アマゾンのアンディ・ジャシーCEO。
Associated Press
アマゾンの音声アシスタント「Alexa(アレクサ)」事業は、最近立ち上げたAGI(汎用人工知能)チームを含む数百人の従業員をレイオフする。
11月17日、Alexa・Fire TV担当バイスプレジデントのダニエル・ラウシュ(Daniel Rausch)氏はチームにレイオフを伝え、会社のリソースを生成AIに集中させるためと述べた。
Business Insiderが入手したメールにラウシュ氏は次のように記している。
「私たちは発明を続けているなか、私たちのビジネスの優先順位およびお客様にとって最も重要であると私たちが認識することにより合致するように取り組みの一部をシフトしている。つまり、生成AIに焦点を当てたリソースと取り組みを最大化することなどだ。こうしたシフトによって、いくつかの取り組みを中止することになり、結果的に数百の役割が廃止されることになる」
AGIチームのシニア・バイスプレジデントのロヒット・プラサド(Rohit Prasad)氏は、2023年7月に発足したばかりの自身のチームも影響を受けるだろうと、別のメールで以下のように続けた。
「Alexa関連の取り組みに携わるチームメイトの一部は、AGIチームのメンバーを含めて、本日の役割削減の影響を受けることになる」
アマゾンの広報担当者はBusiness Insiderの取材に対して、「難しい決断でしたが、私たちはAlexaの将来については一貫して非常に楽観的です」として次のように述べた。
「私たちが前進するなか、Alexaは私たちのビジネスにとってきわめて重要な部分であることに変わりはなく、私たちのビジョンを実現するために投資と革新を続けてまいります」
今回の広範にわたる人員削減についていち早く報じたのはニュースサイトのGeekwireだったが、AGIチームに関わる人員削減はこれまで報じられていなかった。
アマゾンでは人員削減が続いている。同社は大規模なコスト削減の一環として、2022年末から全社で約2万7000人を削減。最近ではゲーム部門に所属する人員180人が削減された。
人員削減は近年、成長の鈍化と士気の低下に苦しんでいるAlexa部門に影響を与えている。Alexaチームは、先の人員削減で最も大きな打撃を受けた部門のひとつであり、かつて人気を博した音声アシスタント技術よりも生成AIが優先されるようになったため、部門内では大きな変化が生じている。
Alexaとデバイスチームを長く率いていたデイブ・リンプ(Dave Limp)氏は最近会社を去り、元マイクロソフト幹部のパノス・パネイ(Panos Panay)氏が後任となった。アマゾンは2023年夏、オープンAI(OpenAI)のChatGPTがリードするAIブームに乗るためにAGIチームを新設。AGIチームは現在、CEOのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏の直属となっている。
Alexa部門バイスプレジデントのラウシュ氏は、アマゾンはAlexaの将来について「非常に楽観的」と11月17日のメールに記している。同氏はまた、Alexaの音声技術にAIをさらに投入するという最近の取り組みは大きな挑戦であることを強調した。
「これは難しい決断だったが、私たちはAlexaの将来について一環して非常に楽観的だ。Alexaが引き続き、私たちのビジネスにとってきわめて重要な部分であることを改めて強調しておきたい」
「新しい大規模言語モデルを音声ベースのパーソナルAIに組み込むことは、これまでもこれからも、きわめて大きな科学的・工学的課題だ」