スノーピークが驚異の148万円テントを発表。純利益7割減でも「業界の常識打ち破る」

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スノーピークが2024年の新作として投入した「リゲル Pro. ストーブプラス」。値段はなんと、税込み148万5000円。

スノーピークウェブサイトを編集部キャプチャ

「ブランドの立ち位置として、業界の常識を打ち破るような、 強い新製品を出していく立場にある」

キャンプ用品大手・スノーピークの山井太社長は2023年11月17日、同日に発表した2024年の新商品について、そう力説した。

「65年の歴史の中で一番高い」

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2023年12月期第3四半期決算の投資家向けの説明会に出席した山井太社長。

オンラインでの決算説明会を撮影

スノーピークは2024年の新製品として63アイテムのうち、29アイテムを先行発表した。

目玉は薪ストーブを中心においたシェルター「リゲル Pro. ストーブプラス」。ウェブサイトによると「焚火の体験を真冬でも幕内で楽しめる、薪ストーブ付属の完全二重構造シェルター」だとしており、価格は税込み148万5000円。

新製品発表の同日には、2023年12月期第3四半期決算の投資家向けの説明会を開催した。その席で山井社長は「新製品の量と質は、スノーピークの65年の歴史の中で最も高い。スノーピー史上、最も高い148万という高価格商品だが、本日発売分の数量は完売した」とした。

「ストーブは完全な2次燃焼を行い、一酸化炭素が発生しにくく、冬のキャンプ史上、最も安全なシェルターとストーブだ」(山井氏)

コロナ後に減速。営業利益77%減少

資料

出典:『2023年12月期第3四半期決算説明資料』

一方で、スノーピークの業績は厳しい。

2023年12月期第3四半期決算によると売上高は前年同期比14.8%減の195億3400万円、営業利益は同77.2%減の7億800万円、当期純利益は68.0%減の6億6500万円だった。

スノーピークは、コロナ禍で大幅に売り上げを積み上げたが、その後は大きく失速。2023年8月には、通期の純利益予想を、従来の28億円から22億円減の約6億円に下方修正していた。

こうした現状について、決算説明会で山井社長は「我々が最も強くできることは、画期的な、強い新製品を販売すること」だと説明した。

山井社長は、2022年9月に前社長の退任を受けて、当時の会長から社長に再任。前社長の時代には、事業の多角化を推し進めていたが、「キャンプギアへの回帰」への姿勢を打ち出していた。

「去年9月に社長に戻った時点で私が考えていたよりも、かなり質がいい新製品を出せている。今後、中長期的に、スノーピークの開発力は、従来よりも倍増していくと考えている。それが、メーカーの本分でもあり、最も大事な点だ」(山井氏)

「キャンプブームの終わり」影響は?

テントの写真

スノーピークが運営するキャンプ場。岩手県・陸前高田市で撮影。

撮影:横山耕太郎

一方でSNSなどでは、「キャンプブームの終わり」が話題になっている。

キャンプブームの影響について山井氏は「コロナ禍でキャンプを始められたお客様は、従来のお客様に比べると、年間の購買金額が低い方が多いと考えている」と説明。

「2023年については、月間で1万人の新規ユーザーが増えており、巡航速度に戻っている。今年から入ってくるお客様については、コロナ前のお客様と同じような購買履歴になると予想している」(山井氏)

またハイエンド商品と、ライトユーザー向けの商品については、「もちろん高価格商品だけにフォーカスするわけではない。新商品のうち半分ぐらいは、ライトユーザー向けの商品だ」(山井氏)とした。

140万円を超える超高級テントを投入し、「高品質なキャンプブランド」への回帰を鮮明に打ち出したスノーピーク。低迷する売り上げに歯止めをかけられるか、問われる局面が続く。

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