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ミレニアル世代は彼らの両親の世代とはまったく違う。新しい服を買うのではなく、Uberにお金を使う。テレビを見ない。(紙)ナプキンを嫌がる。
現代の20〜30代の消費傾向は、過去の世代が何年も続けてきた消費パターンに反するものだ。そのため、小売業者は困惑している。ミレニアル世代は商品やサービスの「利便性」に関心を示さず、その「価値」にこそ重きを置いているからだ。
……以上の「考察」は、ゴールドマン・サックスのポッドキャスト『Exchanges at Goldman Sachs』で言われていたこと。 ゴールドマン・サックス・リサーチのリンゼイ・ドラッカー・マン(Lindsay Drucker Mann)氏は「ミレニアル世代は商品の最低価格を検索したり、自分が買いたいと思える価格になるのを辛抱強く待っている」とする。ものを購入するにしても、彼らは“目の前にある商品をすぐに購入する”のではなく、“時間をかけて検討した上で購入する”のだ。
ドラッカー・マン氏はさらにこうも言う。
「彼らは欲しいものを買うために貪欲にお金を稼ぐより、現実的な収入と支出のバランを見極め、よりスマートにお金を使うことに熱心です。ショールーミングをいとわないし、最低価格を見つけるための様々なアプリやウェブサイトを積極的に利用します」。
とはいえ、ミレニアル世代は消費を忌避しているわけではない。むしろ、その消費に「どんな価値があるのか」を慎重に考えている。そして、親世代のように車や家といった資産を買うよりも、「素敵な休暇」などの経験に重要な価値を置いているのだ。高価な買い物をしないわけではないが、仮に家を買うにしても、(ちょっと無理して)借金で家を買うのではなく、十分な貯蓄ができた時に買う。
この消費傾向は、ミレニアル世代が子供を持つ年になるにつれてさらに顕著になる。例として、ベビーフードが挙げられる。ドラッカー・マン氏によれば、過去5年間で、赤ちゃん向けの食品市場はかなり厳しい状況に追い込まれている。
ミレニアル世代で新しく親になった人たちは、あらかじめ作られたベビーフードを選ばなくなりつつある。代わりに自宅で食事を作る。その結果、睡眠不足になり、自由な時間がなくなるにもかかわらず、だ。ミレニアル世代の母親たちは、目先の利便性には目もくれず、赤ちゃんに何を食べさせているかに関心を持つ。
「子供にどんな食事を与えるのか。それは彼女たちにとってたいへん重要ことだ。ただし、その価値観に基づく消費行動は、これまで彼女たちの親世代が築いてきたものから比べると、時代的には“後退”と言っていいかもしれない。子供に出来合いのものを与えるのではなく、あえて手作りを選ぶのだから。
(翻訳:梅本了平)