「悪魔は細部に宿る」と語るサミア・シード氏
Sameer Syed
投資銀行のJPモルガンで働いていたとき、サミア・シード(Sameer Syed)氏は全てのメールは完璧でなくてはならないと考えていた。
「メールを読んだ上司にミスを発見され、『いい加減な仕事をしている』と思われたくなかった」と彼は言う。 正確に仕上げることへの意識の強さは、シード氏が金融業界を離れ、テック系スタートアップに就職した後でも、非常に役に立った。
現在、シード氏はグーグルのストラテジックパートナーシップ部門に勤務し、金融業界の人材のテック系スタートアップへの転職を支援する「Wall Street to Silicon Alley」を四半期ごとに開いている。
「わたしの目標は、ウォール街の優れた人材とテック企業やスタートアップとの橋渡しを担うことだ」と彼は言う。シード氏によると、金融業界のプロは、仕事に対する高い倫理観と、テック系ワーカーが称賛する「新鮮な視点」を持ち合わせているという。
シード氏が考える、金融業界のプロがテック業界で生かせる資質は次の2点だ。
1. 細部にまで注意を払う
シード氏がテック系スタートアップで働き始めた頃、同僚は彼のメールやプレゼン資料について、「これはすごい! とても分かりやすく、プロフェッショナルな仕上がりだ。まるで銀行に仕事を依頼したみたいだ」とよく褒めたという。
「まさに銀行で働いていたからね」と話すシード氏は、「ここまで細部に注意を払うようになれたのは、金融業界での経験のおかげだ」と語る。
「銀行では、メールを送信する際、本当に細かい点にまで気をつけ、ミスがないかしっかり確認する必要がある。用意するプレゼン資料は、書式を統一し見やすくしなければならない。全てにおいて完璧であることが非常に重視されている」
2. 柔軟性
銀行員は融通がきかないと思われがちだが、シード氏によると、金融業界のプロは柔軟性を身につけるよう教育されるという。
高い適応能力を身につけ、迅速に新商品を理解することは、仕事で物事を素早く学ぶことにつながる。
「わたしは金融業界の人々に、テック系スタートアップの面接では柔軟性の高さを具体的に説明できるよう常々アドバイスしている。例えば『自分は、切り替えが早く、新商品や新しいコンセプトもすぐに理解できます。投資銀行業務では、顧客に影響を及ぼす可能性のある新しい規則を理解しなければならないし、金融商品を扱っている場合は、全ての商品を理解する必要があるからです』と言ったようにね」
(翻訳:Conyac)