モルガン・スタンレーによると、ロボアドバイザーが取り扱う金額は、2025年までに最大13兆ドル(約1500兆円)に達する可能性がある。
Morgan Stanley
ロボアドバイザーのスタートアップは、ほとんどが危機に直面するだろう。
ロボアドバイザーは、PCかスマートフォンのアプリを通じて、ファイナンスのアドバイスや資産管理サービスを提供する。人間のファンドマネジャーに頼って投資プランを作るのではなく、アルゴリズムを使って投資先を見つけ出す。
モルガン・スタンレーの株式アナリストグループによると、ロボアドバイザーが運用する世界の資産額は、2025年までに最大13兆ドル(約1500兆円)に達する可能性がある。2016年12月の1000億ドルから大幅な増加だ。
だがロボアドバイザーのパイオニアであるBetterment、Wealthfront、Nutmegが急成長を遂げる一方で、実際にはバンガードやチャールズ・シュワブのような旧来の資産運用会社こそがロボアドバイザー分野の成長をけん引するだろうとモルガン・スタンレーは見ている。チャールズ・シュワブがロボアドバイザーで運用している資産は、2014年の42億ドルから、現在ではすでに500億ドル近くに増加している。
「旧来型の既存企業は市場シェアを勝ち取るのに有利。なぜなら、我々がアンケートを取った企業の7割弱が、サービスを開始したばかりか、または開始する予定に過ぎない」
既存企業は、(良く知られた)ブランドネームを持っていることが強みだ。多くの投資家にとって、特に多くの資金を持っている投資家にとっては、自分のお金を託すなら、シリコンバレー生まれの新興企業よりも、金融業界ですでに強固な地位を築いた企業の方がより安心だ。
「バンガードやシュワブの事例で、ネットワークとブランドが低コストでの顧客獲得と急成長のカギであることが明らかになった」
だからといって、ロボアドバイザーに取り組む全てのフィンテック企業に終末が近づいているとモルガン・スタンレーが考えているわけではない。彼らは「一握り」の企業が生き残り、大半の企業は他のスタートアップと提携するか、もしくは旧来企業に買収されるだろうと見ている。
動きはすでに進んでいる。2016年、TIAAは、BtoBのロボアドバイザー企業MyVestを買収。また同年、旧来企業である投資顧問会社Invescoが、ロボアドバイザー企業Jemstepを買収した。
ロボアドバイザーのスタートアップ企業は、要注意だ。
[原文:MORGAN STANLEY: Only a 'handful' of robo-advice startups will survive]
(翻訳:梅本了平)