中国初の国産空母。4月26日水曜日に中国・大連で行われた進水式にて
REUTERS/Stringer
中国は今年4月、同国で2隻目となる空母の進水式を行った。中国はこの空母を、海軍の近代化を強力に推進し、アメリカ海軍に匹敵する戦闘能力を獲得する取り組みの一環として建造した。
まだ艦名も明かされていないこの新型空母は、旧ソ連製の中国初の国産空母「遼寧」に似ているが、遼寧のノウハウが生かされている。より大型の格納庫とテクノロジーを取り入れた新型空母が起工されたのは2013年、就役は2020年となる見込み。
近年、中国の海軍力増強は、太平洋はもとより世界中の警戒心を引き起こしている。中国は国際法を無視して南シナ海に人工島を建設、軍事要塞化し、近隣諸国を脅かし、威圧している。
中国の新型空母は、世界各国の空母に匹敵するものなのか。見ていこう。
現在、中国の最新空母に関する情報はほとんどない。「001A型」と分かっている程度。就役に向けて、数年をかけて海上での試運転と演習を行っていく。現状ではアメリカ海軍パイロット1人あたりの空母離着艦回数は、中国海軍全体の回数と同じくらいだろう。
中国初の国産空母。中国・大連で開催された進水式にて。
Reuters
同空母は、改良型Sバンドレーダーと新しい艦橋を持つ。USNIによると、「001A型」はより多くの艦載機を搭載できる。
中国で唯一運用されている空母「遼寧」(2012年就役)。中国の多くの兵器と同様に、遼寧は旧ソ連で設計・建造されたものを改造した。
大連港のドックに入っている「遼寧」。2012年。
REUTERS/Stringer
ロシアと中国がまだ使用している旧ソ連の空母は、アメリカ海軍の空母とは用途が異なる。つまり、全世界を行動範囲とするのではなく、沿岸防衛に適している。
過去4年にわたり、中国人民解放軍はゼロから空母の運用体制を築き上げた。遼寧が就役するまで空母を運用したことがなかったからだ。急ピッチで技術の習得が進められた。
「遼寧」の甲板に並ぶJ-15(殲15)フライングシャーク。
Global Times via Zhang Kai
遼寧には、アメリカ海軍の空母にあるようなカタパルトがない。艦載機はスキーのジャンプ台のような甲板から発進する。
スキージャンプ式甲板。
Global Times via Zhang Kai
よって遼寧や001A型から発艦するJ-15(殲15)は、アメリカ海軍の艦載機のように多くの燃料や爆弾を搭載できない。航続距離と攻撃力は著しく制限を受けている。
しかし艦載機は軽装備となる一方で、遼寧と001A型は重装備だ。
対空ミサイルを発射する「遼寧」。
Global Times via Zhang Kai
ロシア海軍唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」。兄弟艦は遼寧のベースとなり、001A型はこの改良型だ。大きさも速度も同等、スキージャンプ式の甲板も同じ。
ロシア海軍の空母「アドミラル・クズネツォフ」。
WorldwideAircraftCarriers
アドミラル・クズネツォフは2016年、シリアでの対テロ作戦のために地中海に初めて戦闘任務についた。この空母には、メカニカルトラブルに悩まされた苦い過去がある。どこに行く時にも常に、2012年に起きたようなトラブルに備えて、タグボートが随行している。
ロシア海軍の空母「アドミラル・クズネツォフ」。
Mil.ru via Wikimedia Commons
中国の隣国インドは空母2隻体制をとっている。遼寧より小型だが、信頼性は高い。
インド海軍の空母「ヴィクラマーディティヤ」。
WorldwideAircraftCarriers by Jeff Head
日本は、ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが型護衛艦」2隻を保有。
アメリカ海軍ニミッツ級空母の前を行く海上自衛隊「ひゅうが型護衛艦」。
Public Domain
さらにより大型のヘリコプター搭載護衛艦「いずも型護衛艦」2隻も保有。「いずも型」は「ひゅうが型」に比べ、空母としての運用に重点が置かれた。
World Wide Aircraft Carriers
編集部注:イラストには、垂直離着陸が可能なF-35Bが描かれているが、日本政府はあくまでも「ヘリコプター搭載護衛艦」と位置づけている。
だが世界一の空母保有国は文句なしにアメリカだ。アメリカ海軍の空母「エイブラハム・リンカーン」は、アメリカ海軍が保有している10隻のニミッツ級空母の1隻。遼寧や001A型よりも大型で、より多くの艦載機を搭載可能。カタパルトを備え、大型の艦載機の発艦が可能。
Thomson Reuters
アメリカ海軍の空母の動力源は原子力。燃料補給やタンカーに頼らずに世界中を航海可能。
中国はカタパルトを備えた空母の建造を計画していると伝えられる。アメリカの空母に対抗するためだ。
上はアメリカ海軍のミッドウェイ級空母(1992年に退役)、「遼寧」の方が数メートル大きい。
Public Domain
出典:USNIニュース
アメリカ海軍の空母は、他国の空母ほど兵装していない。だが、護衛のミサイル駆逐艦を含む、空母打撃群で行動する。
エイブラハム・リンカーン戦闘群とオーストラリア、チリ、日本、カナダ、韓国の艦船。2000年の環太平洋合同演習にて(編集部注:当時は「空母戦闘群」と呼ばれていた)。
PH2 Gabriel Wilson
アメリカ海軍はさらに大型の最新鋭空母を建造中。新型の原子炉は、レールガンやレーザーなど未来の兵器にも対応。
現行のニミッツ級原子力空母(上)と、建造中のジェラルド・R・フォード級空母(下)。
Jeffhead.com and Business Insider
アメリカ海軍の空母は多種多様な艦載機を運用する。輸送機は兵站を担い、電子戦機は戦闘機を支援し、下のE-2ホークアイのような早期警戒管制機(AWACS)は上空から敵に関する大量のデータを送信、ヘリコプターは潜水艦を狙い、兵士を運ぶ。
他国の空母は、これほど多様な艦載機を持たない。AWACSを搭載しているのはアメリカ海軍のみ。
U.S. Navy photo by Photographer's Mate 3rd Class (AW) Jayme Pastoric.
各国の空母のサイズ比較。
アメリカ海軍のジェラルド・R・フォード級空母は、現在運用中のニミッツ級空母よりもわずかに大きいが、排水量はどちらも10万2000トン。
FOX 52 via Wikimedia Commons
アメリカ海軍は、他の国々の空母保有数の合計よりも多くの空母を保有している。
インド海軍の2隻目は現在、建造中のためこの図には含まれていない。
globalsecurity.org
source:World Wide Aircraft Carriers、Global Times via Zhang Kai、WorldwideAircraftCarriers、Mil.ru via Wikimedia Commons、WorldwideAircraftCarriers by Jeff Head、Public Domain、World Wide Aircraft Carriers、PH2 Gabriel Wilson、U.S. Navy photo by Photographer's Mate 3rd Class (AW) Jayme Pastoric.、FOX 52 via Wikimedia Commons、globalsecurity.org
[原文:China just launched a new aircraft carrier — here's how it stacks up to other world powers']
(翻訳:Conyac)