重要なのは規模? スナップチャットよりもインスタグラムを選ぶ広告主たち

DIGIDAY[日本版]より転載(2017年5月1日公開の記事)

インスタグラム(右)とスナップチャット(左)のロゴ

インスタグラムのストーリー機能の追加で、Snapchatをめぐるかつての熱狂は弱まりつつある

Brilliantist Studio / Shutterstock.com

インスタグラムがSnapchat(スナップチャット)の模倣に走っている。痛手を受けているのは、もちろんSnapchatだ。

インスタグラムのストーリー(Stories)機能がリリースされて、すでに8カ月。広告配信が可能になってから、まだ1カ月弱だが、すでにインスタグラムのストーリーはSnapchatを超えた。

ストーリーはデイリーアクティブユーザー数(以下、DAU)でSnapchatを上回っているだけでなく(インスタグラム・ストーリーのDAUは2億人。それに対してSnapchatは、同社が発表した最新の数字によると1億5800万人)、そこに費やされる広告費も右肩上がりに伸びている。エージェンシーには活気ある場所へと流される習性があり、正しいか間違っているかはともかく、インスタグラムが躍進を続ける一方で、Snapchatをめぐるかつての熱狂は弱まりつつあるというのが一般的な捉え方だ。

明暗を分ける2社の状況

「我々のクライアントの多くがSnapchatの優先順位を下げつつある」と語るのは、KBS傘下のソーシャルメディア企業、アテンション(Attention)でプレジデントを努めるトム・ブオンテンポ氏だ。広告主の具体的な名前こそ挙がらなかったが、アテンションの顧客には独自動車大手のBMWやアイスクリームフランチャイズのカーベル(Carvel)、ヘルスケア企業のノバルティス(Novartis)、音楽ストリーミングサービスを手がけるSpotify(スポティファイ)などがいる。「インスタグラムがSnapchatに照準に合わせていることは周知の事実だ」

インスタグラム・ストーリーを使用すると、Snapchatと同じく、自動で消える動画を複数作成し、それらをつなげて24時間公開できる。ブランドは、オーガニックコンテンツの投稿と広告配信の両方に、インスタグラム・ストーリーをますます活用するようになってきている。インスタグラムが持つ純然たるリーチと、ターゲティング/リターゲティング能力、担当者との対話で築かれる関係性という組み合わせによって、インスタグラム・ストーリーはブランドにとって魅力的な選択肢になった。

一方、Snapchatにとってはこの数カ月、成長が懸念材料となっている。インスタグラム・ストーリーの急激な台頭と時を同じくして、Snapchatの成長が落ち込みを見せているのだ。TechCrunch(テッククランチ)によると、インスタグラム・ストーリーが2016年8月にリリースされて以来、Snapchatの平均DAUの伸びは82%も低下したという。

マーケターたちの意見

米金融大手のキャピタルワン(Capital One)やスポーツ用品大手のナイキ(Nike)、アイスクリームブランドのベン&ジェリーズ(Ben and Jerry’s)、映像ストリーミングサービスを手がけるNetflix(ネットフリックス)などのブランド30社が、3月の本格展開に先駆けてインスタグラム・ストーリーで広告配信を試験的に行ってきた。さらに、ここにきて自動車大手のホンダ(Honda)や、商業不動産の情報提供サービスを手がけるアパートメンツドットコム(Apartments.com)、乳製品メーカーのチョバニ(Chobani)、栄養ドリンクの5アワーエナジー(5-hour Energy)をはじめとするブランドも新たに参入している。

スマホアプリ画面

インスタグラムがターゲットとする広告顧客は多岐に渡る

easy camera / Shutterstock.com

ホンダは4月10日、同社が展開する「パラパラ漫画シリーズ」キャンペーンで、「クラリティFUEL CELL」の広告をインスタグラム・ストーリーに配信した。ホンダがSnapchatではなくインスタグラムを選んだのは、同社のファンが140万人以上いるインスタグラムなら、その規模をうまく活用できるからだと、ホンダのエージェンシーであるRPAでデジタルストラテジー部門のアソシエートディテクターを務めるマイク・ドセット氏は語る。すでにブランド各社はインスタグラムに多数のオーディエンスを抱えており、多くの場合、まったく何もしなくても、ストーリーへの投稿に対するエンゲージメントを大規模かつ瞬時に獲得できる。加えて、Facebookの基盤をなすインフラの活用も容易だ。

「購入や最適化から測定、レポーティングにいたるまで、(ストーリーを含む)インスタグラム広告は、バイヤーが熟知するFacebook広告のエコシステムに直接組み込まれている。間違いなくそれがプロセスをすでに確立している広告主や、購入手続きに機敏さを欠く広告主に対する障壁を取り除いている」とドセット氏は言う。

ベン&ジェリーズがもっとも重視するのは規模だ。1月から3月にかけて行われたベータテストに参加した同ブランドは、新製品「パイントスライス(Pint Slices)」の広告をインスタグラム・ストーリーに配信した。シニアグローバルマーケティングマネージャーを努めるジェイ・カーリー氏によると、通常のベンチマークよりも高いCPM(インプレッション単価)レートが示されたという。同ブランドは夏の間にさらなる広告を配信する予定だ。

「我々が主に目指しているのは、我が社のファンがどこにいようと、その人たちに関連性のあるストーリーを提供することだ」と、同氏は語る。「我々は強固なフォロワー基盤をインスタグラムに築いている。そのフォロワーたちはインスタグラム上でエンゲージメントするだけでなく、インスタグラム・ストーリーも楽しんでくれている」

インスタ・ストーリーが有利な点

またSnapchatと比べると、インスタグラムでは広告の購入もずっと簡単だ。「オンデマンド・ジオフィルター」を除けば、セルフサービス方式の広告オプションをもたないSnapchatとは異なり(ただし、スナップ・アド向けのセルフサービスプラットフォームがまもなく登場する見込み)、インスタグラムは広告の購入と追跡を行うための統合型ダッシュボードをマーケターに提供しており、より統合性の高いダッシュボード全体で、ターゲティングとトラッキングの分析といった作業を容易にしていると、アテンションのブオンテンポ氏は述べている。

インスタグラムのモバイル画面

インスタグラムは、モバイル広告で真に重要なオーディエンスのデータの質を確保している

Jirapong Manustrong / Shutterstock.com

さらに、メディアバイイングエージェンシーのメディアソシエイツ(Mediassociates)でシニアバイスプレジデントを努めるベン・カンズ氏によると、さらに広範なFacebookのエコシステムが、より細やかなターゲティングも可能にしているという。ブランドは、Facebookのデータツールのすべてを自由に使って、ある事柄(たとえばアイスクリーム)に関心のある人々にリーチしたり、自社のCRMリストに合致したターゲティングをしたりできるのだ。また、インスタグラムには柔軟性にすぐれた購入オプションも用意されており、バイヤーはCPM(インプレッション単価)ベースのほかに、パフォーマンスに基づくCPC(クリック単価)ベースでも広告を購入できる。

「インスタグラムとSnapchatのストーリー機能はどちらも優れたフルスクリーンの没入型モバイル広告体験だが、モバイルデバイスの画面を占拠するのは、もはや難しいことでも何でもない。重要なのは『広告看板』のスペースではなく、その裏にあるデータの質だ。オーディエンスに関するデータの質が上がれば、どんな場合も広告パフォーマンスは向上するのだ」と、カンズ氏は語る。

スナチャの魅力は若年層

それでも、これはゼロサムゲームではない。ここのところクライアントは、インスタグラム・ストーリーを活用するために同プラットフォームに割り当てる予算を全体的に増やしてきたが、必ずしも、すでにSnapchatに割り当てていた予算をインスタグラムに回しているというわけではない、とエージェンシーのドイチュ(Deutsch)でソーシャル/エディトリアル・ストラテジー部門のディレクターを努めるダニエル・ジョンセン・カー氏は述べる。

Snapchatが擁する若いオーディエンスは、いまも広告主をひきつけている。Snapchatが提出したフォームS-1によると、彼ら若いオーディエンスは、毎日平均25~30分、同プラットフォームを利用しているという。またSnapchatは、測定の強化とさらなるセルフサービス・オプションの提供に向けても努力している。たとえばベン&ジェリーズは今年の夏、Snapchatに広告を配信する予定だ。

「どちらを選ぶかは、クライアントが獲得しようとしているオーディエンスによって決まる」と、同氏は述べた。

Tanya Dua (原文 / 訳:ガリレオ)

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