2023年第3四半期、メタ傘下のSNSアプリは好調に推移している。
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メタ(Meta)の主力アプリが久々に、いくつかの重要な指標でTikTokを上回った。
メタが運営するFacebookとInstagramは2023年第3四半期、全世界でのアプリダウンロード件数、DAU(デイリーアクティブユーザー数)、MAU(月間アクティブユーザー数)を伸ばした。一方、TikTokは同期間これら3指標すべてで伸び悩みが続いている。
今回の結果はメタにとって2021年末以来の好転となった。当時、Facebookのユーザーベースは初めて減少し、他のアプリでも小幅な成長にとどまった。その数カ月後、メタは創業以来初めて売上高の減少を発表した。共同創業者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)率いる同社は、絶えずTikTokと比較され、メタバースより成長を重視する投資家に打ちのめされた。だがついに一矢報いたのだ。
TikTokを久々に上回る
アップトピア(Apptopia)のデータによると、Facebookの第3四半期はDAUが1.5%増、MAUが1.8%増となった。InstagramはDAUが1.5%増、MAUが1.6%増だった。どちらのアプリもダウンロード件数は減少し、Facebookでは3.8%減、Instagramでは2.2%減だったが、TikTokより好調だった。
中国のバイトダンス(Bytedance)が運営するTikTokの第3四半期は、ダウンロード件数が12%減少し、DAU、MAUはともに約1%減少した。
エバーコア(Evercore)の調査によると、3つのアプリの間には指標の推移に類似点が見られた。センサータワー(SensorTower)のデータに基づくエバーコアの調べでは、FacebookとInstagramのDAUが年初来横ばいであり、TikTokのDAUは同期間中に4%減少していた。
エバーコアはエンゲージメントについても掘り下げている。エンゲージメントとは、ユーザーがただアプリを起動するだけでなく、コンテンツに対しどれだけクリックや「いいね」、コメントの書き込みなどのリアクションをしたか、また、アプリの滞在時間はどのくらいかを示す指標だ。
エンゲージメントが年初来で最も伸びているのはInstagramの9%増で、次いでTikTokが8%の伸びとなった。Facebookのエンゲージメントの伸びはこれら2つを下回って年初来でわずか2%にとどまった。ただし、2021年から2022年にかけてのほとんどの期間、エンゲージメントが数四半期連続で低下していた時期と比べればはるかに良い結果だった。
エバーコアは10月に出した情報の中で、「全体として、FacebookとInstagramはともにユーザーエンゲージメントが前年比増を続けており、過去最高水準に近く、2019年を上回る水準で安定的に推移している。Facebookに関してはトレンドが以前と比べてやや前向きになっている」と記している。
メタは第3四半期決算の中で、ブラウザからのユーザーを含むFacebookの一日当たりのユーザー数が5%増加し、月間ユーザー数は3%増加したと述べている。同社によれば、すべてのアプリで一日当たり・月間ユーザー数が7%増加したという。
滞在時間はTikTokが圧勝
TikTokが依然としてFacebookとInstagramを上回っている指標が一つある。アプリの平均滞在時間だ。エバーコアの調査によれば、平均的なTikTokユーザーは一日になんと100分、つまり2時間近くもアプリに費やしているという。なお、Instagramユーザーは1日平均58分、Facebookユーザーは平均約45分だ。
主要ソーシャルメディアの1日平均滞在時間。
Evercore ISI
とはいえ、メタには新たな成長分野が2つある。TikTokに対抗して2021年秋にリリースした、Instagramのショート動画機能「リール(Reels)」が勢いを強めているのだ。
メタは四半期決算で、リールが「収益面で中立的」になったとしている。つまり会社に損失をもたらさなくなったという意味だ。Instagramの責任者であるアダム・モッセーリ(Adam Mosseri)も、最近公開された動画の中で、「Instagramの滞在時間の半分ほど」をリールが占めるようになったと述べている。
これに加えて、メタにはThreadsがある。X(旧Twitter)に対抗して2023年7月にリリースしたアプリだ。初期の盛り上がりはすぐに冷めたものの、新機能が追加されるにつれてユーザーが戻った。Threadsのユーザー数は現在、DAUが約3300万人、MAUが1億人となっている。
ザッカーバーグは四半期決算について振り返った際、Threadsの成長の進捗に「とても満足している」と述べ、ユーザー数を10億人に増やすという野心的な目標を表明している。
「もう数年この調子で続ければ、目標達成も可能だ」(ザッカーバーグ)