フェイク映像を見破る3つの方法——その「おもしろ」映像は本物か

「えー、すごい! 」「かわいい! 」 と思って、思わずretweetやshareをクリックしてしまう写真やビデオ。でもその中には、アクセスの増加や、果てには大手メディアで紹介されることによる謝礼を狙って、合成(フォトショップ)したり、でっち上げたものが少なくない。どうやって、それらを見破ることができるのか。

筆者が5月19日からドイツ・ハンブルクで参加した国際新聞編集者協会(International Press Institute =IPI)年次会議で、こうした映像をどうやって見破るのかというワークショップがあった。IPIは、独立したジャーナリズムや報道の自由を維持し、ジャーナリストの安全を守るための国際組織だ。

今回、IPIのワークショップで紹介されたのは、具体的に検索でどうやってフェイクであることを確認するかというノウハウだ。

1. 写真の出所、撮影時期をチェックしよう

花をたむける女性

墜落事故の犠牲者を悼む女性。ワークショップで取り上げられたジャーマンウイングス9525便の墜落事故は、死者150人を出す大事故だった。

Sascha Steinbach/Getty

飛行機の墜落事故など大きな事件や自然災害の際は、その現場からと思わせるフェイク映像が出回る可能性が高まる。

ワークショップの例は、ジャーマンウイングス9525便墜落事故(2015年3月24日、ドイツの格安航空便がフランスで墜落した)直後にTwitter上に表れた現場写真とされるものだ。山奥で、現場にたどり着くのは困難であるにもかかわらず、墜落したと見られる飛行機の残骸が至近距離から撮影されているもので、今は検索してもヒットしない。

当該写真をグーグル映像検索してみると、写真のオンライン登場は、2009年11月30日にまで遡ることができる。しかも機体は、2007年にトルコで起きた墜落事故のものだということがわかる。

ワークショップを開いた北ドイツ放送(NDR)のFiete Stegers氏は、こう指摘する。

「飛行機事故と爆発事故の映像は、シェアされやすい。それを狙った写真がオンラインに登場する」

筆者が覚えているのは、2012年10 月、ニューヨークなど米東海岸を襲った「ハリケーン・サンディ」のフェイク写真だ。ニューヨークにある「自由の女神」の背後にキノコ状の渦巻きが不気味に映ったもので、ソーシャルメディアでシェアされていた。ハリケーンの直径がそんなに小さいわけはなく、中西部で撮影された竜巻を合成したものだった。

2. 他人の意見を聞こう(コメントを読んでみよう)

TwitterやFacebook、YouTubeでシェアされる映像には、コメントも表示される。多くは「かわいい」「すごい」というものだが、中には「この映像のこの点がおかしい。検索するとこれは事実ではない」というコメントもある。こうしたコメントが見つかれば、怪しいと疑ってもおかしくはない。

3. ビデオに騙されないようにしよう

参考例は、「シドニー湾でホホジロザメと戦う」というビデオだ。米メディアでも、本物か合成したものかを巡って報道された。 崖の上から、「あなたはヒーローよ! 」と友人に言われながら、湾に飛び込む若者。その途端、別の友人が「サメだ! 後ろにいる! 」と叫ぶ。若者は浮かび上がったり沈んだりするが、水中でホホジロザメが2度接近。手足で追い払いながら、崖の下にたどり着いて、事なきを得たというビデオだ。

このビデオを取り上げたClaus Hesseling氏は、こう指摘する。

スマホを見る女性

何が正しい情報なのか、自らの目で見極めるリテラシーが必要だ。

EyeEm/Getty

「サメが水中で近づいてくるところで、何か違和感がある。水族館で撮影された可能性がある。合成するのには、30分もかからない」

サメがいるかもしれない湾に飛び込む若者を阻止するには、これが合成ビデオだと知ることは重要だ。

アメリカでも日本でも、朝の情報番組などで「おもしろ」ビデオや写真を見せることが多い。その際フェイクではないか、きちんと検証するチームが必要だと痛感した。ワークショップで紹介されたビデオや写真は、米テレビネットワーク局のニュース番組で、見たことがあるようなものばかりだったからだ。

IPIでは、イギリスのEU離脱(Brexit)、アメリカのトランプ政権誕生など、フェイク・ニュース、あるいはミスリーディングな情報が影響を及ぼしたとされる結果に対し、ヨーロッパの人々がかなり懸念を抱いていることもわかった。フランスの大統領選挙で、極右の候補者が一騎打ちで敗北したことも、メディアや市民が、正しい情報を得ようとした意識の高さの表れかもしれない。今秋には、EUトップの経済大国ドイツで連邦議会選挙が予定されている。欧米でのフェイク・ニュースやフェイク映像との戦いから、目が離せない。

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