ、みんながどんな面白いことに夢中になっているのかが垣間見えるんじゃないでしょうか」。「今、どんな秘密プロジェクトが行われているのか」を聞いてみよう。
グーグルの元マーケティングリーダーであるトーンは、面接官にぶつけられるように、気のきいた意外な質問を3つ用意しておいてはどうかと言う。
「テクノロジー業界はものすごい速さで変化しています。こういう環境で唯一成功をもたらすのは、好奇心を持ち、質問し、新しいことを理解する姿勢です」
8. オンライン、オフライン双方で自分を可視化する
グーグルには特定のスキルを持つ候補者をサーチするための専用チームが存在する。彼らはLinkedInなどのプラットフォームを使うので、グーグルに就職したければLinkedInのプロフィールを常に更新し、「企業側が簡単に見つけられるようなキーワード」をプロフィールに入れておくべきとモランは語る。
グーグルの主催、あるいはグーグルの社員が参加するキャリアイベント、フォーラム、ワークショップに参加して、自己紹介をするのもいい。人生何があるかわからないものだ。応募書類に記入する際、社内紹介者としてその人の名前を使わせてもらうことだってあるかもしれない。
応募書類だけでなく、グーグル社員に知り合いがいれば目に留めてもらえる確率は飛躍的に高まる、とモランは言う。
※この記事は2020年7月10日初出です。