ソフトバンク孫正義、純利益1.4兆円の高笑い——「ゴールドラッシュはこれからだ」

手をあげて笑顔を見せる孫正義氏

決算会見では、終始上機嫌だった孫正義氏。まさに1.4兆円の高笑いだ。

撮影:中西亮介

いまのソフトバンクグループを一言で表現すれば"絶好調"だ。

ソフトバンクグループのCEO・孫正義氏は10日、決算発表会の冒頭で自社を「金の卵を生むガチョウ」になぞらえた。「これまで『有利子負債が多い』と批判を受けてきた」とした上で、今回の好調な決算を強調。「これまでの借金はガチョウのエサだった。現に実績を出しており、今後もコンスタントに金の卵を生み続ける」と自信満々に語った。

決算発表によると、ソフトバンクグループは2016年4月〜2017年3月期の売上高が前年同期比0.2%増の8兆9010億円。本業の利益である営業利益は1兆260億円、最終的な利益は前年から3倍にあたる1兆4263億円となった。国内の通信事業が好調だったことに加え、中国の大手EC/プラットフォーマーのアリババなど保有株式の売却益が影響しているという。

最終的な利益が1兆円を超えるのは同社としては初めて。1兆円の大台に乗ったことに関して「特に感動はない。単なる通過点だと思っている」としつつも「トヨタは最終的な利益が1兆円を超すのに67年かかった。我々ははるかに短い36年で達成した」と語った。

ソフトバンク2016年度決算会見

2016年度決算サマリー。売上高8兆9010億円、当期純利益1兆4263億円。

撮影:中西亮介

孫氏はアメリカのモバイル事業子会社スプリントの現状にも言及した。「1年ほど前からスプリントが成長エンジンになると言ってきたが、それが現実になりつつある。営業利益の上昇に影響を与えてくれている」と述べた。アメリカのモバイル通信事業の業界再編についても「政権が変わってビジネスに対してオープンになった。前政権はビジネスがやりづらく不満だった。今後は業界再編の可能性があり、積極的に対応していく」と前向きな姿勢を示した。

ソフトバンクは昨年、約3.3兆円でイギリスの半導体設計企業ARMを買収したことでも世間を賑わせた。ARMについては「買ってよかった。つくづくそう思う」と断言。「今後の世界ではARMの技術を使ったAI用のチップがどんどん普及していく。業界の成長エンジンを100%手に入れた」と余裕を見せる。

ARMは確かに今後順風満帆と言っていい状況だ。笠原一輝氏の記事「1.7兆円巨額買収したインテルの『危機感』」「クラウドから『エッジ』へ——NVIDIA軸に始まった半導体業界のAI戦争」で詳しく解説されているように、マイクロソフトはARM版のWindows Serverの投入を既に発表しているし、今後AIの活用が進むIoTデバイスの世界においても、(大規模・高速な計算資源が必要なクラウド側は別として)特にキーになるエッジ側(端末側)に関してはARM SoCの利用は堅調に増加するだろう。

孫氏は会見の最後を熱を込めた口調でこう締めくくった。「ゴールドラッシュはこれから始まる。今まではただの前哨戦だった。今後はあらゆる産業が再定義されていく。これから飛ぶんだという感じだ。金のガチョウになるんだ」

(*編集部より:初出時のARMの解説「アメリカの半導体企業」を「イギリスの半導体企業」に修正しました。2017年5月11日8時20分)

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