日清食品といえば、カップヌードルだ。
撮影:三ツ村崇志
食品大手の日清食品HDは、11月9日に2024年上半期(4月〜9月)決算を発表した。
2022年から進めてきた価格改定を主な要因に、売上高にあたる売上収益が前年同期比約10.5%増の3503億7000万円。営業利益が同66.1%増の449億300万円と増収増益に。純利益は84.2%増の320億1000万円と、第1四半期に続いて好調を維持した。
通期予想についても、売上収益を7200億円(期初予想7100億円)に、営業利益を735〜765億円(同574〜605億円)に、純利益も535〜555億円(同425〜445億円)に上方修正。過去最高の決算となった前期をさらに上回る見通しを示した。年間配当も1株当たり160円から200円へ増配となった。
海外事業、ピルクルにポテチが利益を牽引
画像:日清食品HD2023年度 第2四半期決算報告資料
日清食品HDは、グループ企業である日清食品や明星食品が国内向けに販売するカップめんなどの「即席めん事業」と、飲料や菓子などからなる国内の「非即席めん事業」、加えて「海外事業」が事業の3本柱となっている。
上半期の決算では、3事業領域すべてで増収増益だった。第1四半期では原料価格の高騰にともない、唯一減益となっていた国内即席めん事業でも、「原材料価格の上昇等によるコストアップ要因がありましたが、増収効果により増益となりました」と、コスト増の影響を価格改定による増収分でカバーした構造となった。
営業利益面では、国内即席めん事業は前年同期比でほぼ横ばいに推移した一方で、第1四半期に引き続き海外事業や日清ヨーク・湖池屋などの「非」即席めん事業が全体を引き上げた。
乳酸菌飲料のピルクルの販売が好調だ。
撮影:三ツ村崇志
決算短信によると、飲料事業では日清ヨークが販売する乳酸菌飲料で特定保健用食品の「ピルクル400」シリーズが好調。2022年9月に発売した機能性食品の「ピルクル ミラクルケア」分の売り上げが加わったことで利益を押し上げた。
菓子事業でも、「湖池屋ポテトチップス」シリーズや「スコーン」シリーズ等の主力商品を中心に販売が拡大。価格改定の効果もあり増収増益となった。
海外事業では、原料コストの上昇の落ち着きと価格改定の効果に加えて、円安(為替)の影響もありアメリカを中心に好調に推移している。
「完全メシ」は1500万食突破
完全メシのカップメシ「カレーメシ欧風カレー」。EC販売のほか、コンビニなどでも販売されている。
撮影:三ツ村崇志
また決算発表資料では、2022年5月から新規事業として展開している最適化栄養食※の「完全メシ」シリーズの販売状況にも触れていた。
※最適化栄養食とは、年齢や性別、生活習慣などに応じて、一人ひとりの状態に合わせて主要な栄養素がバランスよく適切に調整された⾷。(日本最適栄養食協会より引用)
2022年通期決算で売上高が30億円、販売食数が1000万食を突破したことが発表されていたが、今回の決算でシリーズ累計1500万食を突破したことが明かされた。9月末の段階で「カップメシ」や「カップめん」など、シリーズで全12品が展開されており、今後年度末までには20品以上に展開数を増やす計画だ。
日清食品HDは、この領域を2023年度に60億円、2024年度に100億円にまで成長させる目標を掲げている。
最適化栄養食と似た、栄養バランスに配慮した商品として「完全栄養食」がある。国内で注目の完全栄養食ベンチャーであるベースフードの2022年度(2023年2月期)の売上高は98億5000万円。2023年度(2024年2月期)の売上予想が171億円だ。日清食品の完全メシシリーズとは商品ラインナップが大きく異なるため単純な比較はできないが、この市場の拡大を予想させる。