2017年にはホールフーズを買収したアマゾンですが…。
Mary Meisenzahl/Insider
- アマゾンはオンライン食料品事業の分野で、ウォルマートにシェアを奪われ続けていることが最新データで分かった。
- Insider Intelligenceによると、2024年までに「アマゾンがこのトレンドを覆すことは難しくなる」という。
- アマゾンは2023年、アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)を中心に食料品戦略の見直しを進めてきた。
買い物客にオンラインで食料品を注文してもらおうと何年も努力してきたが、アマゾンはまだウォルマートに負けている。
Insider Intelligenceのデータによると、2019年以降、ウォルマートのオンラインでの食料品の売り上げはアマゾンをますます大きく上回っている。
2024年末までにウォルマートはオンラインでの食料品の売り上げの26.9%を、アマゾンは18.5%を占める見込みだという。2022年のオンラインでの食料品の売り上げはウォルマートが394億ドル(約5兆9600億円)、アマゾンが324億1000万ドルだった。
「来年にはアマゾンがこのトレンドを覆すのは難しいほど、その差は大きく広がるだろう」とInsider Intelligenceは11月14日に公表したデータのサマリーで述べている。Insider IntelligenceとBusiness InsiderはともにInsider Inc.の所有だ。
Business Insiderはアマゾンにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
2020年のパンデミックをきっかけに多くの買い物客が初めて食料品を配達や受け取りで注文するようになった。しかしここ2、3年はインフレの影響で、客は節約のためにウォルマートのような大規模小売店に目を向けるようになったとInsider Intelligenceのフォーキャスティング・アナリスト、ブライアン・ラウ(Brian Lau)は指摘している。
ウォルマートは食料品の注文に応えるため、アメリカ国内の約4600店舗を利用している。食料品の配達については、何千人ものギグワーカーのドライバーと協力している。
一方、アマゾンは倉庫と、ホールフーズやアマゾン・フレッシュといった実店舗、そして独自の配送ドライバーを組み合わせて客に食料品を届けている。
オンラインでも実店舗でも、食料品は「アマゾンにとって大きな成長の機会だ」とCEOのアンディ・ジャシー氏は4月、株主宛ての年次書簡に書いている。
Axiosが報じたChain Store Guideのデータによると、約8000億ドル規模と言われるアメリカの食料品市場でウォルマートは売上高の約25%を占め、その市場シェアでアメリカ最大の食料品店だ。一方、アマゾン傘下のホールフーズは全体の売上高の1.8%だ。
アマゾンの食料品事業の多くは、まだ買い物客に広く浸透していない。
アマゾンは2017年にホールフーズを買収した。それ以来、アマゾンは多くの定番商品を値下げし、ホールフーズを通じて配達や受け取りのオプションを強化してきた。
2020年には、ホールフーズよりも手頃な価格帯のアマゾン・フレッシュの出店も開始した。
ところが、2023年に入るとアマゾンはアマゾン・フレッシュの新規出店を取りやめ、一部店舗の内装を明るくしたり、セルフレジ端末といった機能を導入する予定だとしているとブルームバーグ・ビジネスウィークは8月に報じた。
11月上旬、アマゾンはプライム会員かどうかにかかわらず、全ての顧客に配達と受け取りのサービスを提供すると発表したとブルームバーグは報じた。同社はまた、ホールフーズの食料品をプライム会員以外にも配送し、アマゾン・フレッシュの新規出店を再開する予定だという。
「アマゾンはオンラインとオフラインの両方で、引き続き食料品の分野でウォルマートに対抗する方法を見つけようとしている」とInsider Intelligenceのラウは書いている。