BASEは同社のECサイトプラットフォーム事業において、店舗側に求める月額有料プランの値上げを発表した。
出典:BASE
ECサイトのプラットフォームを構築する・BASE(ベース)の「値上げ」が加盟店などを中心にネットで話題になっている。
BASEは11月7日の決算会見に合わせて、従来提供していた月額有料プラン「グロースプラン」の値上げを発表した。
話題になっているのがその金額で、従来では年間契約だと月額4980円、月間契約だと月額5980円。しかし、2024年1月16日以降は年間契約で月額1万6580円、月間契約で1万9980円と、約3.3倍の大幅値上げとなっている。
BASEは大企業の利用のほか、個人事業主や中小企業がネット販売に進出する際に使うケースも多い。一部の加盟店からはBASEから競合サービスへの乗り換えを検討する声も挙がっている。
BASEが値上げに踏み切った理由
今回の値上げに関する変更点。
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グロースプランの値上げに踏み切った理由についてBASE広報は「今後の機能を強化していくことも併せて発表した。そうしたところも含めてサステナブルにサービスを提供するための変更になる」とコメント。
BASEが「今後の強化していく」としているものは、以下のような新機能になる。
- 運営の業務負担を低減するAI機能(12月上旬提供開始予定)
- 既存の「送料詳細設定App」において、個数、重量などに応じて送料設定が可能になる機能(12月上旬アップデート予定)
- 海外顧客に商品を販売、発送できる越境EC代行機能(12月下旬提供開始予定)
- BASEのショップ間で、販売パートナーをマッチングさせる機能(2024年春提供開始予定)
- 既存の「メンバーシップ App」において、会員ユーザーが貯めたショップ独自のポイントと特典を交換する機能(2024年春アップデート予定)
有料プラン加入のメリットは?
料金改定後は月商約50万円かどうかがグロースプラン加入の境界線になる。
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一方、BASEは今回値上げとなる「グロースプラン」と別に月額無料の「スタンダードプラン」を提供している。いずれのプランも使える機能は同じで、前述の今後展開する機能も「(スタンダードプランでも)変わらず提供していく方針」だという。
月額課金によって変わるのは「手数料」だ。
月額無料のスタンダードプランは取引ごとに3.6%+40円の決済手数料と3%のサービス利用料が発生する。一方、有料のグロースプランでは都度発生するのは決済手数料のみで比率も2.9%になる。これらの手数料自体は2024年1月16日以降も変わらない。
BASEによると、新料金改定後は月間の売り上げ(月商)が約50万円を超えるような加盟店は、月額料を加味してもグロースプランの方がコストが抑えられる結果になるという。
なお、グロースプラン発表時にBusiness Insider Japanが試算した概算だと、料金改定前は月商16万円程度でトータルコストは抑えられる結果になっていた。
つまり今回、月商16〜50万円台の比較的小さな加盟店にとっては、料金的に「改悪」となってしまうと言える。
3.3倍値上げでも「競争優位性は変わらない」
BASEの鶴岡裕太代表(2023年4月撮影)。
撮影:小林優多郎
BASEの鶴岡裕太代表は、11月7日の決算会見でこの変更について触れており、「月額費用を値上げした後も、月商300万円を超えるショップについてはBASEが最安の水準」「競争優位性は値上げ後も変わらない」としている。
BASEのECプラットフォームとしての事業(いわゆるBASE事業)は、基本的に手数料徴収型のビジネスモデルであり、ショップの売り上げを上げることがBASEの収益を上げることにつながる。
BASEとしては比較的小さな事業体であっても月商50万円を超える事業になるようサポートするために、新機能の開発とその開発コストに必要な料金改定に踏み切ったという形だ。
BASEは決算資料において、料金改定後も「月商300万円以上」の加盟店であれば、他社より安い手数料になるとアピールしている。
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なお、BASEは値上げに関する業績への影響を「2023年12月期の連結業績に与える影響は軽微」とリリースで述べている。
また、7日の第3四半期決算会見では事業全体の流通総額や売上高が予想を上回っているとして、通期業績予想を売上高115億円(期初予想103〜108億円)、純損失11億円(同19〜14億5000万円)と上方修正している。
料金プランの改定が2024年1月16日となるため、BASEは「2024年12月期以降の業績に一定程度の影響」を見込んでいるとし、来期以降の業績開示で影響の内容を説明するとしている。