超人気スポーツゲームの「呪い」には仮想とリアルを繋ぐヒントがある

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唯一の公認ゲームソフト、マッデンNFLの表紙を飾ると成績が落ちる?

Mike Stobe / Getty Images

アメリカンフットボールゲームの「マッデンNFL」(以下、マッデン)。このゲームの表紙には発売前年にもっとも活躍した選手が選ばれることになっており、ゲーマーだけではなく、NFLファンの多くも注目する。

「マッデンの呪い」が始まったきっかけ

表紙を飾るということはリーグの顔を意味する。選ばれた選手は名誉なはず。だがマッデンの場合は必ずしもそうとは限らない。

90年代後半からマッデンの表紙を飾った選手はケガや法的理由、もしくはその他の原因で出場機会が大きく減少してきている歴史がある。そのため周囲からは「マッデンの呪い」とまで言われるようになった。

発売当初はゲームの題名ともなっているジョン・マッデン氏が全面に映し出され、選手の画像は背景としてのみ写っていた。だが1999年版(実際は98年に発売)から選手1人を表紙にした種類も、世界各地で販売されるようになった。

記念すべき第1回目の表紙を飾ったのは、サンフランシスコ49ersのガリソン・ハーストだった。プロとしては最高のシーズンを送った直後に表紙を飾ることとなったが、翌年のディビジョナルプレイオフ初戦、最初のキャリーで足首を骨折する重傷に見舞われ、続く2シーズンをリハビリに費やすこととなってしまう。スポーツにケガは付き物だが、ハーストのケガがマッデンの呪いが囁かれるきっかけともなった。

トム・ブレイディーは呪いに勝てるか

スーパーボウルで優勝したニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディー

スーパーボウルで優勝したニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディー

Kevin C. Cox / Getty Images

2018年版マッデンの表紙に選出されたのはニューイングランド・ペイトリオッツのトム・ブレイディーだ。40歳を迎える今シーズン、年齢と共にパフォーマンスが落ちるのは多少予測できるが、近年のブレイディーは年齢の衰えを感じさせないほどのプレーを続けてきている。

ニューヨーク・デイリーニュースでは「トム・ブレイディーとニューイングランド・ペイトリオッツのスーパーボウル進出を阻止できるのは、マッデンの呪いだけかもしれない」という記事が出るぐらい圧倒的な強さを周囲も認める。ブレイディー本人もこの呪いについては認識しているが、「呪いを信じるタチではない。いつもと同じようにこのチャレンジに立ち向かうつもりだ。相手に勝ち目はないだろう」と話している。

さらに自身のフェイスブック公式アカウントではユーモア溢れるビデオを作成し、ファンを楽しませた。縁起が悪いといわれる行為を次々に披露。鏡をハンマーで割り、はしごの間を掻い潜るなどタブーとされていることに続けて挑戦し、「ほら、呪いなんてないだろう。問題ないよ」と笑顔を見せた。

リアルとの繋がりが生み出すバーチャルの可能性

2016年のスポルティングニュースが発表した2016年度の「スポーツビデオゲームパワーランキング」では、売り上げ、収益、ユーザーからの批評、消費者の見方、市場への適性などいくつかの項目をもとに順位がつけられた。対象は、発売がシリーズ化しているものに限るため、2015年ベストスポーツゲームという評価を受けたサッカーとレーシングを融合させたロケットリーグは対象外となっている。

このランキングでマッデンシリーズは3位に入り、収益も安定し高い人気を継続しているという評価を得ている。スポーツゲームトップの座はFIFAシリーズに譲ったものの、開発者がユーザーの求める質へと近づけていることから良いレビューは増えている。

人気を誇るマッデンシリーズにとって呪いが付きまとうのは、必ずしも良いことではないが、リアルの世界との繋がりを持つという意味では大きな宣伝となる。毎年表紙の選出が注目され、その選手が呪いを打ち破ることができるかが話題になる。表紙の選出を発表することでメディアが取り上げてくれる。ゲームの売り上げに直結するかは分からないが、多くのNFLファンもゲームの存在を耳にすることになる。

eスポーツとしてもプレーヤー、観戦者、両方から楽しめる要素が多く、今後の可能性が期待される。米国では一番人気が高いとされるアメリカンフットボールを題材としたテレビゲームである半面、リアルな試合で巻き起こる激しさやダイナミックさに比べると物足りなさがあるかもしれない。 スポーツゲームである以上、リアルな試合を超える臨場感を求めるのは正直困難かもしれない。

ならば少しでもリアルな世界と繋がりを見出していくことがお互い相乗効果を生み、スポーツ全体を盛り上げていくのではないだろうか。「マッデンの呪い」は選手のパフォーマンスやこれまでの歴史が考慮されるため、同様の話題を即座に作ることは難しいだろう。だが視点を変えて、バーチャルの世界がリアルに関連する話題を今後生み出すことで、それぞれのファン層が増える仕組みが作っていけるかもしれない。

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