アップルCEOティム・クック氏。クオ氏によると、注目の新製品は同社の音声アシスタント「Siri」を搭載したインターネット接続可能なスピーカー。
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アップルは現地時間6月5日にカリフォルニア州サンノゼで開催される「WWDC 2017(世界開発者会議2017)」に合わせて、同社初となる家庭用AI製品の準備を進めている可能性がある。KGI証券のミンチー・クオ(Ming-Chi Kuo)氏が5月1日月曜日、顧客向け文書で指摘した。
同氏はこれまでもアップルの新製品に関する「予言」をたびたび的中させてきたうえに、アジアの製造業界のトレンドを予測してきたことでも知られる。
クオ氏によると、注目の新製品は同社の音声アシスタントAI「Siri」を搭載したインターネット接続可能なスピーカー。つまり、同様に音声AIを搭載した「Amazon Echo」と真正面から 競合する製品となる(編集部注:Amazon Echoは一説には総出荷台数が600〜1000万台近いと言われる)。アップルのこの新しいスピーカーはウーファー1基とトゥイーター7基、さらにiPhone6または6sと同等の処理能力を備える見通しだ。しかし、その一方で、価格はAmazon Echoの179ドル(約2万円)を上回る可能性がある。
製造は、現在同社のAirPodsの組み立てを請け負っているとされるInventecへ委託される予定で、実際すでにInventecは「2年以上にわたって家庭用AI製品をアップルと共同開発」してきたとクオ氏は述べた。
以下、クオ氏の顧客向け文書から引用する。
新製品の出荷サイクル予想。1000~1200万台超が一定期間ごとに(およそ12~18カ月ベースで)出荷されていくだろう。またAmazon Echoと同様に、さらなる拡張モデルが追加発売される可能性がある(想定される例としては、アップルの無線チップ「W1」は小型のAmazon Echo Dotと同等の製品に非常に適している)。その場合、出荷台数の規模はさらに拡大するものと考えられる」
音声AI搭載の全方向スピーカー、Amazon Echo(写真)は英語でしか使用できないのに対し、Siriはすでに18言語に対応しているとクオ氏は指摘した。そこにはもちろん、日本語も含まれている。
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Amazon Echoは英語でしか使用できないのに対し、Siriはすでに18言語に対応しているとクオ氏は指摘した。さらに、アップルはすでに大勢のiPhoneユーザーとMacユーザーを獲得しているため、大量のデータを収集して新製品のユーザー・エクスペリエンスの改善に役立てることができる。
つまり、「(音声アシスタントとIoT機能を備えた)家庭用AI製品の市場は、アップルにとって無視できないほどあまりにも急速に成長している」ということだとクオ氏は記している。
これは、アップルの家庭用スマート・スピーカーに関する第1報だ。昨年9月、ブルームバーグは、同製品の差別化ポイントは高性能マイクとスピーカー技術だと伝えた。注目のアップルの新製品には、音響部品メーカーGoertekの高指向性マイクが搭載されるとクオ氏は見ている。
(翻訳:原口 昇平)