Babylonの創業者、アリ・パーサ氏
Babylon Health
人工知能(AI)が診察するスマートフォンアプリを展開するイギリスのスタートアップBabylonは、6000万ドル(約67億円)を調達した。
今回の投資ラウンドには、エジプトの富豪であるナギーブ・サウィーリス(Sawiris)氏 が参加したという。英フィナンシャル・タイムズ紙によると、前回の資金調達からちょうど1年後の投資ラウンドで、創業3年目の同社の評価額は2億ドル(約222億円)を超えた。
Babylonのアプリはイギリス、アイルランド、ルワンダで提供され、既に100万回以上ダウンロードされている。ユーザーがAIのチャットボットに症状を伝えると、症状を分析し、必要に応じて医師とのビデオ面談を勧める。一般医との面談価格はイギリスの場合、1回25ポンド(約3600円)で、専門医と通話する場合はそれよりも高くなる。ユーザーは毎月5ポンドを払って、定額でサービスを利用することもできる。Babylonのユーザーが45万人いるルワンダの場合、医師との診察の費用は50ペンスだ。
Babylonの創立者兼CEOであるアリ・パーサ(Ali Parsa)氏は、「調達した資金は、弊社の技術開発とサービス提供地域の拡大に投じる」と語った。
パーサ氏は、東南アジアとアフリカを中心に11〜12カ国へのサービス拡大を検討しており、中東政府とも協議を行なっている。
Babylonのチャットボット
Babylon
Babylonの従業員は現在約170人ほどだが、今年末までにはさらに増える見込みだ。パーサ氏は「現在、ポジションの空きが60ほどある」と語った。
Babylonの目標は、世界で最も先進的な医療AIプラットフォームを構築し、診断をより手軽にし、個人に対応した健康診断や治療を世界に提供することだ。
「最先端の人工知能と絶え間ない医学の進歩により、全世界の人々が健康的に過ごせる未来は、ほとんどの人が考えるより近くにきている」
「Babylonの科学者たちは、AIが医師よりも優れた健康診断と予測をするようになると考えている。しかしこれは、機械と医師の協調であり、競争ではない。AIは、地球上の誰でも医師や医療関係者に良心的な費用でアクセスすることを可能にするツールとなる。そして医師たちは、人間が最も得意とすることにフォーカスできるようになる」
Babylonでは医師とのビデオ通話も可能だ。
Babylon
Babylonは約100人の医師をイギリスで雇用している。彼らの多くは、子育てが忙しく、診療所や病院で常勤したくない医師だ。
Babylonは1月に、DeepMindの共同創立者、デミス・ハサビス(Demis Hassabis)氏とムスタファ・スレイマン(Mustafa Suleyman)氏を含む投資家たちから2500万ドルを調達した。フィナンシャル・タイムズ紙によると、同ラウンドで同社の評価額は1億ドルを超えた。
[原文:Investors backed an AI startup that puts a doctor on your smartphone with $60 million]
(翻訳:Wizr)