カルビーがアリババと越境ECで提携 —— 松本会長が進めるフルグラ中国戦略

カルビー(2229)が中国の電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディングと越境EC事業で提携する。アリババ・グループの日本法人が運営する「Japan MD center」の支援を受け、カルビーはアリババが運営する越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」で、中国でも人気の高い「フルグラ」をはじめとする商品の販売拡大を狙う。

カルビーの会長兼CEOの松本晃氏とアリババ・グループの日本法人、アリババのCEO香山誠氏が5月25日、都内で会見を開いて明らかにした。カルビーにとって、フルグラの本格的な海外販売はこれが初めてとなる。一方、アリババが日本の食品企業と協力するのは、カルビーが初めてだ。

会見で並ぶアリババCEOのダニエル・チャン氏とカルビーの松本晃会長

撮影:山口佳美

「人口が減る、経済が縮小する。このような国内マーケットでずっとB-to-Cビジネスをやっていても成長がないとなれば、海外に出ていくしかない」

JPモルガン証券・投資銀行部でM&Aグループ責任者の圡居浩一郎氏が、BUSINESS INSIDER JAPANとのインタビューで語ったように、小売業など少子高齢化や人口減少といった人口動態の変化に反応しやすい業界では、国内需要の鈍化を背景に海外進出を加速させている。

しかし、日本の食品会社の海外展開は必ずしも進んでいるとは言い難い。売上高ベースで見た海外事業の占める割合は、カルビーでおよそ1割。その他の大手食品メーカーも、ハウス食品(2810)で約1割、カゴメ(2811)で約2割と、業種は違うものの、世界の上場企業の時価総額ランキング・トップ50に日本企業として唯一ランクインしているトヨタ(7203)の約6割に比べれば、海外進出の余地はまだまだありそうだ。

今回の提携で中国での販売が可能になることから、カルビーは、年間で一番の商機である独身の日(11月11日)まで、天猫国際でフルグラを先行販売する。パッケージには中国での販売に向けて、「北海道製造ロゴ」を付け、北海道ブランドの効果で安心・安全をアピールする。カルビーとアリババは、アリババのデータ活用による商品共同開発に取り組む予定だ。カルビーは、日本でフルグラ躍進のきっかけとなった「時短+健康志向」の考えを中国で広めていく。

アリババの会長ジャック・マー氏

アリババ・グループ・ホールディングの会長、ジャック・マー氏

VCG/Getty

カルビーが支援を受けることになった「Japan MD center」は2016年2月、アリババ・グループが日本のブランドやメーカー向けに立ち上げた中国・アジアにおけるEC支援サービス。消費者のニーズに合わせた商品の選定、販売チャネルの設定などのマーケティング、同グループが持つ消費者の行動に関するビッグデータの分析・提供を通じて、越境ECサイト「天猫国際」などへの出品を支援する。

「天猫国際」は2014年2月に立ち上がったB-to-Cのプラットフォームで、海外からの出店者は中国本土でのオペレーションなしで、ユーザーに訴求できるというメリットがある。一方で消費者にとっても、中国本土では入手できない様々なブランド商品にアクセスできることから、人気を集めている。

カルビーはこれまでにも、中国EC向け卸売業者で、アリババ・グループと良好な関係を持つ香港の企業UNQとのジョイント・ベンチャー「Calbee E-commerce Limited」を設立、2016年1月から「天猫国際」に旗艦店を出店し、Jagabeeといった同社の商品の輸入販売を手掛けている。事業開始後5年以内に売上高11億円、営業利益率11%を目指すとしている。

カルビーの2016年4月~2017年3月の売上高は前年同期比2.6%増の2524億円、営業利益は2.5%増の288億円だった。このうち、海外事業の売り上げは現地通貨ベースでは増収となったものの、為替の影響で前年同期比1.2%減の289億7800万円。営業利益は北米と韓国での売り上げ低迷と原価の悪化によって、前の年の同じ時期に比べ20億円の大幅減となり、8億4400万円だった。

同社は今月10日に、主力商品「フルグラ」を中国へ輸出すると発表。北海道工場(北海道千歳市)に整備中の新たなラインの稼働に合わせ、8月以降に輸出を始めるとともに、輸出向けの増産体制を強化すべく、2018年8月の稼働を目指し、京都工場(京都府綾部市)にフルグラの生産ラインを新設。これに約70億円を投じると発表。松本会長はその際、「2018年度の販売目標500億円のうち、150億円程度を中国への輸出としたい」との意欲を示し、それぞれの工場の土地柄を生かしたパッケージや味を工夫した商品の開発を進めるとした。

カルビーが提携するアリババ・グループ・ホールディングは、時価総額3110億ドル(約34兆7600億円)を超える世界11位(4月末現在)の巨大企業。日本法人のアリババは2008年にアリババ・グループとソフトバンク(9984)の合弁によって設立された。Japan MD centerが2016年5月に正式にキックオフした際には、ソフトバンクの孫正義会長が「アジアでのECの売り上げを飛躍的に拡大させていく画期的なサービスで、我々はグループをあげて支援したい」とのコメントを寄せていた。

(編集:佐藤茂)

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