Toyota
トヨタは4月19日水曜日(現地時間)、ロサンゼルス港で貨物の運搬に使用する巨大な燃料電池トラックを発表した。この18輪の大型燃料電池トラックは、燃料電池技術が大型商用車に応用できるか否かを検証する大掛かりな実証実験の一部となる。
同社はまた2020年の東京オリンピックでアスリートや観客を会場へと運ぶために、100台の燃料電池バスを投入する予定だ。
「新しい技術を浸透させるには、さまざまな場面で試してみる必要がある」と北米トヨタの先進技術車担当のシニアマネジャー、クレイグ・スコット(Craig Scott)氏はBusiness Insiderに語った。
トヨタは20年以上にわたって燃料電池車の開発を続けている。2015年10月にはカリフォルニア州で燃料電池車「MIRAI」を5万7500ドル(約630万円)で発売、現在まで約1500台を販売している。
実験に使用するトラックは、「MIRAI」の燃料電池2基と12kWhの駆動用バッテリーを搭載して、高いパフォーマンスを実現。同社によると670馬力以上、約1800ニュートンメートル(N・m)のトルクを誇る。
ディーゼルに代わるエンジンの開発を進めているのは同社だけではない。
テスラは電気セミ・トレーラーとピックアップトラックを2年以内に発表する予定。メルセデスはドイツで電気トラックのテストをすでに開始している。ニコラ・モーター(Nikola Motor)というスタートアップも2020年までに燃料電池トラックをリリースする予定だ。
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イーロン・マスク氏は燃料電池車に対して否定的で、しばしば公の場で批判の言葉を発している。「(水素エネルギーは)愚の骨頂だ」という厳しいコメントも残している。水素は生産および保存が極めて難しいことがその理由だ。
燃料電池車についての問題点はほかにもある。特に、インフラが未整備であるという事実は最も致命的な問題だ。米国エネルギー省によるとアメリカ国内には水素ステーションが34カ所しかなく、うち18はカリフォルニア州に集中している。絶対数が少ないうえ、偏りも否定できない。
電気自動車向けの充電ステーションは1万6000近くあるが、それでも電気自動車のオーナーの多くは「充電が不便」と感じている。
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インフラ構築という大きな課題を抱えているにもかかわらず、水素エネルギーを支持する人たちは、燃料電池は本質的に優れた技術だと主張する。
燃料電池車は、電気自動車に比べて航続距離が長い。また電気自動車は急速充電器を使った場合でも、充電に最速30分はかかるのに対して、水素タンクはわずか数分で満タンにすることができる。
「トラックは通常、8時間から15時間のシフトで稼働し、扱い高も大きい。トラックのビジネスモデルを考慮すると、充電に何時間もかけるわけにはいかない」とスコット氏は述べた。
トヨタ、ホンダ、ゼネラルモーターズ(GM)は、燃料電池車をアメリカ北東エリアでも走らせることができるよう規制緩和を求めている。ホンダはカリフォルニア州で水素自動車「クラリティ(Clarity)」のリースを行っているが、まだ昨年の12月に登場したばかりだ。
ホンダとゼネラルモーターズは、8500万ドルで燃料電池システムを量産する合弁会社を設立。2020年の量産開始を目指す。
燃料電池技術はまだまだ初期段階の技術だが、これらの自動車メーカーは、技術開発に取り組んでいる。
2020年のオリンピック以降、同社は日本市場向けの燃料電池バスの生産も視野に入れているとスコット氏は語った。だが、まだ確定しているわけではない。トヨタは燃料電池をフォークリフトからSUVまで、あらゆるものに展開したいと考えている。
「すべての可能性を検討している。我々は人々が欲しがる車を作らなくてはならない。SUVは、紛れもなく魅力的だ」
source:Toyota
[原文:Toyota just unveiled a massive, hydrogen-powered truck — here's what we know about it]
(翻訳:まいるす・ゑびす)