ESGの「知る人ぞ知る」先進企業は?大企業から注目の学校まで今年の9社を発表【Beyond Sustainability 2023アワード】

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Business Insider Japan

持続可能な社会の実現とビジネスの両立に取り組み、社会にインパクトを与えている企業・組織を表彰するアワード「Beyond Sustainability(ビヨンド・サステナビリティ)」(主催:Business Insider Japan)。2023年の受賞企業・組織を発表します。

選考について

各分野に精通した4名のアドバイザリー(審査員)とBusiness Insider Japan編集部が、候補となる企業・組織を選出。一堂に会して審査・議論を行い、環境、DE&I、ヒューマニズム、ローカルの4つの部門で受賞企業・組織を決定しました。

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2023年アドバイザリーボードのみなさん(左から五十音順)。

選考時、特に重視したポイントは以下です。

  • タイミング:その取り組み(分野)について、2023年にこそ表彰する意義があるか
  • オリジナリティ:その取り組み、仕組み、テクノロジーに独自性はあるか
  • ゲームチェンジャー:その事業が社会に大きなインパクトを与えるか
  • コミュニケーション:社会に対してメッセージを伝えようとしているか
  • パッション:事業に関わる人たちがどれだけ熱意を持っているか

2023年の受賞企業は……

【環境部門】

脱炭素にとどまらず、エネルギー問題、食糧問題、生物多様性の尊重などに対してテクノロジーの力をかけ合わせ、より大きな課題解決につながる取り組みを行っている企業/組織を選出しました。

■株式会社日立製作所

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リーマンショック後の経営危機を経て、10年以上の月日をかけて事業構造の大規模転換を実行し、デジタル分野、電力・鉄道といったグリーン分野を増強した。改革が一区切りついた今、IT×OT(Operational Technology)×プロダクトを活用して顧客とともに社会課題を解決する「社会イノベーション事業」にさらに注力。グリーン×デジタルでサステナブルな成長を狙うグローバルリーダーとして注目されている。

■株式会社ファーメンステーション

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独自の発酵アップサイクル技術をベースに、未利用資源を再生・循環させる社会を目指す研究開発型スタートアップ。「Fermenting a Renewable Society(発酵で楽しい社会を!)」をパーパスに、化粧品・日用品の原料製造、企業との共創、自社ブランド展開を行う。2022年には国内のスタートアップ企業として初の「B corp認証」を取得。事業性と社会性の両立を目指し、日々の取り組みを包み隠さず発信するなど、サーキュラーエコノミーの先駆け的存在として注目。

■株式会社Booon

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昆虫由来の代替プロテインの開発と製造に特化した、長崎大学発スタートアップ。これまで水産養殖飼料の原料には、魚粉(主にカタクチイワシから製造)が使われてきた。天然飼料の枯渇、生態系への配慮が叫ばれる中、それに変わるものとして食品加工残渣(ざんさ)や食品廃棄物を活用した代替プロテインを製造する。日本ではまだこのような取り組みは少なく、長崎大学の生協や地元の養殖産業とも連携したモデルに注目。


【DE&I部門】

ジェンダーダイバーシティだけでなく、エイジダイバーシティ、ニューロダイバーシティなどさまざまなインクルージョンに取り組み、業界の常識を変えようとしている企業にスポットを当てています。

■デジタルハーツグループ

デジタルハーツ

ゲームやソフトウェアの不具合を検出するデバッグ、システムテストサービスなどを通じて、安心・安全なデジタル社会の実現を目指す。同グループでは発達障害などによる特性を持つ人を「異能」と捉え、特性そのままに活躍できる場を提供。ゲームのバグを探す事業では、外国籍の人や引きこもり経験や障害がある人など、多種多様な人材を雇用している。自社のビジネス特性とフィットする形で、ニューロダイバーシティをはじめ個々の可能性を尊重した取り組みを行う。

■ANRI株式会社

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「未来を創ろう、圧倒的な未来を」というビジョンのもと、主に創業期の企業への投資、支援を行う独立系ベンチャーキャピタル。同社ではそれまで投資先の女性起業家比率が5%だったことに問題意識を持ち、2020年11月に、4号ファンドの投資先における女性起業家比率を20%にすることを宣言した。ステークホルダーを巻き込みながら格差是正に取り組み、2022年に目標を達成した。スタートアップ業界におけるジェンダー不平等の問題に投資家側から変革を図る動きから、同業他社やスタートアップ業界への波及も期待したい。


【ヒューマニズム部門】

多様化する社会で、格差、差別などの人権リスクを減らすことに寄与している企業を選出しました。

■株式会社カチタス

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そのままでは価値がつかずに流通しない空き家や住宅を買い取り、リフォームで付加価値をつけ、新築の半額程度で販売する事業を全国で展開している。主な顧客は地方在住の年収200~500万円の世帯。エネルギー価格や食料品の価格高騰により生活コストが上昇し、コロナ禍を経て経済格差が広がる中で、社会に求められる事業と言える。増え続ける空き家問題への解決、地方活性化にも寄与している。

■神山まるごと高専

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テクノロジー、デザイン、起業家精神を学ぶ学校として、2023年4月徳島県神山町に開校。「家庭の経済状況に関わらず誰もが目指せる学校にしたい」と、民間企業から集めた拠出・寄付金によって成り立つ独自の給付型奨学金制度を導入。学費が高額にならざるを得ない私立学校が多い中、新たなスキームで授業料全員無料を実現した。教育格差をなくし、優秀な人材が集まる場をつくっている。


【ローカル部門】

地域の人や資源を活かし、地域の経済を循環させている企業・組織に着目しました。

■日本郵政グループ

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グループとして、社会課題に先行して取り組む地域のベンチャー企業や地方自治体に人材を派遣する「ローカル共創イニシアティブ」を実施。経済の活性化、関係人口の創出、自治機能の維持など地域活性化のために全国にある郵便局のリソースを活かした取り組みを行っている。

■株式会社トビムシ

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地域資産としての森林に光を当てることで持続可能な地域の実現を目指し、森林価値を高める多角的な事業を展開する。北海道から九州まで日本各地の森のある地域で、地域ごとに必要とされる機能とスケールを整えた森林業経営体や地域商社の創設、運営を行う。国土の約3分の2が森林である日本にとって、環境、人、地域の可能性をつなぐ存在である。


受賞企業インタビューを特集します

「Beyond Sustainability 2023」受賞企業にその取り組みの内容をインタビューし、Business Insider Japanにて公開します。

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