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推理小説や恋愛ものは読み尽くしたという人は、ビル・ゲイツ氏がこの夏に読むことを勧める作品をチェックしてみてはいかがだろうか。
ご存知の通り、ゲイツ氏はマイクロソフトの共同創業者であり、億万長者の慈善事業家である。数年前から、お気に入りの本を自身のブログ「Gates Notes」で紹介している。今年のお薦めは主に、回想録、伝記、科学書などのノンフィクションだ。
読めば、秋には少し知的になっているかもしれない、ゲイツ氏のおすすめ本を紹介する。
『ヒルビリー・エレジー』(原題『Hillbilly Elegy』)J・D・ヴァンス(DJ Vance)著
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著者のヴァンス氏は、今でこそ投資家として成功しているが、アパラチア山脈の貧しい家庭で育った。 『ヒルビリー・エレジー』はその貧しい時代の回想録である。苦しかったこと、楽しかったこと、そしてアメリカの忘れさられた町に住む人々の生活に浸透している文化に対する著者の見解が綴られている。
「貧困の背景にある、複雑な文化や家族の問題の本質を洞察しているが、真の魅力はストーリーそのもの、そして自分の人生を赤裸々に著したヴァンス氏の勇気だ」とゲイツ氏は評している。
『A Full Life』ジミー・カーター(Jimmy Carter)著
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ジョージア州の小さな町、プレーンズでの生い立ちをつづった、カーター元アメリカ大統領の回顧録。元大統領はすでに、24作品以上を執筆しているが、同書は読みやすく、素晴らしい1冊だとゲイツ氏は評する。
「ホワイトハウスという世界最高峰のオフィスで働くに至るまでの、信じられない出世ストーリーが面白かった。この本は、水道も電気も断熱材もない田舎ジョージアの家での暮らしが、大統領としての彼にどのような影響を与えたかを教えてくれる」とゲイツ氏。 時代こそ違うかもしれないが、政治と政治家に対する国民の信頼がどん底の現代にぴったりだと、ゲイツ氏は言う。
『Born a Crime』トレバー・ノア(Trevor Noah)著
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「ザ・デイリー・ショー(The Daily Show)」の司会者であるノア氏が、1980年代後半、アパルトヘイト時代の南アフリカでの生い立ちを語る自伝。ノア氏の母親は黒人の南アフリカ人で黒人、父親はスイス人で白人。 同番組の長年のファンであるゲイツ氏によると、この作品は涙あり笑いありの物語だ。
「南アフリカでの生い立ちは、ほとんどが悲惨な話だが、テレビを見ていても分かる通り、彼のストーリーには心を動かされると同時に、笑いももらえる」とゲイツ氏は紹介している。
『Homo Deus』ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)著
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昨年の『サピエンス全史』(原題『Sapience』)に続き、ハラリ氏の最新作が、またもゲイツ氏の夏のおすすめ本リストに登場。『Homo Deus』は、前作『サピエンス全史』の続編で、未来の社会について考察している。
「これまで社会を形成してきた『我々の尺度』は、豊かな生活を送るための宗教上のルールか、病気や飢餓、戦争をなくそうという一般的な目標だ。もし本当にそれらを達成してしまったとしたら、目標を失った世界はどうなるのだろうか」とゲイツ氏は問いかけている。
『The Heart』Maylis de Kerangal 著
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今回のリストで唯一の小説。ゲイツ氏は『The Heart』を、ノンフィクションとほとんど紙一重のフィクションだという。事故で亡くなった1人の男性と、その心臓を提供する決断を下した両親の物語。
「筋書きよりも、言い回しや登場人物が魅力的。表現がまるで詩のように美しく、物語の中でほんの数分しか会わない登場人物たちと深くつながることができる」とゲイツ氏。彼はまず、妻のメリンダ(Melinda)さんにこの作品を勧めてから、ブログに公開したという。
source:Amazon
[原文:Here are the 5 books Bill Gates thinks everyone should read this summer]
(翻訳:Ito Yasuko)