なぜ情報が漏れるのか、情報漏洩を非難することが日課のようになっているトランプ大統領
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は、FBIのジェームズ・コミー前長官に対し、機密情報を報じた記者らの起訴を検討すべきだと提案していた。5月16日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズが報じた。
同紙によると、トランプ大統領は今年2月にコミー前長官とミーティングをした際、メディアに機密情報が漏洩していることを非難、情報を報じた記者らの投獄を検討すべきだと発言したという。
連邦最高裁判所は1971年、潜在的な情報源に対して犯罪的行為を促さない限り、報道機関は機密情報を報じる権利があるとの判決を下している(※)。
誰もが予期しなかった大統領選挙の勝利以降、トランプ大統領が情報漏洩を非難するのは日課のようになっている。直近の例で言えば、トランプ大統領が先週、ロシア外相に機密情報を漏らしたと報じたワシントンポスト紙を、ホワイトハウスは糾弾した。
トランプ大統領によるこの提案は、ニューヨーク・タイムズの、大統領がマイケル・フリン前補佐官に関する捜査を打ち切るようコミー前長官に求めたとの報道の一部として報じられた。
この件について、ホワイトハウスにコメントを求めたが、これまでに回答はない。
(翻訳:Keitaro Imoto)
※編集部注:いわゆる「ペンタゴン・ペーパー事件」の最高裁判決。ベトナム戦争の政策決定過程をまとめた機密文書が漏洩、新聞社が報じたことを受け、当時のニクソン大統領がその差し止めを申し立てた。結果、「機密文書の公表が国家安全保障を著しく損なう」との政府の訴えは、証拠不十分として退けられるとともに、「(当該)報道は公衆の知る権利に仕えるものだ」とされた。詳しくはこちら。