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- スイスのアールヴァンゲンでは、ウシの首につける鈴「カウベル」のせいで一晩中眠れないと、引っ越してきた2組のカップルが訴えた。
- 一方、長年ここで暮らしている住民たちは憤慨し、カウベルの存続を求める署名活動を始めた。
- カウベルはスイスの伝統的文化の重要な一部だと住民たちは話している。
真夜中にカウベルが鳴り続けるのは、歓迎されない騒音なのか、それとも大切な文化的伝統なのだろうか?
これはスイスのアールヴァンゲンという小さな村で持ち上がった疑問だ。この町に新しく引っ越してきた人々が、伝統的なカウベルの音で一晩中眠れないと訴えた。
BBC Newsによると、チューリッヒとベルンの間に位置するこの地域に最近引っ越してきた2組のカップルが、この"騒音"について村議会に正式に苦情を申し立てた。
ただ、カウベルの音はスイスの田舎ではよく聞かれるものだ。伝統的な農家は首にカウベルをぶら下げた乳牛をなだらかな緑の牧草地で飼育している。
人口約4700人のアールヴァンゲンの古くからの住民は、最近引っ越してきた新しい住民からの苦情に憤慨し、カウベルの音は自分たちの伝統的なスイス文化の一部だと主張しているとニクラウス・ロンスゴー・ハンセン(Niklaus Lundsgaard-Hansen)村長はBBCに語った。
この村には農家が5~6件あって、その中には今回の苦情は「自分と自分の牛に対する侮辱だ」と話す農家もいると村長は明かした。
住民たちはすぐに、カウベルの存続を求める署名活動を始めた。
BBCの取材に対し、ある住民は「カウベルの音を聞くとすぐに、故郷に帰ってきたと実感します」と語り、この音に悩まされる人は「田舎暮らしに対してあまりに非現実的なイメージ」を持っているので、どこか別の場所に住んだ方がいいと話した。
ロンスゴー・ハンセン村長はCBCの取材に、カウベルの存続は支持するものの、住民投票が必要とは考えておらず、個別に対処すべきだと語った。新しい住民が申し立てた苦情は今後、数週間以内に決定が下される予定だ。
苦情を申し立てたカップルのうち、1組はすでに苦情を取り下げたが、もう1組は村を離れる予定だとロンスゴー・ハンセン村長はスイスの放送局SRFに語った。
BBCは、スイスの他の村でも家畜を追跡するために農家が使用してきたカウベルが、電子チップを使ったりフェンスで囲まれた場所で放牧されることの多い"現代の農業"に必要かどうか、議論されていると報じた。
ただ、多くのスイス人にとって、カウベルを守ることはむしろある種の生活様式を守ることなのだと、BBCは伝えている。