最も売上高見通しが多いのはゲーム事業だ。
撮影:中西亮介
ソニーは23日、港区の本社で経営方針説明会を開き、2017年度を最終年度とする第2次中期経営計画の達成目標である営業利益5000億円について、同社CEOの平井一夫氏は「達成できる」と自信を見せた。
ソニーの2016年度の営業利益は2887億円で、2000億円以上の上積みが必要となる。これについて平井氏は「元気なソニーが戻って来た。コンシューマー・エレクトロニクス(テレビやスマートフォン)にはまだイノベーションの可能性がある。(これに加えてゲーム、イメージセンサー、音楽、金融などの分野で)高収益を持続的に出していく」と自信を見せる。
BRAVIAブランドのテレビ事業は、2016年度通期で営業利益585億円を計上したホームエンタテインメント&サウンド分野に含まれる。テレビ事業の動向については「かつては赤字だったが、戦略を見直し、規模を縮小させてでも事業構造を変革した。現在は収益が安定してきている。今後は販売地域を選び、その市場に合わせた価格戦略など選択と集中を進めていく」と、規模は追求せずターゲットを絞った戦略をとっていくとの方針を示している。なお、有機ELディスプレイに関しては「あくまでBRAVIAの1シリーズという位置づけ。液晶ディスプレイに取って代わるものではなく、有機ELも液晶もどっちもあるという選択肢を持たせる」と、5月上旬に行った新BRAVIA発表会時の同社の発表内容に準じる形で説明した。
コンシューマー分野では、日本市場を中心に戦うXperiaシリーズのスマートフォン事業も気になるところだ。平井氏は「(ソニーが手がける事業の中でも)スマートフォンは最も変化が激しい業界」「昨年黒字化したが、今後はさらに収益が安定していくだろう」と楽観的な見方を示した。スマートフォンも、テレビ事業と同様、選択と集中を行い、利益が出る地域での販売に注力していくという。
ソニーの足元の状況は堅調。ドン底の状態は脱し、2017年は営業利益のさらなる上積みを目指す。
撮影:中西亮介
テレビ事業は分社化以降、着実に黒字を出せる体制へとシフト。
撮影:中西亮介
好調なプレイステーション・ネットワーク事業。月間アクティブユーザーは7000万人。PS4の販売台数も右肩上がりだ。
撮影:中西亮介
経営方針説明会の終盤、平井氏が記者から「ソニーはいったい何会社なのですか」と質問された際の短い対応は実に印象的だ。その質問に、平井氏は躊躇することなく「感動会社だ」と即答した。エモーショナルな心に訴えかけるプロダクトやコンテンツを通じて、ユーザーに感動を体験してもらいソニーの持続的成長を図っていく。それがソニーの方針だという強い表明と受け取れる。
主要な質疑応答は以下の通り。
——これまでで見えてきたソニーの課題とは?
映画ビジネスが課題だ。ヒット作を出していきたい。
——不振の映画事業、収益改善の施策は?
劇場公開映画に重点を置き、ヒット作を出すことを目指す。全世界を席巻する作品が出せたらいいと考えている。
——テレビ事業について、注力していく地域はどこか?
アジア、特にインドでラインナップの拡充や強力なマーケティングで市場を伸ばしていければと思っている。
——2018年度以降のソニーの将来像は?
エレキ、エンタメ、金融をベースにするつもりだが、特にエレキの分野でイノベーションを起こしていきたい。加えて、メディカル分野など新しい領域にも注力していく。
——高収益を狙うために縮小する事業はあるのか?
電池事業の譲渡など、大きなリストラクチャリングはすでに済んでいると認識している。
——高価格帯にターゲットを絞っているテレビ事業だが、価格のバリエーションを広げる可能性は?
各地域の市場によってはあるかもしれないが、基本は選択と集中。モデルを増やすのは得策ではない。