Sponsored

テクノロジーとの超共存時代 ——「テクノベート経済圏」で求められる次世代ビジネスリーダーのマインドとスキル、その鍛え方とは

仮屋園氏と内山氏

日本有数のベンチャーキャピタリストである仮屋薗聡一氏(左)と、株式会社unerryのCEOであり、グロービス経営大学院の教員を務める内山英俊氏(右)

テクノロジーが既存の組織やビジネスモデルを変革している。そして、デジタル変革の先に、「テクノベート経済圏」と呼ぶべき新たな経済圏が生まれてきている。

テクノロジーとイノベーションが融合し、世の中を牽引していく「テクノベート」時代には、テクノロジーを理解し、テクノロジストとともに価値を作り出していけるビジネスパーソンの重要性が今以上に高くなる。では、ビジネスパーソンに求められるマインドやスキル、そのための「学び」はこれからどう変わっていくのか。

日本有数のベンチャーキャピタリストであり、1999年のエイパックス・グロービス・パートナーズ設立以来パートナーを務める仮屋薗聡一氏と、ベンチャー経営者として現在、株式会社unerryを率い、IoTマーケティングプラットフォームを手がけるとともに、グロービス経営大学院の教員を務める内山英俊氏の2人に聞いた。


テクノベート時代は「心」に注力できる時代

── AIやロボットが仕事を奪うという議論は危機感を煽っているだけにも思える一方で、自動運転や空飛ぶ車などの新技術の登場は、ユーザーとしての利便性を高めてくれる話題です。次々と登場するテクノロジーは、ビジネスパーソンの仕事にどう関わっていくとお考えですか。

仮屋薗 聡一氏(以下、仮屋薗氏):先日、ノーベル賞受賞者や有識者等を招いて講演やパネルディスカッションを行う「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京」というシンポジウムに参加しました。

今年は、まさに「AI」をテーマにしたセッションが多かったのですが、特に印象に残ったのが「AIは頭脳労働からの開放を実現する」という提言です。おっしゃるように、今、「AIによって人間の仕事が奪われる」という漠然とした不安が広がっています。しかし、そうではなく、イノベーションによって頭脳労働の効率化がもたらされ、それによって、我々は頭脳「労働」から解放される。一言で言えば、もっと「心」に対してリソースを注力できるようになる。ビジネスリーダーたちは、そうした社会を実現するための社会設計を行っていく必要があるという提言が印象に残りました。

歴史を振り返ると、蒸気機関の発明による第1次産業革命、電気と大量生産による第2次産業革命によって、いわゆる肉体労働・単純労働からの解放が実現された。そして第3次産業革命、すなわちITによる情報革命を経て、その先にはAIやロボットを活用する第4次産業革命がある。そこでは我々人間は、もっとも大切な「心」に注力できるようになる。AIやロボットが活躍する時代、つまり第4次産業革命とは、人間の幸せ、多幸感をどうイノベートしていくかがテーマになるのです。

AIやロボットによって置き換えられる仕事があることは避けられないでしょう。しかし、より多くの時間やエネルギーを幸せや豊かさの構築に投入できる契機となる。そのための価値交換の体系や、評価の仕組みを社会全体で生み出していくことが大事だと考えさせられました。

内山英俊氏(以下、内山氏):歴史的な視点は重要ですね。第1次、第2次産業革命で創出された経済圏に対して、私はテクノロジーとイノベーションがより重要となるこれからの時代には、「テクノベート経済圏」と呼ぶべき新たな経済圏が生まれつつあると考えています。

そして従来の経済圏とテクノベート経済圏は対立するものではなく、2層構造になっています。これまでの技術、社会基盤をベースとしつつも新しい原理で動く経済圏が登場している。例えば、従来型の経済圏の基本原理は「規模の経済(サプライサイド)」でした。一方、テクノベート経済圏では規模ではなく「バリュー(デマンドサイド)」が重要視されます。成長スピードも非連続で、2次曲線を描く。指数関数的な成長とも言われます。

そして今、こうした新しい経済領域に民間投資の25%が投資され、日本のGDPの10%程度にまで成長しています。テクノロジーの動向と合わせて、既存の経済圏からの資本移動が起きているという現状をしっかりと認識する必要があります。

── 新しい経済圏の「流儀」を理解し、「自分ごと」化していくためには、何が必要でしょう。

内山氏。

「体験」が重要になると語る内山氏。

内山氏:「体験」がキーワードになるでしょう。個人的な話になりますが、最近、テスラの電気自動車を購入しました。それまで私は「エンジンのない車は、車ではない」という認識持っていましたが、テスラに乗ってみて、その認識が180度変わりました。自動運転もまだまだハードルが高く、先の話と思っていましたが違います。もう手が届く技術です。IoTの会社をやっていても、想像できていなかったことを痛感させられました。

私は自動運転では、車の走行技術よりも、人間とコンピューターの信頼関係の構築が重要で、それは現状の技術ではまだまだ難しいと考えていました。安心して車に乗っていられるかどうか、身を任せられるかどうかが重要になるわけです。

しかし、これに対するテスラの解決策は非常にシンプルでした。ダッシュボードのディスプレイに、今、車が認識している状況を表示する。たったこれだけ。今の状況が可視化されていることで、私はテスラを信じることができた。これは、体験しなければ分からなかったことです。

仮屋薗氏:今、非常に興味深く聞いていたのですが、資産運用の世界でも、今、「信頼関係の構築」「見える化」をキーワードに新たなイノベーションが起きています。AIを使った資産運用、いわゆる「ロボアドバイザー」では、パソコンやスマホの画面を通して、AIが一人ひとりに最適な資産運用をアドバイスしてくれます。

これまで、資産運用のアドバイスを受けたとしても、アドバイスしてくれるファイナンシャル・プランナーやファンド・マネージャーのノウハウや知見を我々が共有できていたわけではありません。彼らが培ってきたものを信じるしかなかったわけです。いわばいちばん重要な部分は「ブラックボックス」だった。

それがロボアドバイザーの登場によって、変わってきています。そもそも誰でも、ファンド・マネージャーからアドバイスをもらえたわけではありません。ある程度の資産がなければ相手にしてもらえない。ですが、テクノロジーの進化によって、一個人でも、世界中のありとあらゆる金融商品に対して、プロと同じような戦略的な投資ができるようになった。さらにその結果は、リアルタイムにトラッキングできるようになりました。

またロボアドバイザーを利用して、投資のための口座を開設する若い層が増えているそうです。テクノロジーが情報のオープン化や規制緩和を生み出している。そして少額投資が可能になって、これまで投資を体験したことのなかった若い層を引きつけることは、「個人投資家が少ない」という日本社会の1つの課題に対する解決策にもなっているのです。

「点」を「線」に変えていくデザイン力・構想力

──「体験」は、個人にとっては大きなキーワードになりますが、ではテクノベート時代に企業はどのようにして新しい価値を生み出していけばよいのでしょう。

仮屋園氏。

「テクノロジーそのものを詳細に習得する必要はない」と仮屋薗氏。

仮屋薗氏:企業の経営層、マネジメント層、そして次世代のビジネスリーダーがテクノロジーをどう考えるべきかについては、まずはテクノロジーそのものを詳細に習得する必要はありません。テクノロジーをいかにビジネスに使いこなすかが重要です。その上で2つの視点が必要です。

1つ目は、ITを使ってビジネスの状況、情報を「見える化」し、データに基づいて適切な意思決定を行うこと。こうしたITリテラシーを要する経営判断は、伝統的なMBAの世界では教えてこなかったものでもあります。

2つ目は、テクノロジーをユーザー視点で捉えてプロダクトやサービスを創出すること。テクノロジストはどの企業にもいますが、これからのビジネスパーソンにはユーザーの利用シーンを頭に描いて、プロダクトやサービスのスペックを決めていく能力が求められます。

言い換えれば「テクノロジーで何ができるかというシーズを理解しつつ、ニーズをスペックに落とす」こと、広い意味でのデザイン力、構想力です。テクノロジーを知り、ユーザーを知り、ピンポイントの解決策を考え、昇華させて「サービスの世界観」を構築する能力が不可欠になります。

内山氏:デザイン力、構想力は非常に重要になりますね。それにもう1つ、「テクノベート経済圏」を正しく理解することが重要になります。テクノベート経済圏は、これまでの経済圏とは異なる新しい原理が生まれます。そして新たな法規制や規制緩和も必要になる。テクノロジーだけでなく、経営・ビジネスモデル・ファイナンス・マーケティングを総合的、体系的に理解する必要があります。いわば個々の「点」を理解し、それを「線」として統合することが大事になります。

それと、「基本思考」がより重要になります。それはプログラミングではなく、アルゴリズムを理解することとも言えます。多くのビジネスパーソンは、プログラミングとアルゴリズムを同じようなものと捉えているかもしれませんが、2つは全く異なります。アルゴリズムとは、抱えている課題をコンピューターでどのように、どのくらい効率的に解決するかという「思考プロセス」、プログラミングとはそのアルゴリズムを実現する「言語」という位置付けです。

アルゴリズムを理解せずにビジネス設計すると、机上の空論のようなサービスを作ってしまいかねません。アルゴリズムを変えることで、10時間かかっていたことが2秒で済むようになることもあります。

仮屋薗氏:「点」を「線」にしていく作業というのは、MBA教育の中ではどのように実践しているのですか。

内山氏:多くのビジネスパーソンは、ベンチャー企業であっても、特定の領域に特化している場合がほとんどです。そもそも、ビジネス全体を「線」でつなげて考えたことがない人がほとんど。ですが、個別の「点」に関する知識は持っています。

なので、私のグロービス経営大学院でのクラスでは「テクノベート時代の新しいビジネスプランを作る」演習を繰り返します。自分でビジネスプランやフレームワークを構築していくという意味では、これまでのビジネススクールと方法論は同じと言えるかもしれません。

仮屋園氏と内山氏

麹町にあるグロービスのエントランスにて。

仮屋薗氏:教育の方法論は変わらないが、中身が大きく変わってきている訳ですね。一方、ベンチャーキャピタルの世界を振り返ると、最近、枠組みが大きく変わってきています。これまでの20年間はベンチャー投資のテーマはITに関するものがメインで、そこでのプレーヤーは起業家とビジネスモデルを精緻化するインキュベーター、それをベンチャーキャピタルがスケールさせていく構図でした。

しかし、テクノベート時代には、起業家、インキュベーター、VCだけではプレーヤーが足りなくなってきました。ベンチャー投資のパラダイムが変わってきています。テーマがITから、金融やヘルスケアなど、さまざまな領域に広がるなかで、イノベーションが既存のビジネス権益と戦うケースが増え、まさに社会の枠組みや法規制に関する新たな設計が欠かせないものになってきました。

また、既存のビジネス領域では、大企業のオープンイノベーションの動きもあり、ベンチャー企業と、大企業の間でうまくパートナーシップを結び、コラボレーションしていくことも重要になってきています。

さらにもう1つ、カギとなるのは産官学の連携です。特にライフサイエンスの分野では、大学の役割が非常に重要になってきている。新たなテクノロジーを社会に「実装」していくためには、ベンチャー、大企業、そして大学が三位一体になって取り組んでいくことが重要になってきています。

内山氏:私の会社では、自動販売機をIoTでイノベーションしていくことに取り組んでいますが、ベンチャーは個々のハードウエアをイノベーションすることはできても、それを社会システムにまで波及させることは単独ではなかなかできません。当社も大企業と組んで、さまざまな取り組みを進めています。大企業が有しているバックエンドの仕組み・システムは、簡単に構築できるものではありません。

仮野薗氏:まさにイノベーションを起こすビジネスリーダーには、それぞれの立場の人、つまり「点」を、新たな価値を創造する「線」にしていくプロデュース能力が求められてくるわけですね。

体感こそが「学び」となる

── そういった知見やスキルは、そもそも「学ぶ」ことができるのでしょうか。

グロービスの校内

仮屋薗氏:先ほど、内山氏の話にもありましたが、これまでMBA教育が実戦してきた企業事例を元にリーダーとして意思決定の訓練を行う「ケーススタディ」の方法論で、より多くの立場を理解することが重要でしょう。テクノベート時代には、プレーヤーが増え、ロールプレイがより複雑化しますが、さまざまな立場、切り口でビジネスを考えることの重要性はますます大きくなります。もちろんテクノロジーに対する最低限の理解も必要です。

内山氏:自らが体験したり、ケーススタディを通して多種多様なビジネスを体験することに加え、もう1つは、「市況感」を捉えることが重要です。私自分、これまで複数のベンチャー企業を立ち上げ、資金調達の方法は理解していますが、実際に有利な資金調達を行うためには、ベンチャーキャピタル業界を取り巻く環境変化、その変化に対してどのように対応しているのか等の最新情報を知っておくことが重要になります。

その意味で、ケーススタディによるリアルな経営のシミュレーションと、それぞれのビジネスの最前線の現場を持っている社会人学生から生の最新情報を手に入れることがこれからのMBAのキーワードです。これらに加えて、テクノベート経済圏へと刻々と変化してきている背景を踏まえて、教育内容を時代に合わせ進化させ続けているのがグロービスのMBAの価値だと思います

仮屋薗氏:グロービスの価値はネットワーキングにもあります。グロービスは、さまざまな分野の、さまざまなポジションの人たちとのネットワーキングの場でもあります。新たなビジネスフレームやビジネスモデルを構想した時に、「点」として必要になる人にいつでもアクセスできる。グロービスのネットワークを通じて、人的な「資産」を形成できる。ここに集う人がお互いにとって資産なのです。他にはない価値だと思います。

私は、投資しているベンチャー企業の人材採用に同席することがあります。その時、何を判断基準にしているかと言うと、やり遂げようとしている目標や価値に対して、全身全霊であたる「志」です。

これだけはテクノロジーが進化しても変わることのない部分です。もちろん、技術やスキルなどもチェックしますが、採用の決め手になるのは、その人の意志の強さやビジョンに対する献身性です。

その意味では、ビジネスパーソンの「学び」に対する概念も変わっていくと思います。学ぶというより、テクノロジーやビジネススクールに身を投じて実際にビジネスを体感すること。そして、いかに早く失敗し、経験から学ぶプロセスを高速化していけるか。いろいろなことが確立してから動くのは、文字通りフォローワーです。チャレンジの中に身を置かないと、失敗できないし、成功できない。テクノベートの世界に身を投じることこそが、最大の学びと言えるかもしれません。

内山氏:ビジネスパーソンには、もっと「バリュー」を大切にして欲しいですね。テクノベート時代は、ネットワークやインフラのコストがどんどん下がります。つまり「コスト」という概念はどんどん小さくなっていきます。その代わり、バリューをどれだけ生み出せるかが重要になっていきます。大学生や新社会人に、初任給の話をすることがありますが、先進国と発展途上国では初任給は大きく差があります。ですが、その金額と同じように、能力に差があるのかと言えば、それは違います。テクノロジーによってグローバル化が急速に進展する世界で国境を超えた人材流動が活発になる中、自分のバリューは何か、今後、どんなバリューを生み出していくことができるのか。それをとことん考える場として、グロービスのMBAは最適な環境だと思います。

グロービスのMBAの詳細は、こちらから


仮屋薗 聡一氏 グロービス・キャピタル・パートナーズ マネージング・パートナー

三和総合研究所での経営戦略コンサルティングを経て、1996年グロービスのベンチャーキャピタル事業設立に参画。1号ファンド、ファンドマネジャーを経て、1999年エイパックス・グロービス・パートナーズ設立よりパートナー就任、現在に至る。2015年7月より一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長を務める。 慶應義塾大学法学部卒、米国ピッツバーグ大学MBA修了。著書に「機関投資家のためのプライベート・エクイティ」(きんざい)、「ケースで学ぶ起業戦略」(日経BP社)、「MBAビジネスプラン」(ダイヤモンド社)、「ベンチャーキャピタリストが語る起業家への提言」(税務研究会)など。

内山英俊氏 株式会社unerry 代表取締役CEO

ミシガン大学大学院 コンピュータサイエンス修士課程修了。米国でスマートフォンの原型となるITベンチャーを設立。その後、PricewaterhouseCoopers、A.T. Kearneyでハイテク・金融業界の新規事業立案・企業再生コンサルティングを実施。モバイルコンテンツ企業サイバードにてモバイルコンテンツ事業部部長を務めた後、2008年にANALOGTWELVEを創業し、携帯キャリア・ブランド企業などとO2O/オムニチャネル市場を牽引して各種アワードを受賞。2015年にunerryを創業し、世界最大級のオフライン行動プラットフォーム「Beacon Bank」で新しい企業マーケティングの世界「環境知能」を創造中。著書に『スッキリと「考える」技術』(ファーストプレス)。


Text:阿部欽一、Photo:渡部幸和

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

Recommended