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マーケティングメディアのアドエイジ(AdAge)によると、ディズニーは広告主への商品の売り込み方の見直しに取り組んでおり、映画スタジオやテーマパーク、そして消費者グッズを、マーケティング向けの包括的なパッケージにまとめようとしている。
「ディズニー・ディファレンス」(Disney Difference)と名付けられた新たな戦略は、ディズニーの知的財産(IP)およびデータを最大限に活用することで、広告収入の拡大を狙う。これによって、ブランドはABCやフリーフォーム(Freefrom)などの放送局の広告枠の購入や、プレミア上映会のようなレッドカーペットイベントへの投資が可能となっている。このディズニーの新しい広告パッケージについて、もう少し詳しく見ていこう。
- ブランドは広告出稿において、取引数を減らし、一つ一つへの支出を増やしている。ディズニーの新しい取り組みは、マーケティング活動が進行中のテーマにフォーカスするもので、ブランドは広告キャンペーンの数を減らしつつ、それぞれのキャンペーンによりお金をかける選択を取り始めている。広告出稿の場が大量にあり、メディア全体がカオスになっている現状では、広告費をプールすることが、広告出稿のプロセスを単純化する一つの手段となっている。
- この新しい戦略の成功例の一つが、日産のケースだ。ローグ( ROGUE )の販売促進にあたり、ディズニー・スタジオは「 ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 」(Rogue One: A Star Wars Story)のプロモーションに連動した広告を展開した。また、キャンペーンを人気の高いABCの朝のニュース番組に組み込み、全米のローカルテレビで放送されるロサンゼルス・オートショー(Los Angeles Auto Show)もカバーした。
- ブランドの安全な環境の提供:広告キャンペーンの数を減らすことは、ブランドが「量より質」を優先することを意味する。また、広告主に売り込む際に、「ブランドの安全性」の押し売りが横行し始めている。ディズニーの取り組みは、ブランドに対してより価値の高い環境と、多角的で複合的なメディア戦略を強調するものとなっている。
ディズニーのセグメント別の売上高
BI Intelligence
アメリカで最も大きな広告セグメントの一つであるテレビ広告業界にも、デジタル時代の創造的破壊の波は押し寄せて来いる。アメリカのテレビに最初のCMが流れたのは1941年、ブルックリン・ドジャースの野球の試合中に挟まれたブローバ(Bulova)の腕時計のCMだ。
それ以来現在まで、テレビCMがターゲットとするオーディエンスは、年齢や性別など幅広い層であり、最大のオーディエンスへのリーチを狙っている。テレビ広告は依然として非常に高い効果があるが、デジタルデータを組み込むことにより、ターゲティングの精度はより高くなる可能性がある。
デジタルのディスプレイ広告はプログラマティック技術によってディスラプション(創造的破壊)が起こったが、その理由は、プロセスを自動化したことで経営効率が向上したためだ。だが、テレビの世界は全く異なり、テレビの広告スペースの購入プロセスは、買い主と売り主の直接交渉が定着している。テレビの広告主は、さらに多くのデータを組み込むことにより、幅広い消費者グループの中からより正確なターゲティングが可能になり、費用対効果を改善できるだろう。
視聴者がテレビコンテンツを視聴する方法は変化しており、収集できるデータの幅も広がっている。80年以上もの歴史を持つテレビの広告業界を革新的に破壊しプログラマティックテレビ(PTV)を実現するためには、高い障壁を乗り越えなければならない。
[原文:Disney bundles assets for advertisers]
(翻訳:Conyac)