気になるドコモ夏モデル端末。どうせ買うならフラッグシップを、という人には「788M対応」が買い判断のひとつの基準になる。
NTTドコモから、この夏に向けてリリースされるスマートフォンの新ラインナップが発表された。サムスンのGalaxy、ソニーのXperia、シャープのAQUOSと、人気ブランドのフラッグシップモデルが一新されたほか、お手頃価格のミドルレンジモデルも強化。人気のディズニーモバイルにも、新しいデザインが追加されている。
新料金プランとして、端末の月々割がない代わりに月々の1500円割引がずっと続く「ドコモwith」プランとその適用端末(「Galaxy Feel」と「arrows Be」)も登場しているものの、今までどおり初期費用はそこそこお手頃に、最新のハイエンド機種を割賦払いで新製品を使いたいという人も多いはずだ。
ドコモが8月以降に開始する4G LTEの788Mbps対応。対応機種は夏モデルでは3機種のみ。狙うならこの3機種だ。
ドコモ夏モデルの注目は、 「Xperia XZ Premium」「Galaxy S8+」「AQUOS R」の3機種。この3機種のみが、現時点で国内スマートフォンの回線速度としては最高速となる、受信時最大788Mbpsの通信サービス(8月以降にサービス開始)に対応していて、しかも各社の工夫が満載のモデルだからだ。
いずれもドコモショップなどで予約は始まっている。それぞれの特徴をまとめて紹介していこう。
「Galaxy S8+」 大画面と持ちやすさをワイド画面で両立(6月上旬発売)
片手でしっかりとホールドできる「Galaxy S8+」。サイズは約高さ160×幅73×厚さ8.1ミリで、重さは約173グラム。4GBのRAMと64GBのROMを搭載する。
「Galaxy S8+」は、約6.2インチとスマホとしては大画面かつ3500mAhの大容量バッテリーを搭載しながら、幅73ミリ、厚さ8.1ミリと片手操作も可能なサイズが特徴。見やすい大画面と持ちやすさをいかに両立するかは、各メーカーが今、最も工夫を重ねているところだが、サムスンは18.5:9という、これまでにない縦長の画面比率の採用で実現してきた。
カラーはブラック、シルバーの2色。1220万画素カメラの横に指紋センサーが配置されている。
従来の「Galaxy」シリーズではディスプレイの下にあった、指紋センサー兼物理キーをなくし、上下のベゼル幅もぎりぎりまで削って、まさに全面がディスプレイといった印象のつくりだ。18.5:9という画面比率は、16:9で撮影された映画などとも相性が良く、映像を画面いっぱいに表示すると、WQHD(1440x2960ドット)の高精細な有機ELディスプレイも相まってかなりの迫力。またウェブ表示などは一度にたくさんの情報を表示できるので、スクロールが少なく済むというメリットもある。
正面に物理ボタンが一切ないデザインになったため、従来はディスプレイ下にあった指紋センサーは背面のカメラの横へ移動した。少し使い辛くなってしまったが、新たに虹彩認証と顔認証という2つの生体認証機能が搭載され、ロック解除方法の選択肢が増えている。
今回のGalaxy S8/S8+は、ホーム画面(右)にドコモアプリを置かない仕様。最初から、グローバル版のようにすっきりしたホーム画面で使える。ドコモアプリは、画面を上にスワイプすると現れるアプリ一覧画面にある。
背面のメインカメラには、前モデルにあたる「Galaxy S7 edge」と同じ、F値1.7の1220万画素デュアルピクセルカメラを採用。デュアルピクセルは一眼レフカメラにも採用されている技術で、オートフォーカスが早く、暗いシーンも明るく撮影できるという特徴がある。筆者は「Galaxy S7 edge」をプライベートで使っているが、薄暗いレストランでも料理が美味しそうに撮れるなど写真の評判は周囲でも上々だ。「Galaxy S8+」ではさらにインカメラが800万画素、F値1.7となっていて、セルフィーでもより明るい写真が撮影できるようになっている。
このほか、今回初めてサムスン独自のアシスタント機能「Bixby」も搭載されている。本体の左サイドには、音量キーと並んで「Bixby」専用ボタンがあり、これを押すとスケジュールやリマインダー、現在までの運動量、ニュースや天気予報といったパーソナライズされた情報を一覧表示できる。Googleの「Goole Now」にも似た機能で、今後対応アプリの広がりによっては、より便利に使えそうだ。
ドコモの発表会場には、暗い室内のシチュエーションを再現するため、暗い箱の中に置いた花を撮影できるミニセットがあった。「Galaxy S8+」と2世代前の「Galaxy S6 edge」で比較すると、デュアルピクセルカメラは明るさが段違いだ。
「Xperia XZ Premium」 4K HDR搭載。スローモーション撮影も話題の(6月中旬発売)
「Xperia XZ Premium」は、国内キャリアではドコモ限定の取り扱い。サイズは約高さ156×幅77×厚さ7.9ミリで、重さは約191グラム。4GBのRAMと64GBのROMを搭載する。バッテリーは3230mAhと大容量。
ソニー「Xperia XZ Premium」は、世界初となる4K HDR対応のディスプレイを搭載したスマートフォン。同時発表のソニー製夏モデル端末の「Xperia XZs」との違いは、XZsがフルHD液晶、XZ Premiumが4K HDR液晶という"ディスプレイ性能差"が、両者の大きな差別化要因になっている(サムスン「Galaxy S8」「Galaxy S8+」が、画面サイズと通信速度以外はほぼ同じ機能とは対照的だ)。
4K HDR搭載の「Xperia XZ Premium」(上)と、4K搭載の「Xperia Z5 Premium」(下)の比較デモ。色の発色が明らかに違った。
プレミアム感あるピアノ調の美しい光沢も特徴。
解像度としては同じく4Kを搭載していた2016年1月発売の「Xperia X Premium」との比較でも、明るさと色域の広さが大きく向上しているとのこと。実際にこの2機種の比較デモを見比べると、「Xperia XZ Premium」の方が明らかに色鮮やかで、風景なども実際に目で見ている明るさや色合いに近いと感じた。もちろん対応コンテンツがなければ、せっかくの4K HDRも宝の持ち腐れとなってしまうが、そこは安心していい。5月24日のドコモ夏モデル発表会で、今後ドコモの「dTV」でも4K HDRコンテンツの取り扱いが始まると発表された。ちなみに、「DAZN」や「YouTube」も4K画質にアップスケーリングして、楽しめるという。
カメラはメインカメラが1920万画素、インカメラが1320万画素といずれも高解像度で、さらにメインカメラには「Xperia XZs」と共通の「Motion Eye」と呼ばれるシステムを採用している。これまでの「Xperia」シリーズよりも1画素あたりのピクセルサイズが大きくなってより明るい写真が撮れるほか、メモリー積層型センサーの採用で、スーパースローモーション動画撮影やシャッターチャンスを逃さない先読み撮影といった、新しい撮影機能も追加されている。スーパースローモーションは960fps(1秒間に960コマ)という、これまでは一部のデジタルカメラでないと撮れなかったようなスローモーション動画まで楽しめる。
先読み撮影は被写体の動きを検知し、シャッターを押す前から写真を記録。決定的瞬間を逃さずに撮れるというもので、いずれもスポーツシーンの撮影などで重宝しそうだ。
Xperia XZ Premiumのスローモーション撮影はスポーツシーンの撮影にもってこいだ。写真は同じ1920万画素のMotion Eyeカメラを搭載する「Xperia XZs」。
「AQUOS R」シャープの本気が詰まったサクサク動作が快適(7月発売)
120Hzの倍速対応のIGZO液晶はさすがの滑らかさで、高速にスクロールさせても画面表示に残像感を感じることなく追従してくる。なめらかなスクロール感は独特の良さがある。サイズは約高さ156×幅74×厚さ8.7ミリで、重さは約169グラム。
左右両サイドが>型の尖ったデザインになっていて、ここに手がかかるように工夫されている。スリムな筐体に4GBのRAMと64GBのROMを搭載。バッテリーも3160mAhと大容量だ。
「AQUOS R」は、これまでキャリアごとに異なるデザイン、スペックのスマートフォンを提供してきたシャープが、初めて統一ブランドとして打ち出したモデル。約5.3インチWQHD画質でHDR対応、明るく色鮮やかつ高速なIGZOディスプレイを搭載しているのが、ほかにはない特徴となっている。
表示速度が通常の液晶の2倍となる120Hzの倍速ディスプレイは、たとえば長いWEBページをスクロールしても、もたつくようなことがなく、まさに画面が指に吸い付くような操作感がある。ディスプレイの下に指紋センサー兼物理キーを搭載したデザインも、一見あまり特徴がないようだが、よく見るとサイドのアルミフレームにエッジが設けられていて、指がかかりやすいよう工夫されていたりする。全体として派手な新機能は少ないものの、使いやすさにとことんこだわったモデルという印象だ。
メインカメラは光学+電子式手ブレ補正を採用した2260万画素カメラで、スマホとしては超広角な22ミリ、F値1.9での撮影が可能。インカメラも1630万画素の電子式手ブレ補正付きで、いずれも今回取り上げる3機種の中では最も解像度が高くなっている。またこのほか、シャープ独自の人工知能「エモパー」の最新バーションも搭載。別売の充電クレードル「ROBOQUL」を組み合わせると、充電中もエモパーが人のいる方向を向いて話かけてくる。天気予報やニュースなどエモパーの情報が聞き取りやすくなるだけでなく、離れた場所から声で操作する場合にも便利そうだ。
カメラには被写体を解析し、自動的にトリミングを提案する機能も備わっている。またセルフィー用のインカメラにも手ブレ補正機能を搭載。
選択肢はいろいろ、発売日まではまだ少し時間がある。さて、どれを選ぶ?
(撮影:太田百合子)
太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。