ある出品者は、競争力があり、かつ合理的な価格設定が大切だと話しています。
Courtesy of Tammy Dinh, Ben Alistor and Emma Larocque.
Etsy(エッツィー)、Amazon(アマゾン)、Shopify(ショッピファイ)などのEコマース・プラットフォームでは、売り手は自分で作ったものや他で買ったものを売ることで数十万ドルの売り上げを立てることができる。
しかし、アイテムの価格設定をどうするか決めるには試行錯誤が必要で、最初はうまくいかないこともあるという。
価格が高すぎれば多くの顧客を獲得できないし、低すぎれば利益を食いつぶしてしまう。Insiderは3人の出品者に、どのようにして適切な価格帯に落ち着き、どのように失敗から学んだかについて話を聞いた。
自分への報酬が少なすぎると気づき、価格を倍にした
タミー・ディン(Tammy Dinh)氏は2020年、大学在学中にアパートで粘土のキーホルダーを手作りし、Etsyで販売し始めた。前もってお金を使うのを避け、材料を節約するために、顧客の注文を受けてから商品を作ることにした。
キーホルダーの値段を12ドル(約1800円、1ドル=150円換算)から始めたが、ディン氏はすぐに自分の報酬が低いことに気づいたという。
「最初の2カ月は月に150ドル(約2万2500円)ほど稼ぎましたが、最低賃金を下回っていることに気づいたのです」
そこで彼女は価格を15ドル(約2250円)に上げた。
顧客からもっと大きな商品を求められるようになると、彼女は手作りの「デスク・フレンド」、つまりもっと大きな粘土製の人形を作るようになった。
ディン氏は、他のアーティストの値段を見て、もっと高くしてもいいと気づいたという。
「アーティストが一文無しなのはおかしいと思います」
彼女はデスクフレンドの値段を1個25ドル(約3750円)にし、キーホルダーの値段を20ドル(約3000円)に上げた。そして、耐久性のあるものを作るために、より高価な樹脂を使い始めた。
ディン氏は2022年3月、Etsyが出品者への取引手数料を値上げしたことを受けて、Shopifyで自分のショップを立ち上げることを決めた。彼女は1月に9561ドル(約143万4000円)を売り上げた。
今年に入り、ディンは1つの商品の価格を45〜75ドルくらい(約6750〜1万1250円)まで上げられると感じたという。
「毎月の材料費は200ドル(約3万円)程度なので、かなり高い利益を上げることができています」
売上が止まるまで価格を上げた
ベン・アリスター(Ben Alistor)氏は2018年6月、パートナーと副業としてアマゾンFBA(配送代行サービス)でタンニングミット(ローションなどを塗るための手袋)の販売を始めた。
彼はこのビジネスにまず1200ポンド(約22万2000円、1ポンド=185円換算)を投資した。最初は、中国の卸売ECサイトのアリババ(Alibaba)で600個のミットを仕入れた。
アリスター氏は、最初の1カ月はいくつかの価格を試し、どれが最も効果的かを見極めたという。
「アマゾンFBAでの販売は、在庫がなくなるか、商品があまり売れないかの絶妙なバランスで成り立っています」
最初はミット1個を8ポンド(約1480円)で売り始めたが、11ポンド(約2035円)まで値段を上げたところで売上が 「崩壊」したという。
彼は価格を10ポンド(約1850円)に下げることにしたが、これが「商品が売れる最高の価格」だったという。
アマゾンの手数料を差し引くと、彼とパートナーは1個の販売から5.83ポンド(約1080円)を手に入れた。そして最初の1カ月で250~300個を販売することができた。
アリスター氏は新型コロナウイルスの大流行で本業の仕事を解雇された後、アマゾンのビジネスに費やす時間を週20時間から50時間に増やすことにした。
最近では、ショップに費やす時間を週10時間に減らしたという。アリスター氏とパートナーは、1月から8月までに63万1700ポンド(約1億1700万円)を稼いでいる。
オンデマンド印刷のコストを考慮し、商品の価格を引き上げた
エマ・ラロック(Emma Larocque)氏は2021年11月、副業としてEtsyでショップを立ち上げた。彼女は刺繍入りのスウェットシャツを販売することに決め、自分でデザインし、オンデマンド印刷サイトのPrintfulを使って、注文品を顧客に発送した。
ラロック氏によると、Printfulでスウェットを作るには1枚22ドル(約3300円)かかるという。彼女は「競争力があり、かつリーズナブル」な価格でスウェットシャツを販売したいと思い、41.62ドル(約6240円)に落ち着いたと話す。
「競争力がなくなるほど価格を上げたくなかったし、価値以上の値段でスウェットシャツを売りたくもなかったのです」
彼女は、Etsyの広告にも1日40ドル(約6000円)ほど費やしたと付け加えた。
自分のショップに週3時間費やしており、できればそうした時間は短くしたいと彼女は話す。
「Etsyの出品者の多くは手作業で商品を作っているので利ざやが高くなります。しかし私は商品をPrintfulで作り、発送してもらうためにもお金を払っているので、かなり受け身になっているのです」
彼女は2023年の最初の5週間で12万6000ドル(約1890万円)の売上と4万8000ドル(約720万円)の利益を上げた。