習近平主席の専用車は「紅旗 」製…バイデン大統領の「走るホワイトハウス」と比べてみよう

ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席は、それぞれ特注の専用リムジンで移動する。

ジョー・バイデン大統領と習近平国家主席は、それぞれ特注の専用リムジンで移動する。

Justin Sullivan/Getty Images, Charles Dharapak/AP Photo

  • 中国の習近平国家主席は11月14日からアメリカを訪れている。
  • 彼は中国ブランド紅旗に特注したセダンをアメリカに輸送し、それでカリフォルニアを移動している。
  • これは、「ビースト」の愛称で呼ばれるアメリカの大統領専用車とはまったく異なる車だ。

2023年11月14日にアメリカに到着した中国の習近平国家主席は、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領やビジネス界のリーダーたちとの会合に臨むが、移動のために使うのは、アメリカで親しまれている車ではない。

アメリカの大統領が海外でもアメリカ産の車を伴うように、習主席も中国産の車でカリフォルニアの街を疾走することになる。


習主席が選んだのは、中国の自動車メーカー「紅旗」の車だ。同社は主に政府要人向けの公用車を製造しているが、一般向けにもいくつかのモデルを販売している

2023年11月14日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する習主席を乗せた専用車。

2023年11月14日、カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する習主席を乗せた専用車。

Qian Weizhong/VCG via Getty Images

紅旗の歴史は政府指導者のための公用車製造から始まった。社名は共産主義の象徴である赤旗を意味する。現在、中国で最も高価な車のひとつである「L5」は、全長5.555m(「5」は中国で縁起のよい数字のひとつ)と比較的長い。

紅旗の一般向けモデルは約80万ドル(約1億2000万円)で販売されているとブルームバーグが報じている。


L5のデザインは、1960年代のクラシックモデル「CA770」をベースにしている

このCA770はもともと毛沢東主席が利用していたもので、現在は博物館に展示されている。

このCA770はもともと毛沢東主席が利用していたもので、現在は博物館に展示されている。

Tao Zhang/Getty Images

1980年代に製造中止となったCA770は、クライスラー(Chrysler)の「インペリアル」をベースにしていた。


習主席仕様のL5の正確なスペックは不明だが、一般向けモデルは十分なパワーと豪華さを兼ね備えている

2019年3月26日、フランスの大統領官邸エリゼ宮を訪問後、専用車に乗り込む習主席。

2019年3月26日、フランスの大統領官邸エリゼ宮を訪問後、専用車に乗り込む習主席。

AP Photo/Francois Mori

L5は、少なくとも見た目に関してはロールス・ロイス(Rolls-Royce)の「ファントム」に匹敵する。


L5は、その構成にもよるが、基本的に強大な6.0リッターV12エンジンを搭載している。国家指導者たちはパワーアップしたバージョンを選ぶことが多い

2023年11月14日、APEC首脳会議に参加するためにサンフランシスコ国際空港に到着した習主席を乗せたリムジンと並走するセキュリティガード。

2023年11月14日、APEC首脳会議に参加するためにサンフランシスコ国際空港に到着した習主席を乗せたリムジンと並走するセキュリティガード。

Justin Sullivan/Getty Images

L5は重量もかなりのものだ。装甲メッキが施されていない一般向けモデルでも、重量は3トンを超える。


長年にわたって自動車を取材するジャーナリスト、ジェレミー・クラークソン(Jeremy Clarkso)は、L5を試乗した際、ローズウッドのパネルや翡翠のオーナメントといった豪華な装飾に注目した

2023年5月、上海世博展覧館で開催された「中国ブランドの日」イベントで展示された紅旗の「L5プレミアムモデル」。

2023年5月、上海世博展覧館で開催された「中国ブランドの日」イベントで展示された紅旗の「L5プレミアムモデル」。

CFOTO/Future Publishing via Getty Images)

クラークソンは「漫画の悪役の車みたいだ」「重過ぎてあまり速度は出ない」と述べていた。


しかし、習主席のL5がどれだけパワフルで風格があったとしても、バイデン大統領を乗せてAPECの会場を往復する「走るホワイトハウス」には敵わないだろう

ホワイトハウスを背景にした大統領専用リムジン。

ホワイトハウスを背景にした大統領専用リムジン。

Al Drago-Pool/Getty Images

カスタマイズされたキャデラックは、大統領の移動を象徴するシンボル「ビースト」として知られている。ビーストの最新モデルは2018年に登場した。2014年に当時のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が発注していたものだ。ビーストにはさまざまな特徴があり、ドアに貼られたステッカーもそのひとつだ。これで大統領専用車であることが分かる。


ビーストの価格は約150万ドル(約2億3000万円)で「車輪付きホワイトハウス」にするために必要なほとんどの機能がぎっしりと詰まっている

ジョン・F・ケネディ国際空港で大統領専用機「エアフォース・ワン」から降りるバラク・オバマ大統領を、「ビースト」のそばで待つシークレットサービスのエージェント。

ジョン・F・ケネディ国際空港で大統領専用機「エアフォース・ワン」から降りるバラク・オバマ大統領を、「ビースト」のそばで待つシークレットサービスのエージェント。

AP Photo/Charles Dharapak

ビーストは、基本的にキャデラックのセダン「XT6」をかなり拡張したもので、安全性とパワーが桁外れに向上している。


ビーストの詳細のほとんどは明らかにされていないが、重量が最大9トンで、7人乗り、パワフルなエンジンを搭載していることは分かっている

マッカラン国際空港で、バラク・オバマ大統領の到着を、大統領専用リムジンのそばで待つシークレットサービスのエージェント。

マッカラン国際空港で、バラク・オバマ大統領の到着を大統領専用リムジンのそばで待つシークレットサービスのエージェント。

AP Photo/Andrew Harnik

また、これまでのさまざまな報道によれば、防弾・防爆仕様で、化学兵器による攻撃にも耐えられるようになっていると考えられる


習主席が乗っているL5の防護機能については、あまり知られていない

APEC首脳会議のためにサンフランシスコ国際空港に到着した習主席を迎える車列。

APEC首脳会議のためにサンフランシスコ国際空港に到着した習主席を迎える車列。

Justin Sullivan/Getty Images

中国国営ニュースによると、習主席は蔡奇首席補佐官と王毅外相を伴っているという。

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