川を渡ったら北朝鮮、中国・丹東市の今

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鴨緑江のほとりを警備する北朝鮮の兵士。北朝鮮、新義州北部。

REUTERS/Damir Sagolj

弾道ミサイルや核開発を推し進める北朝鮮を、世界は孤立した恐怖の半島と見ている。 北朝鮮の攻撃行為の活発化に伴い、アメリカが海軍の空母打撃群を北朝鮮沖に展開したと明らかにした数日後中国は国境地域に15万人の兵力を送ったと報じられた

中国は長い間、孤立した国家の唯一の主要な後ろ盾であり貿易相手国だったが、情勢が緊迫したことにより、両国間での経済活動は鈍化している。

880マイル(約1416km)に及ぶ2国間の国境は、特に影響がはっきり表れている。貿易取引は継続しているものの、未完成のままの建物や静かすぎる光景が、両国の関係の緊張を示唆している。

ロイター通信のカメラマンは、どんな状況かを知るため、中国国境の都市、丹東市を訪れた。

中国と北朝鮮の国境は、かの国にとって「生命線」と呼ばれている。

国境付近

REUTERS/Damir Sagolj


際立つ両国の違い。北朝鮮側はやせた土地が小さな町のそばまで延々と広がっているが……

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北朝鮮の農民が万里の長城で区切られた農地で働く様子。中国側の鴨緑江から見ることができる。北朝鮮新義州北部、中国遼寧省丹東市。

REUTERS/Damir Sagolj


……中国側の丹東市は都市が機能している。

丹東市

REUTERS


丹東は豊かな都市だ。ショッピングセンターや映画館があり、ウォーターフロントに建ち並ぶ高級マンションからは北朝鮮の新義州が見渡せる。

丹東市

REUTERS

Source: The Guardian

圧政の下では市民が許可なく出国することは違法であり、多くの北朝鮮人にとっては丹東が「外の世界」だ。

鴨緑江の船着き場

鴨緑江の船着き場に立つ少女。北朝鮮新義州。

REUTERS/Damir Sagolj


夜間、北朝鮮側で常に見える唯一の光。ガーディアンのマシュー・ポールター(Matthew Poulter)氏によると、これは建国の父、金日成の像がライトアップされた光だという。

北朝鮮側の夜間の光

REUTERS

Source: The Guardian

北朝鮮にとって中国は最大の貿易相手国であり、経済活動維持において大きく依存する。貿易の大部分は写真の丹東港を経由する。

丹東港

REUTERS/Damir Sagolj


写真左の鴨緑江大橋は、北朝鮮から出るための数少ないルートの1つであり、最もよく使われる貿易経路である。

鴨緑江大橋

REUTERS


閉ざされた半島で推し進められている核開発が、両国間に緊張関係をつくりだし、国連の制裁と相まって貿易の減速をもたらしている。国境付近には荒廃した建設途中の建物が散在している。

北朝鮮側の鴨緑江沿い。

北朝鮮側の鴨緑江沿い。北朝鮮新義州北部。

REUTERS/Damir Sagolj


制裁により、北朝鮮は鉄鉱石や石炭などの輸出が制限されているため、国境を通過する品物の大半は家庭用品や食料品、織物などである。

鴨緑江の土手に座る北朝鮮の兵士。

鴨緑江の土手に座る北朝鮮の兵士。北朝鮮新義州北部。

REUTERS/Damir Sagolj

Source: Reuters

北朝鮮に対する国連制裁決議に署名はしたものの、中国は貿易維持を望んでいる。政権崩壊により、群衆が国境を越えて逃げ込んでくることを懸念しているからだ。

牛車で水の中を進む男性と少年たち。

牛車で水の中を進む男性と少年たち。北朝鮮側の鴨緑江、新義州北部。

REUTERS/Damir Sagolj

Source: Reuters

国境地域では中国の携帯電話の闇取引も盛んだ。中国側の電波が川を超えて北朝鮮側にまで届くからだ。国際電話は違法だが、市民はデバイスを手にして自由を得るリスクをいとわない。

国境地域では中国の携帯電話の闇取引も盛ん。

REUTERS/Damir Sagolj

Source: BBC

状況は緊迫しているかもしれないが、国境地域は依然として多くの観光客を引き付ける。

壊れた橋の上を歩く観光客。

壊れた橋の上を歩く観光客。朝鮮戦争の際にアメリカ軍によって破壊された橋は、今では北朝鮮と中国を分ける鴨緑江の観光名所になっている。

REUTERS/Damir Sagolj


観光客は両国を分ける鴨緑江の川下りも可能だ。

鴨緑江の川下り

REUTERS/Damir Sagolj


中国人カップルが結婚式の日にボートで北朝鮮の国境を旅行するのも一般的だ。

ウエディングフォトの撮影風景。

ウエディングフォトの撮影風景。北朝鮮を間近に眺める遊覧船の上で。鴨緑江、中国遼寧省丹東市近郊。

REUTERS/Damir Sagolj


国境を示す有刺鉄線の前で昼寝する、土産物業者。

土産物業者

REUTERS


丹東を訪れることが北朝鮮をのぞき見る一番安全な方法なのかもしれない。

丹東、鴨緑江のほとりにある北朝鮮料理のレストラン。

丹東、鴨緑江のほとりにある北朝鮮料理のレストラン。民族衣装を着た女性が出迎えてくれる。 中国遼寧省丹東市。

REUTERS/Damir Sagolj


[原文:17 eerie images show what it's like to live on the China-North Korea border

(翻訳:Takae Ito)

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