Surface Proは、見た目はこれまでのPro4とはほとんど変わらないが、性能は一新され、細部のデザインに細かく手が入れられている。
6月15日から発売になるSurface Pro 4の後継モデル「Surface Pro」。2015年のPro4の発表から19カ月が経ち、満を持しての発表だ。東京で開催された新Surfaceシリーズの発表会に来日した米マイクロソフト副社長でデバイス担当のパノス・パネイ氏曰く、Surfaceビジネスにとっての日本という市場は、
・出荷先30カ国の国や地域のなかで世界トップ3に数えられる市場規模をもつ国
・またSurfaceの売上の世界トップ10に入る量販店チェーンが東京に7つもある
・昨年から今年にかけて日本におけるSurfaceビジネスの成長率は+47%
なのだという。つまり、日本でのSurfaceビジネスは極めて好調なのだ。
発表会では、北欧ブランドのMarimekkoとのパートナーシップも発表。女性向けを意識した「Marimekko for Surfaceコレクション」として、4種類のスキンシールを6月15日から発売する。
プレミアムセグメントを標榜するSurfaceは、価格レンジについても、タブレットとしてもノートPCとしても使える、いわゆる「2 in 1ノートPC」の一般的な価格帯と比べると強気な値付けだ。エントリーモデルこそ11万4264円(Core m3/128GBモデル)だが、主力モデルと考えられる中位機は15万8544円(Core i5/SSD256GBモデル)、最上位のCore i7モデルでは、軽く20万円を超える。昨今のPC市場の低価格化圧力は相当なものだが、それでも売れている。
人気の理由はいくつかあるが、初代Surface Proから世代を重ねる中で、ブランド構築をしっかりと設計してきたことが、今日の成功に効いているはずだ。たとえば、取り外し式のキーボード「タイプカバー」などの端子や規格を統一することで、旧モデルとの一定の互換性を保ち長く使える製品と意識づけることもその1つだ。こうした積み重ねによって「Surfaceの次に買うPCもSurface」というロイヤリティの高いユーザーを獲得し、ブランドを強固なものにしてきた。
今回のSurface Proも同様の戦略の上での互換性を保った周辺機器展開なのか? Pro4やPro3からアップグレードする際には同時発表のSurface LaptopではなくSurface Proを選ぶべきなのか? 改めて要点をまとめた。
Surface Proについて知っておくべき5つの事実
1. Surface Proの方がSurface Laptopに比べてわずかに性能が高い
東京・品川で開催されたSurface発表イベントに登壇する米マイクロソフトのパノス・パネイ デバイス担当副社長。
国内ではSurface Proと同時発表されたSurface Laptop。主力モデルの価格レンジが同じなため、どちらが良いか悩む人も多そうだ。スペック表で詳細を比較すると見えてくるが、実は似たスペックのモデルなら、Surface Proの方が価格は同じでも部分的に性能が高い。特にCPUはSurface Proの方が微妙に性能が高く、また液晶はややサイズが小さいものの解像度は同じくProの方が高く、表示できる情報量が多い。
制作:BUSINESS INSIDER JAPAN
2. Surface Proは、Core m3もしくはCore i5モデルを選べば「ファンレス」になる
発表会時のプレゼンテーションより。背面全体でCPUなどの熱を放熱する設計で、m3モデルとi5モデルはまったく無音で使えるファンレスを実現している。
デザインをキープコンセプトとし、見た目の形はほぼ変えなかったSurface Proだが、中身は大きく進化している。とにかく静かなノートPCが欲しいというこだわりを持つ人は、i5モデル、もしくはm3モデルを選ぶといい。これらのモデルだけは、背面全体で排熱するファンレス設計だ。しかも、i7モデルほどの性能が必要なければ、価格もぐっと抑えられる。
3. LTEモデルが登場するのは今秋
記者からの質問に答えるパノス・パネイ デバイス担当副社長。
Surface Proには、携帯電話のSIMカードが挿さるLTEモデルも用意される。認証プロセスの関係で発売はWi-Fiモデルより国内投入が遅くなることが発表されている。Surfaceの開発責任者のパノス・パネイ氏は発表会後の囲み取材のなかで、「(LTE版がWi-Fi版より投入時期が遅いのは)開発上何か問題があるのではなく、予定どおりスケジュールだ。認証プロセスがあるため3〜4カ月程度遅れて登場することになる」と語った。
4. 「Surface Pro」の新設計タイプカバーはPro4でも使える
カラバリは3色展開。今回新設計のSurface Proタイプカバーはすべてアルカンターラ素材版のみ。以前と違い「高級版」という位置付けではなく、これが標準版になった。
キーボードの接続に使うマグネット端子の形状はPro4などと共通。
Surfaceシリーズはタイプカバーの端子を共通化することで、新旧モデルである程度の互換性を確保してきた。たとえば、Pro4が発表された際には、Pro4用の新設計のタイプカバーを、Pro3に使って操作性をアップグレードする「Pro 3.5化」が一部で流行したりもした。
Pro 4ユーザーに朗報なのは、今回もこのアップグレードは健在だということ。Surface Pro用タイプカバーは、Pro4に装着して、「Pro 4.5化」して使える。3色展開のカラバリをもつ最新のアルカンターラ素材のタイプカバーの価格は2万952円。
5. 新しいSurface Penは従来のPro4でも使えるが、フル機能対応はアップデート待ち
Surfaceペンは、今回からペンを傾けた角度もセンシングできるようになった。ペンそのものはSuface ProシリーズやSurface3とも互換性がある。ただし、傾きセンサー対応は後日のアップデートが配布される予定だ。なお、発表会の壇上で大々的に公表した、わずか21ミリ秒という超低遅延でのペン描画レスポンスについては、ハード側に特別な仕組みが必要な可能性があり、従来のSurfaceでも有効になるのかどうかは確認が必要だ。
写真で見るSurface Proのディテール
キックスタンドを開いた部分に控えめに刻印されたWindowsとマイクロソフトのロゴ。なお、microSDカードスロットは、従来同様にキックスタンドを開いたこの面の端に配置してある。
キックスタンドを最も倒すと、ここまで角度がつけられる。無段階でここまで倒れる。
通常使用をイメージした角度。
Surfaceの上部。左から電源スイッチ、ボリュームボタン。この配置は従来のSurface 3などとと同じ。
(撮影:伊藤有)