アマゾンは2023年の初めに約1万8000人の従業員を削減した。
Mark Lennihan/Associated Press
アマゾン(Amazon)は先ごろ、昇進の方針に新たな要件を加えた。それは、週に最低3回以上出社することだ。
同社は10月、「昇進予定の従業員は、週に最低3回の出社を求めるオフィス回帰方針に従わなければならない」と管理職に通達した。方針に従わない場合は昇進にバイスプレジデントの承認が必要になったり、昇進が凍結されたりする。Business Insiderが入手した社内通達やメール、Slackのメッセージから明らかになった。
「昇進プロセスはマネジャーが管理しています。つまり、マネジャーには普段の会話やストレッチアサインメントを通して、皆さんの成長をサポートし、昇進に必要なあらゆるインプットを完了させる責任があります」と昇進に関する通達には記されている。
「(昇進は)週に3日以上オフィスで仕事することを想定しており、遵守されていない場合はそれがマネジャーに通知され、バイスプレジデントの承認が必要になります」
ある従業員の出社記録について、マネジャーに送信されたメールとSlackのメッセージをBusiness Insiderが確認したところ、アマゾンは出社要件を満たしていないとの理由でその従業員の昇進を凍結している。
メールには「ビルダー(※)を昇進させる予定がない場合は、承認を『却下』して、そのビルダーの四半期昇進案(PPQ)を更新すること」と記されている。
※ビルダーとは
アマゾンにおけるエンジニア職の呼称。「ビルダー(大工、建築業者)とは夢を見る人のアイデアを実現する人である」という創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)の哲学にちなんでいる。
アマゾンの広報担当者はBusiness Insiderへのメールで、オフィス回帰方針の遵守は従業員の昇進にあたって同社が考慮する多数の要素のうちの1つだと語った。
「昇進は、私たちが従業員の成長と発展をサポートする多くの手段の1つであり、従業員が次のレベルへの準備ができているかを判断する際にはさまざまな要素を考慮しています。他社と同様、当社は昇進が検討されている従業員が会社の指針および方針を守ることを期待しています」
アマゾンのオフィス回帰プロセスは物議を醸しているが、今回の件は事態をさらに複雑にしている。
Business Insiderの既報の通り、アマゾンは10月、マネジャーに対して、オフィス回帰方針に従わない従業員を解雇する権限を新たに与えると通達した。昇進の対象者はまず、方針に従っていないことについてマネジャーと話し合うよう指示される。昇進が凍結された場合、マネジャーはその従業員が出社要件を継続して満たさなければ解雇できるということだ。
従業員たちは、オフィス回帰指示が最初に発表された2月から一貫してこの方針に抗っているが、状況は変わっていない。会社からの通達は、5月以降に週最低3回出社することを従業員に求めていた。
3万人以上の従業員が社内の嘆願書に署名し、これまでに多くの従業員が命令に反対して退職した。「パンデミック中にフルリモートの労働者として雇用された者もおり、命令は個々のマネジャーがチームの働き方を決定できるという以前の指針から逸脱している」というのが、これらの従業員の言い分だ。
同社は7月に方針を強化し、リモートの従業員に対し、自分のチームの従業員の大部分がいるオフィスの「ハブ」の近くに転居するよう指示した。転居を拒否したり、自分のニーズを満たすチームを探すことを拒否したりした従業員は、「自主退職」パッケージを利用するように求められた。アマゾンは9月までに、匿名化されたデータのみを追跡するという以前の方針を覆し、個人の出社記録を共有するようになった。そして、方針に従わない従業員を解雇する権限を与えると管理職に通達したのだ。
更新された昇進の指針においても、次のような「昇進の哲学」の2つの主な要素が述べられている。
- 従業員の職務には、次のレベルで発揮できる能力が必要だ。これは「職務範囲」と呼ばれることが多い。職務が従業員とともに成長できない場合(すなわち、その職務が次のレベルで存在しない場合)は、その職務では昇進することができない。
- 従業員は次のレベルの能力を常に示さなければならない。それにより、従業員は次のレベルで成功する準備ができる。なぜなら、その従業員はすでに仕事ができることを証明しているからだ。
「アマゾンのほとんどのプロセスと同様、昇進プロセスも独特であり、昇進の過程は従業員ごとに異なっている」と文書には記されている。