イーロン・マスクが始めたEV価格競争は、テスラの首を絞める結果しか生まない

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イーロン・マスクがテスラ車の価格引き下げに踏み切った。だがこの決断がもたらす負の影響は大きい。

Mike Windle/Getty Images; Jenny Chang-Rodriguez/Insider

イーロン・マスクがEV(電気自動車)の価格競争を始めた。だが、テスラ(Tesla)がこの競争に勝つのは難しいと言える。

新たな競合他社からの圧力が高まるなか、テスラはこの1年で自社モデルの平均価格を約25%引き下げた。「モデル3」は4万8000ドル(約720万円、1ドル=150円換算)から4万4380ドル(約670万円)にまで価格が下がり、ラグジュアリーモデルの「モデルS」は13万ドル(約1950万円)から9万6380ドル(約1450万円)へと大幅に価格が下がっている。一般的には、車の値段が下がった時は早く売りたい時と考えていいだろう。

控えめに言っても、これは異例のビジネス戦略だ。調査会社コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)のコミュニケーション部門ディレクターであるマーク・シャーマーは次のように話す。

「自動車の歴史の中で、廃業していないブランドが年間で20%の値下げすることは考えられません」

狙い通りになっていない

テスラは、これらの価格引き下げによって売上が増加し、競合他社の進出を遅らせること、あるいは怯えさせて市場から完全撤退することを期待しているのだろう。

しかし実際にはそうはなっていない。これらの価格引き下げは売上の増加にまったくつながっていないのだ。

実際には、テスラの2023年第3四半期における納車台数は減少しており、売上高も減少している。かつて順調だったテスラの利益率は圧迫され、1年前の25.1%から2023年第3四半期には17.9%にまで落ち込んでいる。

競合他社は廃業に追い込まれたりなどしていない。かつてEV分野で完全に優勢だったテスラのアメリカ市場におけるシェアは、年初の62%から現在はわずか50%にまで低下してしまった。

さらに悪いことに、EVに対するアメリカ国民の欲求は、自動車メーカーが予想したほど急速に高まっていない。このことは、ほんの少しずつしか大きくならない1つのパイをめぐって、テスラが長期戦に突入したことを意味する。

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