IQは、私たちの生涯の成果を大きく左右する可能性がある
REUTERS/Lucy Nicholson
アメリカ人は統一テストが好きだ。子どもをアカデミックなキャリアで評価することも多いし、SATやACTは大学に入るための重要なテストだ。にもかかわらず、多くの人はIQ(知能指数)が人生の成功を決定づける要因ではないと信じている。
研究者たちは、個人のIQが人生後半の成功にどれほど影響するかを断定していないが、人生におけるさまざまな要因がIQのスコアに影響する可能性があることと、同時にIQが私たちの生涯の成果を大きく左右する可能性があることは明らかにしている。
ここでは、IQが人生にどのように影響しているかを示唆する5つの研究結果を紹介する。
貧困で認知機能は低下する?
Shannon Stapleton/Reuters
プリンストン大学で2013年に行われた小規模な研究では、「支払いのためにお金をかき集めたり、節約したりと、金欠問題に常に対応しなければいけない状況が続くと、人の認知機能は衰える」という結果が明らかになった。
出典:プリンストン大学
国民の平均 IQ値が1ポイント上がるたびに、1人当たりGDPが229ドル(約2万5500円)上がる。
Atlas of Economic Complexity
2011年に90カ国で行われた科学的心理学の研究調査で、「人間の知能、特に最も賢い5%の人の知能が、その国の経済に大きく貢献している」ことが明らかになった。
知能の測定に使われたファクターは、例えば科学技術に関するテストのスコアや、ノーベル平和賞などさまざまだった。
経済学者ギャレット・ジョーンズ(Garett Jones)氏は2015年に出版された著書『Hive Mind: How Your Nation’s IQ Matters So Much More Than Your Own』で、国民のIQはその国の経済的成功の基本指標だと主張した。
知能と寿命は関係がある?
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これまでに世界で行われた複数の研究で、(認知機能テストで測定される)知能と死亡率の間に相関性が認められることが示されてきた。その相関性を扱う「認知疫学」という学問領域すら存在する。それでも、この相関性が存在する理由はまだ完全に解明されていない。
IQで創造力も分かる?
Anders Lejczak/Flickr
認知心理学者スコット・カウフマン(Scott Kaufman)博士によると、創造的潜在能力は、認知力テストで明らかにすることができる。
「思慮深い推論、発散的な制作、パターンの発見、学習は全て創造のプロセスの一部分であり、IQテストで測定される」
カウフマン博士は2011年、心理学専門誌『Psychology today』でそう書いた。
IQとEQは関連している?
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2013年、専門誌「Social Cognitive & Affective Neuroscience」に発表された研究論文によると、知能と「心の知能」(EQ)が相関している可能性があるという。
「知能は注意力、認識力、記憶力、言語能力といった基本的な認知能力にかなり依存する」
論文の共同執筆者の1人でイリノイ大学の神経科学者アーロン・バーベイ(Aron Barbey)氏は科学雑誌『Scientific American』にそう語り、「また、知能は他者との相互関係にも依存する」と続けた。
出典:Social Cognitive & Affective Neuroscience
この記事の前バージョンの執筆に際して、エリック・ゴルトシャイン記者とキム・バーシン記者の協力を得た。
写真:REUTERS/Lucy Nicholson、 Yuriko Nakao/Reuters 、 manny on Flickr 、 Shannon Stapleton/Reuters 、 Atlas of Economic Complexity 、 Shutterstock 、 Anders Lejczak/Flickr 、 Unsplash / Alexis Brown
[原文:7 uncomfortable facts about how IQ affects your life]
(翻訳:本田直子)