撮影:土屋咲花
食品ロス削減ECの「クラダシ」は11月9日、2024年6月期第一四半期決算を発表した。
売上高は5億5200万円で、前年同期比を14.1%下回った。営業損失は2億2000万円。純損失は1700万円だった。赤字幅は縮小した。
想定内の売り上げ減
売り上げ減の原因として、販売側のKPI「平均仕入高」と購入側のKPI「月間UU」が予想通り下落したことを挙げた。
出典:クラダシ2024年6月期 第1四半期 決算説明資料
売上高は2期連続で前期を下回った。理由はメーカーによる食品の値上げで、関藤竜也社長は「計画通り」だと説明した。
「食品値上げは数カ月前に事前告知されることから、小売企業各社は値上げ前に在庫を確保します。 弊社の主なパートナー企業であるメーカーや卸はそこで在庫が大きく圧縮されるため、フードロス品としての弊社への(商品の)案内が減少したという経緯になっています」
今期は食品値上げの影響による業績悪化を見込み、過剰なクーポンの供出を控えるなど、利益率の向上に注力。
結果、同社が「稼ぐ力」として重視している指標である限界利益率(売上高から売上原価及び配送料等の変動費を控除した金額)は前年同期比で7.5ポイント改善した。
食品の値上げによるマイナス影響は、今期までと見込んでいるという。
次の四半期で復活、倍の売り上げ計画
クラダシの関藤竜也社長。
決算説明会よりキャプチャ
第2四半期では、第1四半期(5.5億円)のおよそ倍となる10億円を売り上げる計画だ。果たして現実的なのか。
「今期(第1四半期)についてはビジネス環境の悪化を織り込んだ形で予算を出しています。第2四半期も予想通り着地すると考えています」(クラダシ・河村晃平CEO)
クラダシが売り上げを見込んでいるのは、年末商戦だ。クリスマス関連の食品やお正月のおせちといった季節商品は、時期を過ぎた途端に需要がなくなる。
売れ残り品はフードロスになることが懸念されるが、ここに介在し、再流通を担えるのがクラダシの強みだ。
「ECにおける全体的なトレンドとして、年末に商戦があり需要が旺盛というところがあります。さらに、季節性のある商品が年末に滞留しやすく、その際に弊社の方に流れてくる」(河村CEO)
クラダシがサービス利用者3109名を対象に実施したアンケートによると、昨今の食品値上げを受けて、買い物する際に変化が現れたと回答した人は9割超に上る。
具体的には「よりお得に購入する方法や場所で食品を購入するようになった(39.3%)」、「明らかに価格が高騰した食材を購入する頻度を減らした(23.6%)」、「プライベートブランドなど低価格のものを利用する機会が増えた(17.5%)」など、価格の高騰分を買い物の工夫によって相殺しようとする意識が、利用者の中で高まっていることが分かる。
「(こうした消費者の変化は)実感としてございます。 こういう時だからこそ、そのような未来のユーザーにもアプローチし、開拓につなげていきたい」(関藤社長)