生活者が企業に解決を期待するソーシャルイシュートップ10。
出典:魅力度ブランディング調査(企業広報戦略研究所)
企業に解決してほしい課題をたずねたところ、「労働環境の改善」を上回り、「日本の科学技術力の低下」が2位に入った。
調査したのは電通PRコンサルティングの企業広報戦略研究所だ。2023年7月、全国の20〜60代の1万人にアンケートを実施し、「生活者が企業に解決を期待するソーシャルイシュー」と題しランキング化した。
1位「賃上げ」(16.8%)、3位「労働環境の改善」(14.5%)、4位「長時間労働・過労死」(14.4%)と生活に密接に結びついた問題が上位に並ぶ中で、意外な結果だ。
「科学技術力の低下」(14.6%)を選択した人は男性が約6割だったのに対し、女性は約4割。年代に大きなばらつきは無いものの、若年層ほどこの問題を重要視している傾向があった。
全41項目もあるアンケートの選択肢の中から、なぜ多くの人が科学技術力の向上を選んだのか。自然科学系の論文数の減少など日本の科学技術力の低迷が叫ばれて久しいが、同研究所は、半導体不足など国産技術の問題がコロナ禍で表面化したことが背景にあると見ている。
経済安全保障の観点から多くの市民が危機感を抱き、労働問題に並ぶ社会課題になったということだろう。
寄付を通じて、自らアクションを起こす市民も増えている。資金難を理由に国立科学博物館がクラウドファンディングを実施、目標の1億円を大きく上回る約9億1500万円を集めたのは記憶に新しい。
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科学技術力向上に貢献する企業が、高い支持を得る時代に変わったとも言える。市民や消費者の声に、企業はどう応えるか。