- 5月22日月曜日夜(現地時間)、アメリカの歌手アリアナ・グランデ氏がコンサートを行っていたイギリスのマンチェスターの会場で爆発が起き、22人が死亡した。死亡者には子どもも含まれている。
- イギリスのマンチェスター警察は、攻撃の実行犯は即席の爆破装置を使用したと発表。ただし「実行犯が単独で行動していたのか、組織の一員として行動していたのか」は確認中。
- 容疑者の身元は特定されておらず、爆発で死亡した。警察はテロ事件の疑いがあると見ている。
- 6月8日に予定されている総選挙に向けた選挙運動は一時中止となった。
- アリアナ・グランデ氏は「胸が張り裂けそうです。心の底から、本当に本当に悲しく思います。言葉になりません」とツイートし、25日以降に予定されていたワールドツアーを中止した。
マンチェスター・アリーナ周辺を警護している武装警官隊、現地時間22日夜
PA
5月22日月曜日夜(現地時間)にコンサート会場「マンチェスター・アリーナ」で起きた爆発により、これまでに少なくとも22人が死亡し、59人が負傷した。死亡者の中には子どもも含まれる。イギリス警察はこの爆発をテロ攻撃と見ている。
爆発は現地時間午後10時30分頃、アメリカの歌手アリアナ・グランデ氏のコンサートで発生。マンチェスター警察のイアン・ホプキンス署長が述べたところによると、攻撃の実行犯は男性1名で、「即席の爆破装置を携行し、それを爆破させてこの卑劣な攻撃を行った」という。
警察は実行犯が爆発で死亡したことを確認した。「実行犯が単独で行動していたか組織の一員として行動していたか」は現在確認中だとしている。
ホプキンス署長は死亡者および負傷者の名前を公表しなかったが、Evening Standardは死亡した22名のうち1人がジョージナ・カランダーさん(18)であることを報じた。カランダーさんの友人が今日述べたところによると、カランダーさんは攻撃後に最初に病院へ運び込まれた人々のうちの一人だったという。
ホプキンス署長はまた、警察による捜査の助けとなるように、関連のありそうな写真や動画を指定のサービスにアップロードするよう呼びかけた。
現地時間23日午前7時53分(日本時間同日午後3時53分)、ロンドンのウェストミンスター警察はツイッターで次のように述べた。「現在進行中の事件との関連により、ビクトリア・コーチ・ステーション[ロンドン・ビクトリア駅付近の長距離バス発着場]には近寄らないようにしてください #WeStandTogether 」
Avoid Victoria coach station due to ongoing incident #WeStandTogether
— Westminster Police (@MPSWestminster) 2017年5月23日
ただし現地時間23日午前8時(日本時間同日午後4時)以降、BBCの報道によると、ロンドンのウェストミンスターで発見された不審な荷物の問題は解決されたという。
この間に、6月8日に予定されている総選挙に向けた選挙運動は「今後通知があるまで」一時中止とされた。イギリスのテリーザ・メイ首相は、警察が「最悪の」テロ攻撃と見ている今回の爆発について、当局が「現在事件の詳細を確認している」と述べた。
「今回の事件で亡くなった方々とご遺族に哀悼の意を、また負傷された方々とそのご家族にお見舞いを、心から申し上げる」とメイ首相は事件発生直後に述べた。今回の事件は、2005年ロンドン地下鉄爆弾テロ事件以来、イギリスで起きた中では最悪のテロ攻撃と考えられる。
イギリス労働党のジェレミー・コービン党首は、今回の事件にいち早くコメントを発表しており、そのなかで「被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを申し上げます」と述べた。イギリス自由民主党のティム・ファロン党首も、「マンチェスターの事件における犠牲者とご遺族の方々に深い哀悼の意を捧げます」と述べた。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は訪問中のパレスチナのベツレヘムから声明を発表した。「まずはじめにマンチェスターのみなさんにお祈りの言葉を申し上げるとともに、攻撃の実行犯を『邪悪な敗北者』と呼びたい」と述べ、さらに「不道徳なイデオロギー」は「完全に根絶」されなければならないと付け加えた。
Sky News
コンサート会場で事件に遭遇したファンに対応している警官。マンチェスター・アリーナ付近にて
Dave Thompson/Getty Images
マンチェスター警察は、近隣住民に対し、コンサート会場周辺の地域に近寄らないように警告。また歌手アリアナ・グランデ氏の広報担当者によると、彼女は無事だという。
「胸が張り裂けそうです。心の底から、本当に本当に悲しく思います。言葉になりません」とグランデ氏は事件後にTwitterに書き込んだ。
グランデ氏のマネジャーを務めるスクーター・ブラウン氏は、続いて出した声明のなかで次のように述べた。「卑劣な行いにより命を奪われた子どもたちと最愛の人々であるみなさんに哀悼の意を捧げます。マンチェスターの関係職員の方々が危険を顧みず命を救いに駆けつけてくださったことに感謝を申し上げます」
グランデ氏は近日中に予定していたワールドツアーを中止した。
警察は、1回目の爆発が起きた直後に、2つ目の装置と疑われたものを爆破処理した。それは実際には「捨てられた衣類」で、不審物ではなかったという。
Latest statement on incident at Manchester Arena pic.twitter.com/BEpLOan3dY
— G M Police (@gmpolice) 2017年5月23日
当初、複数の目撃者が、爆弾には釘などの金属片が含まれていた可能性を示唆していた。
Here's an eyewitness account of the explosion. He describes a "flash" and smell. He says there were bolts on the floor. #ManchesterArena pic.twitter.com/eTA9gZejew
— Adam McClean (@AdamMcCleanITV) 2017年5月23日
(現地局ITV Granadaのジャーナリスト、アダム・マクリーン氏のツイート「爆発の目撃証言。目撃者は、『閃光』が走って匂いがしたと説明。床にボルトが散らばっていたと言っている」)
1回目の爆発を受けて、コンサートの観客は会場の建物から飛び出し、警察の車両や救急車が現場に駆けつける様子を収めた動画をソーシャルメディアに投稿した。イギリス鉄道警察によると、爆発が起きたのはマンチェスターアリーナ(収容人員2万1000人)のロビーのあたりだという。
防寒用毛布にくるまれた2人の女性。マンチェスターアリーナ付近にて
REUTERS/Andrew Yates
現場に居合わせたキム・ジャクソン氏は、英Business Insiderの取材に対して次のように語った。「みんなフロアシートに座っていたのですが、すぐに出口に向かいました。通路エリアから会場奥にかけてのあたりから、大きな爆発音が聞こえたんです。みんないっせいに静まり返って、たくさんの人が奥から走り出てきました。その場からすぐに逃げ出したかったので、まっすぐ出口に向かいました。通路に出ると煙が立ち込めていて、焼け焦げた匂いがしたようでした。外に走り出て、できる限り遠くまで離れました」
コンサート客Sibion Joyce氏は、現地のManchester Evening Newsに対して次のように話した。「コンサートが終わって、彼女[歌手アリアナ・グランデ]がアンコールの演奏を終えたところでした。彼女が退場し、客席の照明がつきました。みんな席を立って出ていこうとしていました。そのあいだに大きな爆発音が聞こえたんです。みんな本当に震え上がって走っていました」
現場周辺に到着する救急車
Dave Thompson/Getty Images
現場周辺に設置された通行止めの柵のなかに立つ武装警察官
REUTERS/Andrew Yates
イギリス鉄道会社ナショナルレールによると、マンチェスタービクトリア駅発の電車は運行中止となり、駅周辺は警察によって封鎖された。
路上で立ち往生する結果になったコンサート客は、地元住民から宿泊場所の提供を受けた。またツイッターユーザーがハッシュタグ#roomformanchesterを使用して、現地で休む場所がない人々を助ける呼びかけを行った。これと平行して、行方不明者の捜索が行われていた。
RT AND SPREAD THE WORD. DOESN'T MATTER WHERE YOU ARE IN THE WORLD JUST KEEP IT GOING AND IT WILL GET TO SOMEONE #Manchester pic.twitter.com/CHC2lPRXgP
— rip sonja ❤️ (@azak999) 2017年5月22日
マンチェスター市長アンディー・バーナム氏は、ツイッターの投稿で次のように述べた。「最愛の人を失ったご家族にお悔やみを申し上げるとともに、勇気ある我々の救急隊員に敬意を表したい。我々の偉大な都市にとって恐ろしい一夜となった」
インスタグラムに投稿されたこの動画には、コンサート会場内部での爆発により大混乱が引き起こされ、人々が急いで避難する様子が収められている。
[原文:22 dead in suspected terror attack at Ariana Grande concert in Manchester]
(抄訳:原口 昇平)