スーパーヨット・ホールディングスは、12の客室、ビーチクラブ、ヘリ発着場を完備した1億1700万ドルのスーパーヨット「ビクトリアス号」を共同所有する機会を大富豪に提供している。
AKYACHT
- スタートアップのスーパーヨット・ホールディングスは、億万長者たちに1億1700万ドルのスーパーヨット、ビクトリアス号を共同所有するチャンスを提供している。
- 共同所有権の一時金は320万ドルで、年間費用は32万1000ドル超だという。
- この船は2024年夏に就航を予定しており、同社は全長279フィートの船舶を手に入れる時を待っている。
富豪や億万長者に告ぐ。豪華なスーパーヨットを所有するために、もう1億ドル(約150億円)以上を投じる必要はない。これからは300万ドル(約4億5400万円)ほどのお手頃価格で手に入れよう。
スタートアップ企業のスーパーヨット・ホールディングス(Superyacht Holdings)は、初めて1億1700万ドル(約177億円)のヨット「ビクトリアス(Victorious)号」を取得し、スーパーヨットの所有権を(比較的)民主化するアプローチを取っているところだ。億万長者が1人でこの全長279フィート(約85m)の船の購入して所有する代わりに、裕福な旅行者たちは320万ドル(約4億8450万円)を支払えば、他の億万長者と年に数週間ビクトリアス号を共同所有し、ともに滞在することができる。
スーパーヨット・ホールディングスによると、ビクトリアス号は、夏にはスペイン、フランス、クロアチア、ギリシャなどの国々へ航海する予定だという。
AKYACHT
このスタートアップ企業の旅の計画によると、このスーパーヨットは、夏は地中海、冬はカリブ海で過ごし、この豪華な船をフローティング・ホテルやパートタイム・コンドミニアムに変身させるという。HOA料金(管理費)同様、購入者らはチップ、燃料費、食費など年間32万ドル(約4840万円)を支払う必要がある。ちなみに全長279フィート(約85m)のビクトリアス号は現在、冬の間、週95万ドル(約1億4380万円)でチャーターすることができる。
「億万長者であっても、このレベルのヨットに乗るとその豪華さに驚く」と、スーパーヨット・ホールディングスの共同設立者で共同CEOのトーマス・ロカストロ(Thomas Locastro)はBusiness Insiderに語った
ビクトリアス号には海上の「ビーチクラブ」がある。
AKYACHT
トルコを拠点とするAkyachtによって2021年に造られたビクトリアス号は、12室の客室、6つのバー、5つの公式(加えて7つの非公式)のダイニングスペースを備えている。
購入者は支払う金額に応じた制限が適用されるまで、1年中いつでも好きな客室を予約できる。つまり、まるで特別な高級クルーズのように、裕福な旅行者が何人も同時にヨットに乗っている可能性が高いという。
このヨットには最大で24人のゲストと30人のクルーが乗船できる。モナコグランプリ(Monaco Grand Prix)や大晦日のような大きなイベントの時には、船は満員になる可能性がある。だがこのスタートアップ企業は平均して62.5%のオーナー稼働率を予測している。
共同創設者で共同CEOのマシュー・ロカストロ(Matthew Locastro)は、ビクトリアスの大きさと客室数に言及し、「このプログラムに使えるようなヨットは世界にほとんどない」と語っている。
ビクトリアス号には、暖炉を備えたラウンジがある。
AKYACHT
船内にはウォークイン・ワインセラー、2つのホットタブ、屋内プール、ピアノラウンジ、映画館がある。
ヘリポートは、この海に浮かぶホテルへの送迎に利用できる。また、忘れてはならないのが温水プールを備えた広さ2150平方フィート(約200平方メートル)の船上「ビーチクラブ」だ。このビーチクラブにはスチームサウナ、マッサージルーム、ジム、サロン、ジェットスキーなどの水上遊具も備わっている。
船はすでに運航中のため、スーパーヨット・ホールディングスは改装工事をする必要がない。「我々は1日目から使えるようにしたい」とマシューは話している。
スーパーヨットの購入を検討したことのある人には、素晴らしい取引になるだろう
マシュー・ロカストロによると、同社の投資家の1人は純資産が2000万ドル(30億円)未満の「野心的な富裕層」だという。
AKYACHT
これだけの設備と数週間の乗船保証があっても、旅行者が負担するのはビクトリアス号の価格の3%以下で済む。もちろん一般人にはまだ手が届くような額ではないが、購入者層は大きく広がるだろう。
ロカストロ兄弟によると、旅客船「ザ・ワールド」に所属していた従業員の何人かが現在、スーパーヨット・ホールディングスで働いているという。
AKYACHT
このスタートアップのジェームス・セント・ジョン(James St. John)社長は以前、豪華マンション型客船の「ザ・ワールド(The World)」の社長兼CEOを務めていた。ザ・ワールドは現在200万ドル(約3億円)から1500万ドル(約22億円)で転売されている。ザ・ワールドは、就航している唯一の「海上のコンドミニアム」というコンセプトを持つ船であり、少なくとも1000万ドル(約15億円)の純資産を持つ購入者専用のものとなっている。
しかしながら、スーパーヨット・ホールディングスの共同創業者で共同CEOであるロカストロ兄弟は、エンターテインメント業界や金融アドバイザリー業界で働いてはいたものの、ヨットやクルーズ会社を経営した経験はない。
スーパーヨット・ホールディングスはまだこの船を取得していないが、これは船舶のスタートアップ企業にとって珍しいことではない
複数のユニットを購入することもできる。
AKYACHT
ロカストロ兄弟によると、スーパーヨット・ホールディングスは、予約「ユニット」の目標値に達したら、ビクトリアス号の買収を合同会社(LLC)として進める計画だという。その時、購入者の1ユニットあたり320万ドル(約4億8400万円)の支払いはすべて共通のエスクロー口座に入ることになる。
所有権は60ユニットに分割される。購入者はヨットを一定期間の使用権が与えられ、1ユニットにつき、最も豪華なスイートルームで年間平均3週間、最も豪華ではないツインルームでは、年間平均7週間利用できる。
すでに9ユニットが予約済みだと2023年11月6日にマシューはInsiderにメールで伝えている。購入者の一人であるジャスティン・ソートン(Justin Thorton)は、2倍の使用権のある2ユニットを購入する仮契約にサインした。
スーパーヨット・ホールディングスによると、ビクトリアス号は冬の間カリブ海に滞在し、セントルシア、バルバドス、イギリス領ヴァージン諸島のいくつかの島を航行する予定だという。
AKYACHT
目標とする2024年夏の開始まであと1年を切ったが、ロカストロ兄弟は今回の買収に自信を持っているようだ。それまでの間、将来の購入者の10万ドル(約1500万円)の手付金(同社がビクトリアス号を閉鎖するまで個人用エスクロー口座に保管される)は払い戻し可能である。