個人情報窃盗犯は、主にクレジットカードと銀行口座をターゲットにする。
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- 最新のデータによると、米国居住者の9%に相当する17歳以上の2390万人がなりすまし犯罪の被害に遭っている。
- 個人情報の盗用による損失額は合計で164億ドル(約2.5兆円)、平均してひとり1160ドル(約17万円)に達した。
- クレジットカードの明細を定期的に確認する、個人情報盗難防止策を購入するなどして、個人情報の保護に努めよう。
司法省の最新データによると、米国の人口の9%が個人情報窃盗の被害に遭い、ひとりあたりの被害額は平均して1160ドル(約17万円)にのぼるという。
司法統計局が2023年10月12日に発表した最新のレポートによると、2021年に17歳以上の2390万人が個人情報を盗用されたと報告している。この数字は、同じ年齢層で3年前になりすまし被害に遭った人々の割合と一致している。同レポートによると、17歳以上の米国居住者の22%、数字にしておよそ5900万人が、生涯で一度はなりすまし被害に遭ったことがあるのだそうだ。
このレポートを読めば、米国におけるなりすまし犯罪について興味深い事実が明らかになる。なにしろ、こうした犯罪に対する意識が高まり、対策が強化されているにもかかわらず、見方によっては事態が悪化しているのだ。連邦取引委員会がまとめた別のデータが、パンデミック期間中のなりすまし被害の報告件数は、2019年の65万件から2020年の139万件に倍増したことを示している。連邦取引委員会が集計した被害報告件数はさらに増え、2021年には143万件に達した。
主なターゲットはクレカと銀行口座
最も一般的ななりすまし犯罪は、既存の口座の不正使用である。クレジットカードと銀行口座の不正使用が、なりすまし犯罪全体の54%を占めていた。なりすまし犯が他人の名をかたって新規口座を開設するパターンは全体の3.2%だった。
司法省のレポートによれば、2021年、被害者の約59%は金銭被害(総額164億ドル[約2.5兆円])を被った。しかし、被害者の86%が損失を取り戻すことに成功している。彼らが金銭もしくは信用の損害を取り戻すために費やした時間は、平均して3.9時間だった。
個人情報を盗用から守る方法
すでに被害に遭ったことがある人ほど、なりすまし犯の被害者になりやすい。一度でも個人情報が盗まれたら、同じことが二度と起こらないように、追加の予防対策を講じることが重要だ。なりすまし被害者の97.2%が個人情報の盗難リスクを減らすための行動をとった。
なりすましの標的になったことがあるかどうかにかかわりなく、絶えず用心し、予防策を講じることが重要になる。いくつかの単純なステップを踏むことで、個人情報を保護できる。
最も簡単な方法は、個人情報盗難防止サービスを利用して、自分の個人情報を監視してもらい、不審な動きがあったときには通知してもらうことだ。サイバーセキュリティー対策を提供している企業も多い。なりすまし犯罪の37.5%がサイバー技術を利用していることから、そのような対策は有効だろう。復旧支援と個人情報盗難保険も提供していれば、理想の個人情報盗難防止サービスと言える。
個人情報の保護に代金を支払いたくない人のために、費用のかからない方法も存在する。アニュアルクレジットレポート・ドット・コム(AnnualCreditReport.com)を使えば、無料のクレジットレポートを入手し、身に覚えのないお金の動きがないか、確かめることができる。クレジット監視サービスに登録して、クレジットレポートに何らかの変化があったときには自動的に報告が届くようにするのもいい。いくつかの信頼できるクレジット監視サービスは無料で利用できる。
個人情報が盗まれたら何をすべき
個人情報が盗まれたときに何をすべきかは、そのときの状況によって変わる。
クレジットカードと銀行の多くは、不審な動きを自動で検知し、利用者に警告を送信する。被害者の24.6%は、金融機関から不審な活動に関する連絡を受けて、個人情報が盗まれたことに気づいた。どの銀行も、身に覚えのない金銭の動きに対して異議を申し立てる仕組みを提供しているので、詐欺行為に対して被害者が責任を問われることはない。
新たな融資限度額の設定に名前を悪用されるなどといった深刻な被害に遭った場合は、信用調査機関に相談し、詐欺行為について通知すべきだろう。加えて、アイデンティファイシフト・ドット・ガブ(IdentityTheft.gov)を通じて連邦取引委員会にも盗用を報告し、個人情報盗難報告書を作成してもらおう。この報告書を使えば、あなたは個人の信用情報に標準以上の詐欺警告を記載できるようになり、債権者に対してあなた名義で融資限度額を拡大する前に、特別なステップを踏んでより確実に身元を確かめるよう要求することができる。