iPodの父が参画した知られざる巨大自動車関連メーカー「マグナ」

トニー・ファデル氏

チームの一員には、アップルでiPodの開発を推進したトニー・ファデル(Tony Fadell)氏がいる。

REUTERS/Lucas Jackson

「マグナ(Magna)」という名前を知る人は少ないだろうが、世界有数の自動車部品メーカーであり、自動車の受託生産メーカーだ。

BMWのような自動車メーカーが、車を増産したいが組立工場は増やしたくないとき、声を掛けるのがマグナなのだ。

大手IT企業が電気自動車や自動運転に注目している中、マグナは5月3日水曜日、変革期にある自動車業界をリードするための専門家チームを発足させた。大手IT企業は、車両や部品の自社生産を必ずしも想定していないため、マグナにとって大きなチャンスとなる。

チームの一員には、トニー・ファデル(Tony Fadell)氏がいる。アップルでiPodの開発を推進し、グーグルの親会社アルファベット傘下でスマート家電に取り組む「ネスト(Nest)」を創業したことでも知られる電子機器のエキスパートだ。

同氏はBusiness Insiderに対し、マグナは世界の自動車部品メーカーの中で、「最も優れた一次部品メーカー」であり、「シリコンバレーのさまざまな企業が取り組んでいるが、理解できていない」自動車部品の設計・製造ノウハウを持っていると思うと述べた。

「自動車は世の中で最も複雑なコンシューマー・テクノロジーだ。携帯電話も非常に複雑だが、その携帯電話が単純に見えるほどだ。これほど多くの部品が一体となって、信頼できる素晴らしい製品が成り立っていることに圧倒される」

ファデル氏の他に、マサチューセッツ工科大学(MIT)のイアン・ハンター(Ian Hunter)教授、AT&Tの中国子会社を率いていた実業家、程美瑋氏ら4人の専門家がマグナのアドバイザリー・チームに加わる。チームリーダーは、同社の古参メンバーで最高技術責任者(CTO)のスワミー・コタギリ(Swamy Kotagiri)氏が務める。

「広範な視点を持つことが必要だ。学術界からシリコンバレー出身のトニー・ファデル氏まで、さまざまな分野の新しい視点を持つことが良いだろうと考えた。OEMから行政や規制、さらには地域的な視点まで、あらゆるシステムに関して理解するというのが基本的な構想だ」と、コタギリ氏はBusiness Insiderに語った。

ファデル氏は、自動車やその他の移動手段が、家電製品の特徴をより採り入れていく可能性に心を躍らせている。電動ゴーカートのメーカー、Actev Motorsにも関わっている同氏は、「我々は移動の選択肢が劇的に増える時期」を体験していると述べた。

「私の見解では、ホバーボード、セグウェイ、垂直離着陸機、電動バイクなどは、さまざまな人の、さまざまな移動用途に応じて利用されるようになるだろう」

「1台の車には、非常に多くのシリコンチップやソフトウエアが搭載されている。膨大な量だ。自動車製造という非常に分かりにくかった業界の扉が初めて開かれ、IT業界が足を踏み入れることができた。今後、IT業界がいくつかの分野では主導権を握ることもあるだろうし、我々にとって、非常に大きな成長機会となる」

ファデル氏は期待を込めて語った。

[原文:The father of the iPod is teaming up with the biggest car company you've never heard of

(翻訳者:Tomoko.A)

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