ベルリン、世界最高峰のクリエイティブ発信地——ベンチャー、アートそしてドラッグ

ベルリンの建物の写真

「ベルリン(Berlin)」と聞いてあなたは何を思い浮かべるだろうか? きっと多くの方が「ベルリンの壁」を連想するだろう。確かに歴史上非常に大きな意味を持つ“壁”だが、それ以外にあまりイメージが湧かないのがベルリンの知名度の実状だ。ただ、感度の高い人々がすでに注目している通り、実はベルリンは世界有数のクリエイティブな街である。アーティストやノマドワーカーで溢れ、最新カルチャーの発信地。今回、現地で実際に目の当たりにしてきた最新のトレンドと共にその魅力をご紹介する。

ビーガンフードの都

ベルリンのカフェの写真

ベルリンではベジタリアン/ビーガンフードを提供するカフェやレストランが増えている

撮影:Matt Masui

日本でもベジタリアン向けの食事や、さらに厳格な完全菜食主義者向けのビーガンフードは、ここ数年で都市部の健康志向の20~40代女性を中心に人気が出始め、ベジタリアン/ビーガンフードを提供するカフェやレストランが増えている。

ビーガンフードはトレンド発信地であるアメリカのカリフォルニアやニューヨークから始まったものと思われているが、実はイギリス発祥の食習慣だ。イギリスから東京〜博多間程度離れたここベルリンにも非常にビーガンが多く、その食文化と洗練された店のコンセプトとの融合により、世界でもトップクラスのビーガン向けカフェやレストランが生まれてきた。今では街のレストランでほぼ間違いなくメニュー上にVeganという表記を見ることができる。

ビーガンフードの写真

ベルリンでは世界でもトップクラスのビーガン向けカフェやレストランが生まれてきた

撮影:Matt Msui

一説には、この洗練されたビーガンカルチャーをベルリンの食アーティストが持ち込んだことで、ニューヨークでもビーガン文化が浸透していったとも言われている。なぜ、ベルリンからニューヨーク? と思った人もいるだろう。食を含めた幅広いジャンルのアーティストが生息する両都市だからこそ、こうしたカルチャーの往来はごく自然なことなのだ。

現代建築家のギャラリーシティ

ベルリンの現代建築の写真

四方八方に美しい現代建築が見られるのもベルリンの特徴

撮影:Matt Masui

古い街並みを残す一方で、四方八方に美しい現代建築が見られるのもベルリンの特徴。近代建築三大巨匠に数えられるミース・ファン・デル・ローエが手掛けた美術館などを始め、多くの名だたる建築家が手掛けた建築物で溢れており、ヨーロッパで最も美しい街と評されている。

マンハッタンや東京、香港などの摩天楼で埋め尽くされた現代的な街並みとは一線を画すこの街は、高層ビルが非常に少なく、低層で環境へ配慮されたユニバーサルデザインを取り入れた現代建築が多く見られる。

連邦議会議事堂の写真

連邦議会議事堂

撮影:Matt Masui

特に美しいのが、こちらの連邦議会議事堂。イギリス人建築家ノーマン・フォスターの手によって修復されたこの建物の中央にある高さ23mのガラスドームからは、らせん状のスロープを上りながらベルリン市内を見渡せる。夜になると建物がライトアップされ、また違った姿を見せてくれる。

人に優しいエコシティ

自転車と人

極めてフラットな地形

撮影:Matt Masui

なぜ、世界中からベルリンに移り住む人が多いのか。その理由の1つが人に優しい街づくり。街を歩くと、多くの市民が自転車に乗っている姿が見られる。アップダウンが激しい東京とは違い、極めてフラットな地形という事情もある。何より至る所に自転車専用レーンや豊富な駐輪スペースが整備され、レンタサイクルも浸透している。

クリエイターが住み着くアートシティ

壁に書かれたアート

この街には世界中のクリエイターが集い、日夜芸術活動にいそしんでいる

撮影:Matt Masui

アートに関心がある人なら誰もが知るベルリンのアートの側面。そう。この街には世界中のクリエイターが集い、日夜、芸術活動にいそしんでいる。

壁に描かれたアート

アーティストが集まるイーストサイドギャラリー

撮影:Matt Masui

有名なスポットがイーストサイドギャラリーだ。ベルリンの壁にクリエイターたちがそれぞれのスタイルで作品を描き、ベルリン随一のツーリストスポットとなっている。

イーストサイドギャラリーの写真

遊び場にもアートが溢れている

撮影:Matt Masui

ベルリナーたちの日常の遊び場もアートに溢れており、こちらは暗い室内でトリッキーなコースが蛍光塗料で塗られたミニゴルフ場(Schwarzlicht minigolf)だ。お酒を飲みながら、幻想的な雰囲気をグループで楽しめる人気スポットである。*公園内にあるが、夜になると(公園は)物騒な場所になるので注意。

落書きアートに彩られた街

建物の落書き

この街は至る所が落書きで埋め尽くされている

撮影:Matt Masui

1日街中を散策するとすぐに気付くであろう事実。この街は至る所が落書きで埋め尽くされている。一見、治安を心配しそうになるが、ギャングのマーキングというよりは芸術的なものが多い。良く思わない市民もいる一方で、イーストサイドギャラリーと同様、街の一部として溶け込み、本格的に壁一面を落書きアートで装飾した建物も存在する。

ベルリナーたちの美意識

ベルリンのカフェの写真

クールだけれども決してコンセプト過剰ではなく、ヒップで少しダーティーさを匂わせる美意識がある

撮影:Matt Masui

ベルリンのカルチャーはブルックリンと似ている。クールだけれども決してコンセプト過剰ではなく、ヒップで少しダーティーさを匂わせる美意識がある。パリ的な華やかさや日本的な慎ましい美とも異なる。

ベルリンの友人から受け取ったメールにこう書いてあった。

「クラブやバーに行くならとにかく黒を着なさい。間違ってもビビットカラーなんて着ないで。そして、中に入ったら大人数で固まらないで、多くとも3人で。恥ずかしいから。おしゃべりもほどほどに、黙って歯を見せずクールな表情で居続けなさい。楽しく踊ってもいいかって? いくらテンションが上っても、平静を装い続けるのよ」

これこそがベルリナーたちの美意識なのだろう。

アートの街という評価の由来には「ドラッグの街・ベルリン」という裏の顔とも関係性があるのかもしれない。ドラッグと聞くと日本人にとっては非常にネガティブな印象だが、ここベルリンではマリファナ所持が非犯罪化され、娯楽の一部として楽しまれているのだ。ビールも16歳からOKのこのヒップな街は、そうした背景もあり世界中の尖ったクリエイターたちにインスピレーションを与えている。

ドイツと日本は似ていると言われる。それは歴史的な意味のみならず、例えば、その勤勉さ。決してオープン過ぎない社会性も似ている。また世界でも有数の車大国・ビール大国でもある。

ただ、ここベルリンはやはり、東京とは似て非なる都市と言える。きっとこの地に足を踏み入れた瞬間、あなたもこのクリエイティブな街の虜になることは間違いない。


Matt Masui:Airbnb Japan デジタルプロデューサー。個人の活動として旅・テクノロジー・マーケティング・グローバルキャリア分野中心にライティングを行う。京都大学経済学部卒業後、NTT docomoに入社。その後、500 Startups出身のTokyo Otaku Modeに参画し、グローバルマーケティング・パートナーシップ・海外イベント等を担当した後、2016年Airbnbに。

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