新しい矯正器具に数千ドルものお金を支払う気になれなかったデジタルデザイン専攻のダドリーは、矯正器具を自作してみることにした。
Amos Dudley
ニュージャージー工科大学の学生が3Dプリンターを使って、プラスチック製の歯の矯正器具を自作した。材料費は60ドル(約6800円)、歯の矯正も実際にうまく行った。創造力のある試みだ。
アモス・ダドリー(Amos Dudley)は中学生の頃、歯の矯正を行っていた。だが矯正器具をきちんと付けていなかったため、歯は少しずつ元の位置に戻ってしまった。
新しい矯正器具に数千ドルものお金を支払う気になれなかったので、デジタルデザイン専攻のダドリーは、矯正器具を自作してみることにした。
自身のブログでダドリーは、お金がなかったことと、大学にある高性能3Dプリンターが使えたという2つの事情が組み合わさって、この取り組みに至ったと説明している。
だが、完成までのプロセスは簡単ではなかった。ダドリーは歯の矯正方法について調べ、理想の歯並びから少しずつ逆算したいくつもの矯正器具の設計図を作成していった。その後は、材料費が比較的安価なプラスチックで一連の矯正器具を作成し、それらを装着して月日が流れるのを待った。
その結果、彼は最高のスマイルを手に入れた。彼がたどった手順は下記の通りだ。
ダドリーは「有名ブランドの歯の矯正器具」の画像を偶然目にした。そして、プラスチック製の器具に3Dプリンターで作成したような筋があることに気づいた。ならば、3Dプリンターで自作できるのではないかと思いついた。
Amos Dudley
まず現状の歯の型を取った。「型はとても正確で、細部までしっかりと再現されていた」とダドリー。気泡が入った箇所もあったが、型としては全く問題なかった。
Amos Dudley
型を使って歯の複製モデルを作るのは簡単だった。「型を逆さまにしてヨーグルトの容器に入れ、そこに液体の造形剤を流し込んだ。固まったら、上の部分を壊して複製した歯を取り出し、かみそりを使って周囲をきれいに仕上げた」
Amos Dudley
これで自分の歯並びがどんな状態なのか視覚的に理解できるようになった。LI-rが前に出ているのが分かる。
Amos Dudley
複製した歯のレーザースキャンもスムーズだった。「スキャンした結果は、ノギスで測った結果とほぼ同じだった」。ダドリーは歯を矯正していく段階をアニメーションで作成した。この作業もさほど難しいものではなかった。
Amos Dudley
「ここからがエキサイティングだった」とダドリー。矯正されていく過程の歯のモデルを3Dプリンターで作成した。
Amos Dudley
これが3Dプリンターで作成した歯のモデル。
Amos Dudley
3Dプリンターで作った矯正過程の歯のモデル。「順番を書いておくことがとても重要。どれも同じに見えるから」
Amos Dudley
(3Dプリンターで作った歯のモデルを型にして)真空成形機で矯正器具を作成した。歯茎が傷つかないように端の部分にはやすりをかけた。
Amos Dudley
さて、矯正が成功したのかどうか。これが矯正前。
Amos Dudley
これが4カ月後。
Amos Dudley
より詳しい手順が知りたい方はダドリーのブログをチェックしてほしい(だが、彼に矯正器具の作成を依頼することはやめてほしい)。
(敬称略)
[原文:This guy fixed his teeth by 3D printing his own plastic braces for $60]
(翻訳:まいるす・ゑびす)