たった2000円の書籍から、私は「一生お金に困らない」マインドセットを得た。特に役に立った4つのヒントを共有する

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本記事の筆者、メラニー・ロッカート氏。

Courtesy of Melanie Lockert

  • お金に関する「考え方」が、お金の使い方、貯め方、投資の仕方に大きな影響を与える。
  • 私は、モーガン・ハウセルのサイコロジー・オブ・マネーを読んで、お金に関する考え方が変わった。
  • 私の考え方は「足りない」から「十分」に変わり、今までにないほど、貯蓄できている。

お金のことになると、具体的な数字やわかりやすい事実に注目する人が多い。だが、ひとつ、重要なポイントを見逃している。お金に関する「考え方」だ。

私はずっと、自分のお金に関する考え方を変える方法や、お金とメンタルヘルスとの関係を探求する方法について学びたいと考えていた。だから、モーガン・ハウセルの著書『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(原題:The Psychology of Money)を知って、夢中になって読んだ。

本書は、資産管理に役立つ具体的なヒントについて述べたいくつかの章で構成されている。その内の4つのヒントが、私がお金に関する考え方を改善して投資額を増やす上で助けとなった。

1. 複利の魔法は「時間」がつくる 

長期間にわたってリターンを生み出す複利効果は、投資家が資産を増やす助けとなる。生み出されたリターンはさらに複利で増え続け、資産を増やしていく。複利は、「利子が利子を生む仕組み」と表現されることもある。

私たちの多くは、複利効果について知ってはいても、長期スパンで本当に理解することはできていない。ハウセルは、ウォーレン・バフェットの例を挙げて、考え方を示してくれている。

バフェットは、史上最も多くの富を持つ投資家のひとりとしてよく知られている。だが、投資家としての能力だけが、彼の名声の理由ではない。

バフェットは、まだ子どもだった10歳のときに投資を始めた。つまり、彼の資産は、これまで何十年もの間、複利運用されてきたのだ。私たちのほとんどは、時間をさかのぼって過去に戻り、持っていなかった口座に資金を入れていくことなどできはしない。だが、今、投資を始めることならできる。資金を市場に投じている期間が長ければ長いほど、その資金は大きく成長していく。

本書でハウセルは、こう書いている。「バフェットは類まれな投資家である。しかし、その成功のすべてを『投資の才覚があった』という一言で片づけてしまうと、重要なポイントを見逃してしまう。バフェットの成功を読み解く真の鍵は、彼が4分の3世紀にわたって類まれな投資家であり続けたことにあるのだ」

私がここから学んだのは、「時間」が最高の味方だということ、そして、今日すぐに始めること(そして長期間にわたって継続すること)が富を築く最良の方法だということだ。

2. お金に関しては、数理的であるより合理的であることを重視したい

私が本書で好きな章のひとつは、ハウセルが、お金に関しては、数理的に考えるよりも合理的に考える方が効果的だと書いているところだ。

私たち人間には感情というものがあり、お金に関する考え方やお金の扱い方は感情の影響を受けることは避けられないと、ハウセルは認めている。彼は、「人生は表計算シート上の数字だけでは表現できない。私たちはみな、一人ひとり個性や違いを持つ、複雑で感情的な人間なのだ。私は、このことを理解するのに時間がかかった。だが、一度理解したら、ファイナンスにおいてこれほど重要な事実はないと考えるようになった」と書いている。

言い換えれば、書類の上で数字だけ見ればよさそうに思える戦略も、長期的に考えれば最良のものではないかもしれないということだ。

例としてハウセルが挙げているのが、発熱は感染症と戦うためには好ましいことなのだという話だ。数理的にはその通りだ。だが、誰だって、熱が出て、痛みや寒気、ほてりで苦しい思いをするのは嫌なものだ。苦痛を和らげるために薬を飲むのは合理的な判断だといえる。

ハウセルはこう書いている。「金融学では、計算上で最適な投資戦略を数理的に追及する。だが、人が現実世界で求めているのは、そうでない。人々が求めているのは、夜に安心してぐっすり眠れる、合理的な投資戦略だ」

これは、私が自著『親愛なる借金(Dear Debt)』で借金返済について書いたアドバイスとも合致している。多くの人が、雪だるま式か雪崩式、つまり、まず最も残高の小さい借金の返済に注力する方法か、金利が一番高い借金から返済する方法を勧める。だが私は、返済すれば夜にぐっすり眠れるようになるような借金から返すことや、その借金のことを考えると腹が立ってくるような借金から返すことも勧めている。私たちは感情的な生き物なのだから、お金に関しても、自分の気持ちが楽になるような判断をするのはそう悪いことではない——たとえそれが、書類上は「正しい」選択ではなかったとしても。何か行動しさえすれば、状況は改善に向かうのだから。

数理的な思考よりも合理的な思考をすることで、同じ戦略を貫きやすくなると、ハウセルは言う。「合理的な投資家は、理詰めで考えれば欠点があるような戦略を好む。そのため、困難な状況でもその戦略を簡単には放り出さない。それが結果的に、長い目で見れば優位に立てるのである」と彼は書いている。

自分のリスク許容度はどれくらいなのか、そして自分にとって何が合理的なのか——この指標は、羅針盤としてあなたのマネープランを導いてくれるかもしれない。

3. 「十分」の感覚を知る

お金がどれだけあっても足りない。そう感じている人は多いだろう。ハウセルはこう言う。ゴールポストはどんどん動いていくように思える。そして、私たちは常に自分と他人とを比較してしまう、と。

私は、自分自身について考えてみた。昔の私なら、今の私が得ているほどの収入を、どんなに欲しいと願うだろうか。それでも、今の私は、この額では「十分」ではないと感じている。ゴールが動いてしまったのだ。

ハウセルは本書で、貪欲さとリスクについて語っている。上向きだった人生が貪欲さとリスクによってどのようにひっくり返されてしまうかという話や、どんな成功でも貪欲さとリスクによってぶち壊されてしまうことがあるという話だ。そして、資産管理と投資において、自分にとって何が「十分」であるかを知ることが大切であると述べている。

ハウセルはこう書いている。「努力をして結果を手にしても、それに合わせて求める基準を上げ続けるのなら、いつまでたってもさらなる結果を求め続けなければならない。『もっと多く』の金、権力、名声を手に入れたいという欲望にかられ、満足感よりも野心の方が大きくなっていく」

4. 何もかも、運とリスクに左右される

マネープランにおいては、個々の行動に気を取られ、自分の得ている特権(あるいは、ハウセルの言葉を借りれば「運とリスク」)が資産運用結果にどのような影響を与えうるかということは見落とされがちだ。

ハウセルは、ビル・ゲイツについて書いている。ゲイツが通った高校にはコンピューターが導入されており、これは当時、世界的に見てもごく珍しいことだった。そしてこのことが、彼の人生とキャリアを変えた。友人のケント・エバンスはゲイツの同級生で、彼もまた、コンピューターの天才だった。残念ながらエバンスは、登山中の事故で亡くなった。

このエピソードは、運とリスクを非常にわかりやすく示している。運とリスクは、まるで操り人形につながった目に見えない糸のように、私たちの人生、キャリア、そしてお金に影響してくることがある。

ゲイツとエバンスの身に起きたことについて、ハウセルはこう書いている。「これはどちらも、『人生は個人の努力を超えた大きな力に左右される』という現実を示している。運とリスクの本質はよく似ている。だから、どちらか一方の力を信じるには、もう片方も同じように尊重しなければならない」。彼はさらに、こう述べている。人生には、偶然の幸運も偶然のリスクもどちらも存在する。自分の行動だけで結果が決まるほど、世の中は単純ではないのだから、と。

運とリスクがどのような役割を果たしているかを認識することによって、私たちは、資産管理と投資に関して、うまくいったのはすべて自分の力によるものだとか失敗したのはすべて自分のせいだとか考えてしまいそうになる罠から抜け出すことができる。

私に大きな充実感を与えてくれた『サイコロジー・オブ・マネー』のおかげで、私は、お金に関する考え方を「不安」と「不足」から「十分」の感覚に変えることができた。本書の影響で私は、貯蓄を増やし、投資も増やした。どうすれば気持ちが楽になって夜にぐっすり眠れるかということを基準にして考え、また、複利の魔法の効果も得られるように長期的にも方針を維持している。本書はまた、他のみんながしていることに惑わされすぎずに自分自身のマネーゲームをプレイすることの重要性も教えてくれた。結局のところ、あなたの人生はあなたのもの、そして、あなたのお金はあなたのものなのだ。

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