Thomson Reuters
米マーケティングテクノロジー企業「バウンスエクスチェンジ(以下BounceX) 」は、3100万ドル(約35億円)を成長資金として調達した。
今回のラウンドをリードしたのはシリコンバレーバンク(Silicon Valley Bank)。BounceXのCEOライアン・アーバン(Ryan Urban)氏は、調達した資金をマーケティングテクノロジー分野スタートアップの数千万ドル規模の買収や、エンジニア数十人の採用に投じる方針を示した。買収を予定しているスタートアップ企業名については言及しなかった。
2012年に創業したBounceXは、自らをクラウド型行動マーケティング企業と位置付ける。Martech(注:MarketingとTechnologyを組み合わせた造語)の巨大企業、アドビやオラクルなどは、全てのデータと予算の管理を容易にするマーケター向けソフトウエアを提供しているが、BounceXの事業は少し違う。
ニューヨークに本社を置く同社は、米百貨店のシアーズ(Sears)からファッションブランドのケイト・スペード(Kate Spade) 、米大手メディアのガネット(Gannett)に至るまで、Eコマース企業やパブリッシャー(出版社)が、自社ウェブサイトの訪問者を深く理解できるよう支援する。自社サイトの訪問者をよく知ることができれば、広告やキャンペーンのターゲットを絞りやすくなるからだ。
アーバン氏によると、ウェブ出版社やEコマースサイトの多くは、訪問者が自社サイトに登録、もしくはログインしてくれないと、顧客の具体像の把握ができず、収益の最大化を図れない。BounceXはウェブユーザー2億人分のデータを蓄積しており、ユーザーが異なるデバイスからアクセスしても同一ユーザーであると特定することで、顧客の問題を解決する。
「ターゲティング広告の多くはクッキーに基づいているが、我々のターゲティングは人に基づいている」
アーバン氏はそう説明した。
BounceXは、20以上の識別子を追跡して分析結果を創出する。例えば、ウェブビーコン(注:ウェブ利用者を識別するために使われる小さなコンピュータコード)とユーザーのメールアドレスをひも付け、その特定のユーザーをウェブ上の他の経路やデバイスでも匿名で追跡できる。ユーザーがどこでメールをチェックし、そのメールアドレスを使用してウェブサイトにログイン、ログアウトしようとも、追いかけることができる。
マーケターは、自社で保管するメールアドレス・リストやその他の自社収集データをBounceXのデータと組み合わせることで、複数のデバイス上で顧客と接点を得られる可能性がある。
例として、米高級デパートのニーマン・マーカス(Neiman Marcus)のようなブランドは、顧客リストに登録されている全ての顧客に同じメールを送りつける代わりに、顧客グループを細分化し、それぞれに適したキャンペーンを展開することができる。
アーバン氏によると、BounceXの経常利益は、2年以内に1億ドルに達する見込み。
[原文:A startup that has built digital profiles on 200 million people has raised $31 million]
(翻訳:Keitaro Imoto)